Blender ウォッチング

VTuberモデルの衣装を「柄物」に変更する方法

テクスチャペイントで服に模様をペイントしよう!

 本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。

今回の目標

 前回は「Blender」で衣装の表面に直接絵を描く方法を解説しました。

 実際には衣服の大半は「ストライプ」や「ドット」「チェック」などの模様が入っていることが多いですよね。これらを一つ一つ描くのは拷問に近いので、ここではブラシに「テクスチャ」を設定し、模様をペイントする方法を解説したいと思います。

テクスチャブラシの使用

 ドット模様とチェック模様の2つのテクスチャ画像を用意しました。Webブラウザーの右クリックメニューなどでダウンロードし、判りやすい場所に保存しておいてください。ライセンスはクリエイティブコモンズ0(CC0)です。

ドット柄
チェッカー柄
  1. [ブラシツール]使用中であることを確認します。
  2. 画面左側の[プロパティエディター]の[ツール]タブから、[▼ブラシ設定]→[▼テクスチャ]をクリックします。
    [プロパティエディター]内の下の方にありますが、見えない場合は、[プロパティエディター]をスクロールしてみてください。
  3. 出てきた[新規]ボタンをクリックします。

    [プロパティエディター]の[テクスチャ]エリアにある[新規]ボタンをクリック

  4. [テクスチャ]タブ(一番下のチェッカー模様のアイコン)をクリックし(①)、[▼画像]→[▼設定]と展開して[開く]ボタン(②)でファイルブラウザーを開きます。

    [プロパティエディター]の[テクスチャ]タブでの表示

  5. 先ほど保存したファイルを指定します。

    ファイルブラウザーでの表示(一例ですので実際とは異なります)

  6. [ツール]タブ(ドライバーとスパナのアイコン)をクリックして戻り(①)、上の[▼ブラシ設定]→[ブレンド]を[乗算]にします(②)。
    これで書きこまれた服のシワをあまり消さずに塗ることができます(何度も塗ると消えますが)。
  7. 下の[マッピング]に[タイル状]が選択されていることを確認し、そうでなかったら設定します(③)。

    ブラシテクスチャの設定

ブラシのテクスチャを切り替えたい場合

 ブラシのテクスチャを切り替えたい場合は、以下の手順で可能です。

  1. [テクスチャ]タブ(①)をクリックする。
  2. [▼画像]→[▼設定]からフォルダー型のボタン(②)でファイルブラウザーを開き、画像を選択する。
  3. 読み込み済みの画像であれば、名前の左側の画像アイコン型のボタン(③)をクリック
    して画像を選択する。この場合、選択される前のブラシのテクスチャ画像は保存時に消えますので、必要であれば盾型のボタン(④)をONにして保護してください。
ブラシテクスチャの切り替え

画像エディターでのペイント

 それでは早速[3Dビューポート]で塗って……え? スカートにそって模様が付いてくれない? これは困りましたね……。

 残念ながら執筆時点でも、「Blender」のテクスチャペイントには面の方向によって自動的にブラシを傾ける機能がありません。

普通に[3Dビューポート]で塗るとこうなってしまう

 しかし幸いなことに、このモデルではスカートの「UV座標」が長方形に展開されています。そこで、左側の[画像エディター]の方で直接ペイントしちゃいましょう。

注意点

  • テクスチャの大きさは「ブラシサイズ」と「エディターのサイズ」に依存しますので、先にブラシサイズを大きくしておいてください。
  • 一回のペイント(マウスドラッグを始めてボタンを離すまで)で塗らないと、重なった部分が濃くなってしまいます。

 これらの制約があるため、この模様を衣服に書く時は、画像エディターを広げるか、ズームアウトして対象部分がエディター内に収まるようにしてから、一気に塗りつぶしてください。

[画像エディター]でスカートの模様をペイント。失敗したら[Ctrl]+[Z]キーでやり直しちゃいましょう

テクスチャの保存

 さて、せっかく書いたテクスチャも、保存しないと意味がないですよね。

 VRM形式からインポートした場合、テクスチャ画像は[.blend」ファイルに同梱(パック)されていますが、単にblendファイルを保存するだけでは、変更した画像は保存されません。

 画像の保存方法には2つあります。

  1. 左側の[画像エディター]の[画像]メニュー→[保存]で保存し、.blendファイルも[ファイル]メニュー→[保存]で保存する(片方の保存だけでは保存されないので注意)。
  2. 「Blender」を終了する。終了時に、「閉じる前に変更を保存しますか?」と聞かれるので、[保存]をクリックする。

 最終的には「Blender」を終了するので、2つ目の方法でもいいのですが、不意のクラッシュや停電で保存されない場合もありますので、1つ目の方法でこまめに保存しておいた方がいいかもしれません。

ファイルが複数なのはテクスチャ+ブラシテクスチャなため

 最後に、VRM形式にエクスポートし、VRM表示アプリ(ここでは「3teneFREE」を使用)で表示してみました(エクスポート方法については以前の記事を参照してください)。

 スカートが均一に広がっていなかったり、柄が歪んでいるのは、ポーズによる変形または物理演算の所為だと思われます。他のVRM表示アプリでも同様の問題が起こるかどうかは不明です。

「3teneFREE」によるVRMファイル表示

おわりに

 いかがでしたか? ちょっと面倒な部分はあったかとは思いますが、楽しんでいただけたら幸いです。お疲れさまでした。