使ってわかるCopilot+ PC
第35回
「Snapdragon X」搭載PCでは「モンハンワイルズ」が動かない? ならば「GeForce NOW」だ!
2025年3月21日 06:55
「Snapdragon X」搭載機でもPCゲームを存分に楽しむ方法
本連載では「Copilot+ PC」のさまざまなAI機能を紹介しているが、記事への反応で最も多いのは、『でもArm搭載機だとソフトが動かないかもしれない』というものだ。AIの話と関係ないのが少し寂しいが、至極真っ当な感想だと思う。
実際、ほとんどのソフトは何ら問題なく動くのだが、IMEやゲームなど、一部のカテゴリでは動作に問題が出るものがあるのは事実だ。筆者はPCゲームの連載も執筆しており、Armアーキテクチャベースの「Snapdragon X」搭載機で新作ゲームをあれこれ動かしてみているが、やはり動かないものはある程度存在する。
例えば、先日発売されて世界的な人気となっているカプコンのアクションゲーム「モンスターハンターワイルズ」は、「Steam」からインストールまではできるものの、起動しようとすると途中で強制終了してしまい、ゲーム画面を見ることもできない。理由はGPUの性能不足ではなく、チート対策などでカーネルレベルで動作するプログラムが含まれているためだと思われる。
こうなるとゲーム側が対応してくれないことにはお手上げ……なのだが、回避策としておすすめしたいのが、クラウドゲーミングサービス「GeForce NOW」だ。
「GeForce NOW」なら「モンハン」最新作も遊べる
「GeForce NOW」はNVIDIAが開発したクラウドゲーミングサービスで、サーバー側でゲームを実行し、映像をプレイヤー側にストリーミングで送信。プレイヤーの操作はインターネットを介してサーバーに届けられる。リモートデスクトップができるレンタルサーバーのゲーム特化版、というイメージだ。
サーバー側で用意されるのはゲームを動作させるPC(「GeForce NOW」ではリグと呼ばれる)だけで、ゲームソフトはユーザーが用意する必要がある。「Steam」や「Epic Games」といったPCゲームストアでゲームを購入し、「GeForce NOW」のアカウントと各ストアの情報を連携することで、サーバー側にインストールされたゲームを動かせる。
この仕組み上、「GeForce NOW」が提供していないゲームをプレイできないというのが弱点の1つなのだが、世界的にメジャーなタイトルはほぼラインナップされている。「モンスターハンターワイルズ」も、発売から10日ほど遅れたものの、現在は「GeForce NOW」の対応タイトルに含まれている。
利用料金はサーバー側の性能の違いで、月額1,790円と3,580円の2プランがある。6カ月の長期プランにすれば1カ月分の値引きもある。なお無料で試せるプランもあるのだが、サーバーの空き待ちで長時間待たされることが多いので、試すなら月額料金を1回払ってみることをおすすめする。こちらも待ちが出る時はあるが、無料プランよりははるかに短く、上位プランは特に短いとされている。
本サービスの具体的な内容については、下記の記事をご覧いただきたい。実際に「モンスターハンターワイルズ」を試した際の情報も掲載している。
「GeForce NOW」は「Snapdragon X」で動く!
さて、上の記事で利用したPCは、どちらもインテル製CPUを搭載した筆者のデスクトップPCだ。重要なのは、「Snapdragon X」搭載機で「GeForce NOW」が正常に動作するかどうかである。
「Snapdragon X Plus」を搭載した「Surface Laptop(第7世代)」で試してみよう。「GeForce NOW」のアプリをダウンロード、インストールして、実行。問題なく起動し、メイン画面が表示された。
「GeForce NOW」のシステム要件を見ると、「Snapdragon X」搭載機にベータ対応と書かれている。完全対応ではないかもしれないが、公式に動作する状態にはなっている。
では「GeForce NOW」から「モンスターハンターワイルズ」を起動してみよう。起動には少々時間がかかるが、これはインテル製CPUを搭載したローカルPCでも同じだ。ほどなく、無事にゲームが起動した。
「Surface Laptop(第7世代)」にUSBゲームパッドを接続すると、ローカルPCとほぼ変わらない高画質と、遅延を感じない快適な操作感でプレイできた。強いて言えば、Wi-Fiよりも有線LAN接続した方が通信の安定感は増すが、筆者宅のWi-Fi 6環境でも滅多に問題は起きない。
ちなみに「Surface Laptop(第7世代)」はディスプレイ解像度が2,304×1,536ドットと特殊なのだが、「GeForce NOW」の標準設定で「モンスターハンターワイルズ」を起動すると、サーバー側では2,560×1,600ドットで実行されていた。横が若干の縮小表示になるが、プレイに違和感を覚えるほどではない。
「Snapdragon X」搭載機では確かに動かないゲームはあるが、「GeForce NOW」を使えばそういったゲームもプレイ可能だ。そもそも「Snapdragon X」の内蔵GPUでは、描画負荷が重いな3Dゲームを動かすことは難しいが、「GeForce NOW」ならそれもクリアできる。
AIが使える「Copilot+ PC」が欲しいけれど、PCゲームを満足に動かせるゲーミングPCが欲しい。でも両方買うのはさすがに……という方には、「GeForce NOW」との組み合わせがおすすめだ。
筆者は「GeForce NOW」の記事を既に何度も書きすぎて、もはや宣伝くさくなりつつあるが、実際、とても融通が利く便利なサービスだ。PCだけでなくスマホやWebブラウザーからも利用できるし、セーブデータもサーバー側に保持できる(各ストアアプリのクラウド同期も機能する)ので、PCゲームを遊ぶ環境がぐっと広がる。ぜひお試しいただきたい。
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/