レビュー

解凍時の文字化けを抑止できる無料の国産圧縮・解凍ソフト「CubeICE」のおススメ設定

「Mark of the Web(MOTW)」にも対応しており、安心感が高いのがうれしい

「CubeICE」v3.1.0

 受け取った圧縮ファイルを解凍(展開)したら、ファイル名が文字化けしていて困った経験が一度はあるだろう。Macなど、文字コードの異なる環境で圧縮された場合に起こりがちだ。相手に再送を依頼するのも気が引けるし、意図が伝わらずに解決しないことも多い。そんな時は文字化けに強い圧縮・解凍ソフト「CubeICE」を使ってみよう。

圧縮ファイルを解凍したら、中身のファイルが文字化けしてしまった経験はないだろうか? 文字化けに強い国産の圧縮・解凍ソフト「CubeICE」を試してみよう

 日本のアプリ開発会社(株)キューブ・ソフトが提供する「CubeICE」は、文字コードを自動判別して適切な文字コードへ変換してくれるため、文字化け回避にうってつけだ。ZIP/7-ZIP/GZIP/BZIP2/LHA/RAR/CAB/TAR/DMGといった20種類以上のファイル形式に対応しており、個人・法人を問わず無償で利用できる。

 また、パスワード付きのZIPファイルの作成には、何らかの圧縮・解凍アプリが必要になるが、もちろん「CubeICE」は対応。設定画面以外のUIは持たず、右クリックメニューを基点とする操作が潔い。インストールしたままでも不便はないが、今回はカスタマイズして使いこなすヒントを紹介したい。

ファイルの関連付けを設定する

 インストール完了前に[CubeICE設定]ダイアログボックスが表示され、設定しないと先に進まない。少し戸惑うが、とりあえず[OK]ボタンをクリックしてインストールを完了しよう。[CubeICE設定]ダイアログボックスは、デスクトップに作成される[CubeICE設定]のショートカットか、[スタート]メニューから呼び出せる。

インストール完了前に[CubeICE設定]ダイアログボックスが表示される。[OK]をクリックしてインストールを完了しよう。[CubeICE設定]ダイアログボックスは、デスクトップに作成される[CubeICE設定]のショートカットか、[スタート]メニューから呼び出せる

 初期状態で、ZIP/LZH/RAR/7Z/TAR/GZ/TGZ/BZ2/TBZ/XZ/TXZ/のファイル形式が「CubeICE」に関連付けられる。特に変更する必要はないと思われるが、好みの分かれる挙動ではある。

 「CubeICE」に関連付けられた圧縮ファイルは、ダブルクリックで設定したディレクトリに即解凍される。ちょっと中身を確認したいだけなら余計な動作に感じるだろう。設定を変更してツールチップで内容確認することもできる(後述)が、右クリックメニューの[プログラムから開く]から[エクスプローラー]を選んでWindowsの標準機能を使う手もある。

 また、デスクトップに自動的に作成される[CubeICE設定]のショートカットを削除したい時は[デスクトップに作成するショートカット]の[設定]のチェックを外しておく。チェックを付けたまま設定を更新すると、削除した[CubeICE設定]のショートカットが再び作られてしまうので注意。

「CubeICE」と関連付けられたファイルをダブルクリックすると、設定したディレクトリに即解凍される
[ファイルの関連付け]でチェックを付けた形式のファイルはダブルクリックで即解凍される。使い方に応じて選択しよう。デスクトップ上の[CubeICE設定]のショートカットが不要なら[デスクトップに作成するショートカット]の[設定]のチェックを外しておく。なお、[アイコンの変更]から「CubeICE」に紐付けられたファイルのアイコンを変更することも可能だ

右クリックメニューのカスタマイズ

 ファイルを圧縮する際、一般的にZIPとパスワード付きのZIPが作成できれば事足りるだろう。また、解凍時は圧縮ファイルと同じフォルダーなどの特定の場所を指定することが多い。これらを考慮して、項目にアクセスしやすいように、右クリックメニュー直下に圧縮用として[Zip]、[詳細設定]、解凍用として[場所を指定して解凍]の項目を表示してみよう。

 一般的なパスワードなしのZIPファイルを作成する時は[Zip]、パスワードやファイル形式などを指定したい場合に[詳細設定]を選択すればいい。「CubeICE」と関連付けられたファイルはダブルクリックで即解凍されるため、[場所を指定して解凍]の項目を選択する機会は少ないと思うが、解凍先の指定ができるように残しておいた。

インストール直後の圧縮メニュー。あまり使わない項目は非表示にできる
インストール直後の解凍メニュー。解凍先のフォルダーは[CubeICE設定]ダイアログボックスの[解凍]タブで固定できるため、[場所を指定して解凍]以外のメニューは不要ともいえる
[カスタマイズ]をクリックする。[コンテキストメニュー]内のチェックをON/OFFして設定しても構わない
左側が選択可能な項目。[→]と[削除]を使って、コンテキストメニューに表示する項目を設定する。[メニュートップ]は右クリックメニュー直下の意味。ここでは、圧縮用に[Zip][詳細設定]、解凍用に[場所を指定して解凍]の項目を残した。[OK]をクリックする
[CubeICE設定]ダイアログボックスに戻る。カスタマイズしたので[コンテキストメニュー]のチェックボックスがグレーアウトしている。このまま[OK]をクリックして設定を更新する。なお、[リセット]をクリックすれば初期状態に戻る
カスタマイズ後の右クリックメニュー。[Zip]、[詳細設定]、[場所を指定して解凍]の項目が表示されている。一般的なパスワードなしのZIPファイルを作成する時は[Zip]、パスワードやファイル形式を指定したい場合は[詳細設定]を選択する。[場所を指定して解凍]は解凍先を指定したい時だけ使う
右クリックメニューから[詳細設定]を選択後の画面。圧縮ファイルの保存先、ファイル形式、圧縮レベル、パスワードなどを指定可能。実際のところ、保存先とファイル形式、パスワードを指定するために使うことがほとんどだろう。ほかの項目をあえて変更する必要はない

