レビュー

マンガ用フォント「F910新コミック体」に統一感を加えた「源暎アンチック」

仮名文字をモダンなテイストへ、全体のバランスを重視

「源暎アンチック」v1.0

 「源暎アンチック」は、マンガの台詞に最適な日本語フォント。Windowsなどに対応するOpenTypeフォントで、作者のWebサイトからダウンロードできる。そのライセンスは“SIL Open Font License 1.1”となっており、フォント単体での販売やライセンスの変更などを除けば、あらゆる条件で無償利用することが可能。

 「源ノ角ゴシック」の派生フォントとしてオープンソースで公開されている「F910新コミック体」はマンガ用の日本語フォントであり、オリジナルデザインの仮名文字が肉付きのよい明朝体となっている。小振りで古風な印象の仮名文字がモダンな「源ノ角ゴシック」の漢字と融合し、和心溢れる味わいを醸し出す。

 そんな特徴を活かしつつ、全体のバランスも考慮した派生フォントが「源暎アンチック」だ。「F910新コミック体」の仮名文字を「源ノ角ゴシック」の漢字に合わせて、より大きくモダンなテイストへと調整。また、同じくオープンソースで公開されている英字フォント「Linux Biolinum」を英数字および記号として採用した。

 画線の太さに強弱をつけたサンセリフ体の「Linux Biolinum」は明朝体とゴシック体の中間といった印象。そのため、「F910新コミック体」の仮名文字と「源ノ角ゴシック」の漢字にバランスよく馴染む。

 「源暎アンチック」に収録されている漢字は「源ノ角ゴシック」のそれとなるが、厳密には「源暎アンチック」の作者が制作した「源暎ゴシック」からの流用だという。なお、「源暎ゴシック」は「源ノ角ゴシック」の使い勝手を向上させた派生フォントであり、同じく無償公開中だ。

「源暎アンチック」の元になった「F910新コミック体」

ソフトウェア情報

「源暎アンチック」
【著作権者】
おたもん 氏、フォント910、Adobe Systems Incorporated、Philipp H. Poll 氏
【対応OS】
Windowsなど
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.0(15/09/12)

(中井 浩晶)