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Microsoft、ロー・ノーコードで安全なWebサイトが作成可能な「Power Pages」の一般提供を開始

簡素化されたサブスクリプション・従量課金制プランのライセンス価格も公開

「Microsoft Power Pages」の一般提供が開始

 米Microsoftは10月12日(現地時間)、ローコード・ノーコードでビジネス向けWebサイトが作成できるツール「Microsoft Power Pages」の一般提供を開始したと発表した。同日より開催中の開発者向け年次テクニカルカンファレンス「Microsoft Ignite 2022」の場で正式発表された。

 「Microsoft Power Pages」は、テンプレートのカスタマイズなどの簡単な操作で、ビジネス向けのWebサイトが構築できるツール。ローコード開発プラットフォーム「Microsoft Power Platform」の5番目となる新製品として、今年5月に開催された「Microsoft Build 2022」でプレビュー公開された。

【「Microsoft Power Pages」の紹介映像】
Introducing Microsoft Power Pages
「Power Pages」のホーム画面(画像はプレビュー版のもの)

 「Power Pages」のライセンスプランは、前払い式・容積ベースのサブスクリプションプラン、ユーザーがWebサイトにアクセスした場合にのみ支払う従量課金制プランの両方をサポート。既存のモデルは認証されたログインと匿名のページビューに基づいたものだったが、新しいモデルではWebサイトごとの毎月の認証済みユーザーと匿名ユーザーに焦点を当てたものに簡素化された。Webサイトの季節性や予算編成、ページビュー予測を柔軟に反映できるようになる。

 サブスクリプションプランの場合、標準価格プランは認証済みユーザータイプで21,743円(100ユーザー/サイト/月の場合)、匿名ユーザータイプで8,154円(500ユーザー/サイト/月の場合)となる。サブスクリプションプランは11月1日に販売開始予定だ。一方の従量課金制プランの場合、標準価格プランは認証済みユーザータイプで435円(ユーザー/サイト/月あたり)、匿名ユーザータイプで33円(ユーザー/サイト/月あたり)となる。

「Power Pages」サブスクリプションプランの価格
「Power Pages」従量課金制プランの価格

 また、今回の一般提供に合わせて機能追加も実施された。基本モードとなるページ作成の各ワークスペース(「デザイン スタジオ」)が再考され、ページ・スタイリング・データ・セットアップの4つに焦点を当てた各ワークスペースからサイトを構成。ドキュメントのアップロードを含む複数のステップからなるフォーム(マルチステップフォーム)も、コードを使わずにシームレスかつ簡単にデザインできるようになった。

 これにより、サイトの利用者が長い申請書などのフォーム入力を一時停止・再開できる柔軟性を提供可能となる。そのほかにも、カスタムCSSを追加する機能や、公開前にPC・モバイルの異なる画面サイズでのサイトのプレビュー表示する機能、サイト公開時の設定変更の反映を制御する機能も利用できるようになった。

マルチステップフォームのコンポーネントを追加

 「テンプレート ハブ」は、プレビュー版の段階ではカスタマイズ可能な8種類のテンプレートから選択してWebサイトを構築する流れだったが、今回「Dynamics 365」のテンプレートもサポート。顧客サービスやパートナー・サプライヤー管理など、合計16種類の新しいテンプレートオプションから選択可能となった。もちろん従来通り、空白のテンプレートからのサイト作成も可能だ。

テンプレートパターンは16種類に

 作業中にわからないところをサポートしてくれる「ラーニング ハブ(学習 ハブ)」にも、新しいチュートリアルセクションを追加。異なる視点とレベルのトレーニング資料で、プロの開発者と一般の開発者双方を幅広くサポートするハウツービデオやチュートリアルガイドを提供する。

「ラーニング ハブ」に新しいチュートリアルセクションを追加

 「Power Pages」にはローコード機能以外にも「Visual Studio Code」や「GitHub」、「Azure DevOps」といった、高度な機能を開発・提供するプロ向けのツールとも連携する。今回のアップデートで無料でインストール不要の「Visual Studio Code for the Web」との統合が行なわれた。

 ワークスペース右上に表示される[コードの編集]ボタンからWeb版「Visual Studio Code」の画面に直接移行することで、ページコンテンツ(HTML/Liquid)、ページスタイル(CSS)、ページスクリプト(JavaScript)のソースコードの参照・編集といった拡張とカスタマイズがすぐに可能だ。

ローコードの「デザイン スタジオ」からコードファーストの「Visual Studio Code」で微調整・拡張可能

 セキュリティ面では、「Microsoft Azure」のアプリケーションファイアウォールとのターンキー統合など、強化されたセキュリティを提供。「Azure Front Door」によるコンテンツ配信ネットワーク(CDN)のサポートにより、サイトの応答性を向上させる機能も含まれる。また、公開前のサイトを見ることができるユーザーと、そのサイトを公開できるユーザーを制御できるようになり、稼働前のサイト検証を簡素化できるようになる。

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