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Microsoft、「Windows AI Foundry」を発表 ~「Windows Copilot Runtime」の発展形
AIモデルへアクセスし、選び、最適化し、アプリで活用するまでをカバー
2025年5月20日 13:30
米Microsoftは5月19日(現地時間)、開発者向けカンファレンス「Build 2025」で「Windows AI Foundry」を発表した。昨年発表した「Windows Copilot Runtime」を発展させたもので、モデルの選択から最適化、微調整、クライアントとクラウド間での展開まで、AI開発者のライフサイクルをサポートする統一された信頼性の高いプラットフォームを提供するという。
「Windows AI Foundry」は、要するにアプリ開発者がWindowsデバイス上で動作するAIアプリを構築するにあたり必要となるものをひとまとめにしたものだ。AI開発を始めたばかりの開発者にもわかりやすく最新のAI機能を提供することで、AI開発の“民主化”を目指す。
- Windows AI API:「Copilot+ PC」のユーザー向けの AI サービスを統合
・Phi Silica(テキスト生成):ローカルで動作する小規模言語モデル(SLM)
・AI Imaging:画像の超解像、説明生成、オブジェクト識別・削除
・テキスト認識:AIを用いて画像内のテキストを検出・抽出し、機械が読める文字ストリームに変換 - Foundry Local:クラウド提供されている「Azure AI Foundry」のローカルバージョン。Windows AI APIではカバーできないシナリオにも対応できる
- Windows ML:「DirectML」(DML)を発展させ、あらゆるデバイス(NPUやGPUがなくても可)で、さまざまなAIモデルを「ONNX」に変換して統一的に扱えるようにする
- 開発ツール:「AI Toolkit for Visual Studio Code」や「AI Dev Gallery」などのサポートツール
「Windows AI Foundry」であれば、開発者はインボックス(OS同梱)のAIモデルやオープンソースモデルへより簡単にアクセスし、自身のデバイス(CPU、GPU、NPU)で利用できるものを選び、最適化し、アプリで利用できるようにするまでがシームレスに行える。一般的な用途を外れる場合でも、独自のモデルを構築したり、OS同梱のSLM「Phi Silica」を「LoRA」(low-rank-adaption)のようにカスタムデータで微調整したりできるため、対応が可能だ。
加えて、セマンティック検索とナレッジ検索のための新しいAPIが提供される。これらのAPIは「RAG」(Retrieval-Augmented Generation)もサポートしており、開発者はLLMの出力を独自のカスタムデータでグラウンディング(根拠付け)できる。
「Phi Silica」の「LoRA」対応は、「Snapdragon X」シリーズのNPUと「Windows App SDK 1.8 Experimental 2」の組み合わせで本日からパブリックプレビューとして利用可能。今後数カ月でIntelおよびAMDの「Copilot+ PC」でも利用可能になる見込みだ。LLMのセマンティック検索とナレッジ検索APIは本日よりプライベートプレビューが開始されており、早期アクセスへの登録が可能だ。