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「GIMP 3.0」がリリース ~約7年ぶりの大規模アップデートで「GTK 3」ベースに

操作性も大きく向上、非破壊(NDE)フィルターの導入など改善点多数

「GIMP 3.0」がリリース

 「GIMP」の開発チームは3月16日、「GIMP 3.0」をリリースした。2018年4月リリースの「GIMP 2.10」依頼、約7年ぶりの大規模アップデートとなる。

 「GIMP」(GNU Image Manipulation Program)は、フリーかつオープンソースの画像編集・処理ソフト。Windows、Mac、Linuxなど、多彩な環境をカバーするクロスプラットフォームアプリで、写真のレタッチや画像合成、制作などで「Adobe Photoshop」に匹敵する実力を備える。1995年から開発が継続されている歴史あるアプリでもある。

 新しいメジャーリリースとなる「GIMP 3.0」の目玉は、 GUIライブラリが「GTK 3」へ アップグレードされたことだろう。

 「GTK」(The Gimp Toolkit)は、もともと「GIMP」のユーザーインターフェイスを構築するために開発されたオープンソースのGUIライブラリだが、現在では「GIMP」以外のクロスプラットフォームアプリで広く採用されている。しかし、「GTK」が順調に「GTK 3」から「GTK 4.0」へとステップアップしつつある一方で、本家の「GIMP」はなかなか「GTK2」から脱却できないでいた。「GIMP 3.0」の初期リリースは2020年であり、移行の苦労がいかに大きかったかが察せられる。

 「GTK 3」へのアップグレードにより、従来から大きな懸念とされてきたHiDPIスクリーンでのUIスケーリングが大幅に改善された。タブレット入力のサポート、Linux版におけるWaylandへのネイティブ対応、CSSベースのテーマシステムなども「GTK 3」移行によるメリットだ。

 もう一つの大きな改善は、 非破壊(NDE)フィルターの導入 だ。「GIMP 2.10」まではフィルターが自動でレイヤーにマージされてしまい、編集中に何度も取り消ししなければならなかった。しかし、「GIMP 3.0」ではそうした面倒がなくなり、フィルターのON/OFFといった操作が気軽に行えるようになる。「GIMP 2.10」に慣れたユーザーのため、以前の挙動を再現する「フィルターを結合」オプションも用意される。

非破壊(NDE)フィルターの導入で操作性が向上

 そのほかにも、「GIMP 3.0」では多くの改善が行われている。

  • PSDなど、多くのファイルエクスポートを改善。新しいフォーマットにも対応し、ほかのアプリケーションとの相互運用性が向上
  • ペイントツールを設定するだけで、必要に応じてレイヤーを自動的に拡張
  • プロ品質のテキスト作成。テキストのスタイル設定、アウトライン、シャドウ、ベベルなどの適用、テキストの編集、フォントやサイズの変更、スタイル設定の微調整も可能
  • 複数のアイテムを一度に選択したり、移動させたり、まとめて変形させたりといったレイヤー処理が強化
  • 「babl」ライブラリと「GEGL」ライブラリとの統合が進み、sRGB以外のRGB色空間をより広範囲にサポート。カラーマネジメントを継続的に強化中
  • 新しいアプリケーションロゴ
起動時に表示されるようになったウェルカムダイアログ

 「GIMP」は寄付歓迎のフリーソフトで、現在同プロジェクトの公式サイトからダウンロード可能。Windows版は、窓の杜ライブラリや「Microsoft Store」からも入手できる。対応OSがWindows 10以降になった点には注意したい。「GIMP」インストーラーはCPUアーキテクチャー(x86、x64、Arm64)を自動で認識し、デバイスに適したものをセットアップしてくれる。

ソフトウェア情報

「GIMP for Windows」
【著作権者】
Spencer Kimball、Peter Mattis and the GIMP Development Team
【対応OS】
Windows 10以降(編集部にてWindows 11で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト(寄付歓迎)
【バージョン】
3.0(25/03/16)