レビュー

「OneNote」に音声入力・読み上げ機能を追加する「OneNote 学習ツール」アドイン

読解・書字に困難のあるユーザー向けツールだが、一般ユーザーにとっても便利

「OneNote 学習ツール」アドイン

 「OneNote 学習ツール(Learning Tools for OneNote)」は、学習障害をもつ生徒などのために開発された「OneNote」用のアドイン。「OneNote 2013」および「OneNote 2016」に対応するフリーソフトで、編集部にてWindows 10上の「OneNote 2016」で動作を確認した。「OneNote」の公式サイトから無償でダウンロードできる。

 学習障害とは、知的能力に異常がないにもかかわらず、読解・書字・計算などに大きな困難を抱え、学習面でハンディキャップを負っている状態をいう。たとえば俳優のトム・クルーズは“難読症(ディスレクシア)”であったことを告白しており、書かれた脚本を読んで理解するのが困難だったという。しかし、脚本を読み聞かせてもらえば理解や記憶は可能で、実際に役者としての能力になんら問題はない。つまり、目の悪い人が眼鏡をかけるのと同様、補助的な手段を用いれば克服しうるものだ。

 「OneNote 学習ツール」は、学習障害を抱える生徒にとっての“眼鏡”の役割を果たすアドインだ。大きく分けて読解を助ける“イマーシブ リーダー”と、書字を助ける“ディクテーション”という2つの機能を備えており、いずれもインストールすると“リボン”に追加される[学習ツール]タブから簡単に利用できるようになっている。

 “イマーシブ リーダー(Immersive Reader)”は、読字の妨げになる「OneNote」のユーザーインターフェイスを取り払い、ドキュメントの内容に集中するための機能だ。有効化するとドキュメントが全画面で表示され、テキストが大きく、読みやすく表示される。テキストの大きさや間隔を調整したり、テーマを選択することも可能で、ユーザーに合わせてカスタマイズできる。

 また、音声による読み上げ機能を搭載しており、耳でテキストの内容を把握することも可能。読み上げの際は当該部分がハイライトされるので、どこを読んでいるのかもわかりやすい。英語ならば品詞分解して色分けすることも可能で、文章の構造を理解するのを助けてくれる。

ドキュメントの内容に集中できる“イマーシブ リーダー”。テキストの大きさや間隔を調整したり、テーマを選択することも可能
音声による読み上げ機能を搭載

 一方、“ディクテーション(書き取り)”機能はマイク入力した音声をテキストへ変換することが可能。最新版では日本語もサポートされており、比較的堅めの文章であればそれなりの精度で認識できる。

マイク入力した音声をテキストへ変換する“ディクテーション(書き取り)”機能

 これらの機能は、けっして学習障害をもつユーザーのためだけのものではない。エレベーターが障害者のみならず、障害のない人にとっても有用であるように、「OneNote 学習ツール」は一般ユーザーにとっても便利なものだ。実際、“イマーシブ リーダー”機能は一般ユーザーにも好評で、オンライン版「Microsoft Office」や「Microsoft Edge」のEPUBリーダー機能にも導入されている。また、ドキュメントスキャナーアプリ「Office Lens」のOCR機能と組み合わせて、紙のテキストを読み上げるといった用途も考えられるだろう。

デスクトップ向け「OneNote 2016」は無償でダウンロード可能

 なお、デスクトップ向け「OneNote 2016」は、「OneNote」のダウンロードページから無償でダウンロード可能。“Windows デスクトップ”というリンクから32bit版がダウンロードできるほか、すでに64bit版「Microsoft Office」を導入している環境向けの64bit版も用意されている。

ソフトウェア情報

「OneNote 学習ツール」
【著作権者】
Microsoft Corporation
【対応OS】
(編集部にてWindows 10で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.3.0.0(07/03/31)