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Adobe、新しいUIデザインシステム「Spectrum 2」を発表 ~2024年Web製品より順次展開

アクセシビリティ、親しみやすさ、クロスプラットフォーム一貫性の3点が軸

Adobe、新しいユーザーインターフェイスデザインシステム「Spectrum 2」を発表

 米Adobeは12月12日(現地時間)、新しいユーザーインターフェイスデザインシステム「Spectrum 2」を発表した。2013年に同社の製品とエクスペリエンス全体に「Spectrum」が初めて導入されて以来の大きな変更となる。

 「Spectrum 2」が導入されるのは、生成AI「Adobe Firerfly」によって同社のコアユーザー層の幅が広がり、新規ユーザーへのリーチが拡大していることが背景にあるという。これまでのAdobe製品はどちらかというとプロフェッショナル向けだったが、カジュアルなユーザーにとっても使いやすい、より包括的なデザインにしたいというのが意図のようだ。

 「Spectrum 2」はアイコンやタイポグラフィ、カラー、ブランド、イラスト、アクセシビリティ、プロダクトエクイティ(製品の公平性)、パーソナライゼーション、データビジュアライゼーションなど、あらゆるデザイン要素をカバーする包括的なアップデートとなっているが、ユーザーにとって大きな改善は以下の3つだ。

アクセシビリティの改善

 「Spectrum 2」はWebコンテンツアクセシビリティガイドライン(WCAG)に準拠しており、コントラストと明るさ、色覚異常でも判別しやすい色使い、視覚的要素を優先順位付けするアテンション階層などが意識されている。

 また、色の濃さやコントラストをカスタマイズできるオプションも提供され、個人の好みやニーズに幅広く対応するのも特徴。つまり、誰にとっても使いやすい「インクルーシブ」なデザインになっている。

色の濃さやコントラストをカスタマイズできるオプションも提供され、個人の好みやニーズに幅広く対応

より親しみやすく、表現力豊かに

 「Spectrum」の最初のバージョンはグレーを基調としたミニマルなデザインとなっており、いかにもプロフェッショナル好みといった風を漂わせていたが、「Spectrum 2」はより幅広いユーザーに使用されているオールインワンツール「Adobe Express」を題材に、より親しみやすいデザインを目指す実験が行われた。アイコンとタイポグラフィはよりフレンドリーな印象を求め、ストロークは少し太く、色は明るくなっている。

「Spectrum 2」の叩き台となった「Adobe Express」。プロ以外のユーザーも親しみた推デザインを目指している

クロスプラットフォームの一貫性

 近年のAdobeツールはデスクトップだけでなく、Webやモバイルへ展開されることが当たり前になっている。しかし、先代「Spectrum」の頃はまだそれが一般的でなく、デザインやエクスペリエンスはプラットフォームごとに異なるのが当たり前だった。

 「Spectrum 2」ではこれを改め、さまざまなプラットフォームで一貫したデザインが維持されている。一方で、ユーザーがそのデバイスやプラットフォームでAdobe製品に「慣れ親しんだ方法」で使えるよう、各プラットフォームの特性に合わせたデザインにもなっているという。

モバイル(左)のデザインから複合現実(右)まで、各プラットフォームの特性に合わせたデザイン

 「Spectrum 2」はWeb版製品を皮切りに、2024年以降同社のツールやエクスペリエンス全体に展開される予定。展開後も継続的にアップデートさせていくとしている。

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