使ってわかるCopilot+ PC

第34回

NPU対応を含む25種類以上のローカルAI機能を試せる「AI Dev Gallery」

超解像度や人物のポーズ検出、画像のラベリングなどのNPU対応機能をテスト

「AI Dev Gallery」のメイン画面

ローカルAIのサンプルデモを動かせる開発者向けツール

 Microsoftが提供する「AI Dev Gallery」は、Windowsで動作するローカルAIのサンプルを25種類以上集めた開発者向けツール。Microsoft Storeから無料でダウンロードでき、3月13日時点ではプレビュー版として提供されている。

 AIはテキスト、スマートコントロール、コード生成、画像、音声・ビデオの各カテゴリに分けられ、現時点では計30種類が用意されている。それぞれに使い方の解説やサンプルコード、そしてデモが用意されている状態だ。

 ただし一部の機能は、Insider PreviewビルドのDevまたはBetaチャネルを導入したCopilot+ PCでのみテスト可能とされている。いずれは通常版でも利用できるようになると思われるが、本ツールの全機能を試したければInsider PreviewビルドのDevチャネルに切り替える必要がある。

 開発者向けとはされているが、AIのサンプルを試したい程度であれば、誰でも利用可能だ。今回はサンプルのうち、NPUを利用できる機能を見ていきたい。

ローカルAIを手軽に動かせる

 デモを利用するには、左のタブから[Samples]を選択。各AI機能がリストアップされるので、この中からNPUを活用する機能を探していく。

 例として[Enhance Image]を選んでみる。画面上部にある[Image Super Resolution]と書かれたプルダウンメニューをクリックすると、[Downloadable models]として[ESRGAN]というものが表示される。これはCPU、GPU、NPUのそれぞれで実行可能なAIモデルとなっている。右側にあるダウンロードボタンをクリックすると、デモがインストールされる。

まずはAIモデルをダウンロード

 インストールが完了したら、再び上のプルダウンメニューをクリック。[ESRGAN]のCPU用モデルが選択されている状態なので、NPUモデルをクリック。これでNPUを使用する環境が整う。

NPU対応モデルを選択する

 [Enhance Image]は、「Copilot+ PC」の「フォト」アプリに実装されている超解像処理のこと。[Select Image]のボタンをクリックし、適当な画像を選べば、NPUが400%に拡大した画像を生成してくれる。

選んだ画像がNPUを用いて超解像処理される

 他のデモも同じ要領で使用できる。現時点でNPU対応しているものは、人間のポーズを検出してモデル化する[Detect Human Pose]、画像から道路を見分ける[Segment Street]、写真を読み取りテキストラベルを付ける[Classify Image]がある。

[Detect Human Pose]。人物がはっきりと写っている画像から、ポーズを推定する
[Segment Street]。道路が写った画像から、道路を見分けてセグメントごとに色分けする
[Classify Image]。画像分類モデルを用いて、写真にラベルを付ける。各ラベルには信頼度スコアも表示される

 本来はこれらのデモを動かしつつ、C#で書かれたサンプルコードを参照し、開発の参考にするというものだ。すべて英語なので、日本の一般ユーザーが利用するにはややハードルが高めかもしれないが、使い方は難しくない。ローカルAIで何ができるのかを一覧するツールとしては、とても有用なものだと思う。

デモを動かしながらサンプルコードを参照できる
著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/