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Windows 10でもLinux GUIアプリが利用可能 ~Microsoft Store版が既定の「WSL」に
OS同梱のインボックス版もオプション継続
2022年11月24日 08:45
先日、Microsoft Store版「Windows Subsystem for Linux」(WSL)がv1.0.0に達し、プレビューを卒業したことをお伝えしたが、このバージョンではWindows 11に加え、Windows 10がサポートされるとのこと。米Microsoftが11月22日(日本時間)、一般提供が開始されたMicrosoft Store版「WSL」での改善を公式ブログ「Windows Command Line」で紹介している。
現在リリースされているWSLバージョン
Microsoft Store版「WSL」の新機能を紹介する前に、まず現在リリースされているWSLのバージョンについて整理しよう。
「WSL」には、LinuxのシステムコールをリアルタイムでWindowsのAPIに変換しながら動作する「WSL1」と、軽量仮想マシンを利用した「WSL2」が存在する。
基本的には互換性に優れる「WSL2」がおすすめだが、OSのアップデート(x64の場合は「Windows 10 バージョン 1903」以降、ARM64の場合は「Windows 10 バージョン 2004」以降)と、OSのオプションコンポーネント「仮想マシン プラットフォーム」のインストールが必要になる。
また、「WSL1」「WSL2」とは別に「WSL」は提供形態で2つのバージョンに分けられる。どちらもで、「WSL1」と「WSL2」の両方が利用可能だ(「WSL1」はインストール時に「--enable-wsl1」オプションが必要)。
- インボックス版:従来からあるOSに内蔵されているバージョン
- Microsoft Store版:今回、一般提供されたバージョン。アグレッシブな機能追加や、迅速な不具合の修正が期待できる
「WSL」をOSから切り離し、「Microsoft Store」で提供することのメリットは、アップデートのタイミングをOSのそれと切り離せること。アグレッシブな機能追加や、迅速な不具合の修正が期待できる。
「wsl.exe --install」コマンドでインストールされる既定の「WSL」バージョンは、今後Microsoft Store版となる。とはいえ従来のインボックス版が即座に廃止されるわけではなく、これからも「安定版」のような扱いでメンテナンスが継続されるようだ。「wsl.exe --install --inbox」コマンドを利用すれば、Microsoft Store版ではなくインボックス版をセットアップすることも可能。ただし、週に一度Microsoft Store版へアップグレードできることを知らせるメッセージが起動時に表示される。
Microsoft Store版「WSL」の新機能
Microsoft Store版「WSL」には、以下の新機能と改善が含まれる。
- 「systemd」対応をオプトイン
- Windows 10環境でもLinux GUIアプリが利用可能に(これまでは基本的にWindows11環境のみだった)
- wsl --install:既定で「Microsoft Store」から直接インストールするように
- wsl --install --no-launch:インストール後にディストリビューションを起動しないオプション
- wsl --install --web-download:「Microsoft Store」ではなく「GitHub」リリースページからディストリビューションをダウンロードするオプション。「Microsoft Store」にまだ登録されていない最新版をダウンロードできる
- wsl --mount --vhd:VHD ファイルのマウントを容易にするオプション
- wsl --mount --name:マウントポイントの命名を容易にするオプション
- wsl --import --vhd:VHDに直接インポートするオプション。エクスポート(--export)も可能
- wsl --import-in-place:既存の.vhdxファイルをディストリビューションとして登録するオプション
- wsl --version:バージョン情報をより詳細かつ手軽に取得
- wsl --update:既定で「Microsoft Store」をチェックするように
- wsl --update --web-download:「GitHub」リリースページからの更新を許可するオプション
- エラー表示の改善
- 「WSLg」やWSL カーネルを1つのパッケージに。追加のMSIインストールは不要
入手方法
Microsoft Store版「WSL」は現在、「Seeker」のみが利用可能。「Windows Update」を手動でチェックし、2022年11月のプレビュー更新プログラムを適用する必要がある。「Windows 10 バージョン21H1」以降の場合は「KB5020030」、「Windows 11 バージョン 21H2」の場合は「KB5019157」だ。
パッチを適用して「wsl --install」を実行すると、Microsoft Store版「WSL」がインストールされる。すでに利用している場合は、「wsl --update」で更新が可能。どちらのバージョンを実行中かを知りたい場合は、「wsl --version」を実行する。インボックス版の場合、コマンドは失敗する。