開発者もWindowsユーザーも必見! 「Microsoft Build 2022」発表まとめ

「OneNote」のデザイン刷新、「Visual Studio」のARM64環境にネイティブ対応 ほか

「Microsoft Build 2022」

 米Microsoftが主催する開発向けイベント「Microsoft Build 2022」が5月24日~26日(現地時間)にかけて開催された。本稿では期間中、弊誌にて取り上げたトピックスをまとめて紹介する。

 今年で12回目となる今回の「Microsoft Build」は、昨年に続きオンラインでの無料開催。グローバル、フランス、ドイツ、日本、ラテンアメリカ、イギリスに分割した単独セッションも用意された。グローバル向けには同社のCEO・サティア・ナデラ氏が、日本向けには(株)日本マイクロソフトの社長・吉田仁志氏が基調講演を行ない、最新技術や未来に向けて注目すべきイノベーション・ソリューションを取り上げた。同社の技術トレンドや将来への取り組みを知りたい開発者は必見のイベントだ。

【Microsoft Build Day 1】
【Microsoft Build Day 2】

「Microsoft Build 2022 Book of News」のページ

米国でプレビュー提供している「Amazon アプリストア」を年内にも日本導入へ

「Amazon アプリストア」を年内にも日本導入すると発表

 現在米国でプレビュー提供されている「Amazon アプリストア(Amazon Appstore)」を年内にも日本に導入することが発表された。日本でもAndroidアプリがWindows 11で利用できるようになる。

 Windows 11環境にて実行されたAndroidアプリは、[スタート]メニューやタスクバーから起動するのはもちろん、Windows 11の新しい「スナップ レイアウト」機能でウィンドウを並べたり、クリップボードを共有することもできる。今回の発表では日本のほか、フランス、ドイツ、イタリア、イギリスへ拡大されることが明らかにされた。

「OneNote」が再統一に向けてデザインを刷新。AI技術を活用した機能も強化

「OneNote」のデザイン刷新を発表

 「OneNote」のデザイン刷新が発表された。将来的に「OneNote 2016」の流れをくむWindows(Win32)版へと統合されるが、それに先立ってWin32版「OneNote」をモダンにリフレッシュし、Windows 10版の主な機能を取り込む模様。

 AI技術を活用した音声やインク、カメラによるキャプチャーやページ管理の強化、共有機能の改善も行なわれている。新しい共有エクスペリエンスは「Office Insider」より順次導入される。

「Windows Terminal Preview 1.14」が公開。「Terminal 1.13」は正式版に

「Windows Terminal Preview」v1.14.143

 「Windows Terminal Preview 1.14」が公開された。次期バージョンに導入予定の新機能がテストされる。

 目玉機能は、ウィンドウ全体に単一の背景画像を指定する試験オプションが導入されたこと。また、新しいアクション「selectAll」が追加され、バッファー内のすべてのテキストを選択できるようになった。このアクションには初期状態で[Ctrl]+[Shift]+[A]キーが割り当てられている。

アプリケーションUIフレームワーク「.NET MAUI」を正式リリース

「.NET MAUI」を正式リリース

 デスクトップとモバイルの両方をカバーするアプリケーションUIフレームワーク「.NET MAUI」(.NET Multi-platform App UI)が正式公開された。

 「Xamarin.Forms」を発展させたもので、単一のプロジェクト、単一のコードでそれぞれのプラットフォーム (Windows、macOS、iOS、Android)ネイティブのUIを構築できる。.NETプラットフォーム統一事業の新たなマイルストーンとなる。製品版の「Visual Studio 2022」にて「.NET MAUI」ツールがサポートされるのは今年後半になる見込み。

ローコードで高度なビジネスWebサイトを作成可能な「Power Pages」をプレビュー公開

「Microsoft Power Pages」

 ローコード開発プラットフォーム「Microsoft Power Platform」の5番目となる新製品「Microsoft Power Pages」が公開された。テンプレートのカスタマイズなどの簡単な操作で、ビジネス向けのWebサイトが構築できるツールで、安全かつレスポンスのよいコミュニティサイトやFAQ・サポートページを簡単に構築できる。30日間無料で試用可能なトライアル版が公開されている。

「Microsoft Edge」の開発者向け新機能を披露

公式ブログ「Microsoft Edge Blog」で「Microsoft Edge」の開発者向け新機能を紹介

 「Chromium」に移行して2年半経った「Edge」で導入された開発者向けの機能が紹介された。今後の展開にも触れられている。

 WinUI 2/UWP向け「WebView2」コンポーネントを今後数カ月以内にリリース予定であること、プログレッシブ Web アプリ(PWA)への対応強化や開発者ツールの新しいユーザーインターフェイス「Focus Mode」などが紹介されている。

開発者用ワークステーションをまるっとクラウド化した「Dev Box」を発表

「Microsoft Dev Box」

 開発者用ワークステーションをクラウド化した新たなサービス「Microsoft Dev Box」を発表。あらかじめアプリケーション開発に必要なツール・依存関係などが自動設定された仮想マシンを起動して、クラウド上ですぐにコーディングを開始できる。

 Windows上で動作するすべての開発者向け統合開発環境(IDE)やソフトウェア開発キット(SDK)、内部ツールをサポート。Windows/macOS/Android/iOS、Webブラウザーからアクセスできる。今後数カ月以内にパブリックプレビューへ移行する予定。

「Microsoft Store」で予定している改善を発表

「Microsoft Store」で予定している改善を発表。「Microsoft Store Ads」などを披露

 「Microsoft Store」で予定されている改善が発表された。まず、現在米国でプレビュー提供中の「Amazon アプリストア」を年内にもフランス、ドイツ、イタリア、日本、イギリスの5カ国へ拡大される。

 また[スタート]画面で「Microsoft Store」掲載アプリの名前を検索すると、検索結果にアプリのカードが表示されるようになる機能やアプリ復元機能のテストが、近日中に「Windows Insider Program」で開始予定。アプリやゲームの広告を適切なユーザーに適切なタイミングで掲出するソリューション「Microsoft Store Ads」なども発表された。

「Visual Studio」がARM64環境にネイティブ対応へ

「Visual Studio」がARM64環境にネイティブ対応へ

 ARM64環境のWindows 11でネイティブ動作する「Visual Studio」が発表された。今後数週間のうちに、実際に動作するプレビュー版「Visual Studio」がリリースされる予定。「Build 2022」では、ARM64開発向けの小型デスクトップPC「Project Volterra」を発表するなど、ハード・ソフト両面でARM64対応に本腰を入れることを表明している。