「圧縮」と「解凍」に関する設定

 必要に応じて[圧縮]タブと[解凍]タブの設定を変更しておこう。ここでは主な機能を紹介する。

圧縮設定

 デフォルトの圧縮先はデスクトップだが、元ファイルと同じフォルダーや実行時に指定できるように変更可能だ。また、圧縮レベルは[無圧縮]~[最高圧縮]までの7段階で設定できるが[標準]で問題ない。[高圧縮]や[最高圧縮]を選択すると処理に時間がかかるので注意。

 文字コードの異なる環境で圧縮ファイルを扱う可能性があるなら[ファイル名をUTF-8に変換する]のチェックを付けておくといい。

デフォルトの圧縮先はデスクトップ。任意のフォルダーを指定できる。好みで[元ファイルと同じフォルダ]や[実行時に指定する]を選択可能。[オプション]の項目は特に変更しなくても構わない

解凍設定

 解凍先は右クリックメニューとの兼ね合いで設定するといい(デフォルトはデスクトップ)。圧縮ファイルをダブルクリックした時の動作を指定することになる。

 先ほど[場所を指定して解凍]を右クリックメニューに表示したので、ここでは[元のファイルと同じフォルダ]を選択した。例えば[実行時に指定する]を選択して、右クリックメニューには[ここに解凍]を表示するように設定してもいいだろう。

[保存場所]は、圧縮ファイルをダブルクリックした時の動作の指定。カスタマイズした右クリックメニューとの組み合わせを考えて設定する。また、[オプション]の項目は変更しないほうがいい

 [解凍]タブの[オプション]の項目は変更する必要はない。というより変更しないほうがいい。必要な項目にはチェックが付いている。[解凍後に元のファイルを削除する]の意味はそのまま、チェックを付けると解凍と同時に元の圧縮ファイルが削除される。あえてチェックを付ける必要はない。

 [ZoneIDを伝播する(Mark of the Web)]の項目は、V3.0.0のメジャーアップデートで対応した機能。ZoneIDとは、インターネットからダウンロードされたファイルにWindowsが付与する情報で、出所の怪しいファイルをユーザーが不用意に実行してしまうことを防げる。解凍後のファイルに「Mark of the Web(MOTW)」のセキュリティマークが引き継げるように、チェックを付けておくのが望ましい。

「Mark of the Web(MOTW)」のセキュリティマークが付与されたファイルの例。[許可する]にチェックを付けると実行できるようになる

圧縮時のフィルタリングと圧縮ファイルの内容確認

 [詳細]タブでは圧縮時に除外するファイルを指定できる。初期状態では「DS_Store」「Thumbs.db」「_MACOSX」「desktop.ini」を除くように指定されている。よく使うアプリで自動的に生成される設定ファイルなどがあれば、圧縮ファイルに含めないように追記しておくといい。

 [圧縮ファイルのツールチップにファイル一覧を表示する]のチェックは、エクスプローラー上で圧縮ファイルにマウスポインターを合わせた時、含まれるファイルの一覧をツールチップで確認できるようになる。

[フィルタリング]には圧縮時に除外したいファイルを記述しておく。思い当たらなければ変更する必要はない。圧縮ファイルの内容をチップで確認したい時は[圧縮ファイルのツールチップにファイル一覧を表示する]のチェックを付けておく。表示できる件数は「20」まで指定可能
[圧縮ファイルのツールチップにファイル一覧を表示する]のチェックを付けると、マウスポインターを合わせた時に圧縮ファイルの内容をツールチップで確認できる

すばやく圧縮・解凍できるのが快適

 文字化けに強いことが「CubeICE」の特徴だが、導入後に圧縮・解凍の操作が快適になることにも注目したい。Windows 10の標準機能でファイル圧縮するには、右クリックから[送る]-[圧縮(zip形式)フォルダー]と辿る必要がある。解凍では[すべて展開]からダイアログボックスを表示し、保存先を指定して[展開]をクリックする。慣れた操作かもしれないが意外と煩わしい。

 一方、「CubeICE」なら、右クリックからの“即圧縮”“即解凍”が可能だ。右クリックメニューに表示されるピンク矢印(圧縮)と青矢印(解凍)は視認性が高く選択に迷わないのもいい。対応するファイル形式も十分だ。導入する圧縮・解凍ソフトの候補として検討する価値はあるだろう。

ソフトウェア情報

「CubeICE」
【著作権者】
(株)キューブ・ソフト
【対応OS】
編集部にてWindows 10で動作確認
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
v3.1.0(23/08/01)