「ただ水上に家を建てるだけ」のゲーム「Townscaper」

「Townscaper」のタイトル画面

　今回紹介する「Townscaper」（タウンスケーパー）は、「水上に家を建てるだけ」のゲーム。映画『紅の豚』の舞台と言われるアドリア海の街を思わせる、赤い屋根の石組みの家を好きなように建てていくという内容だ。

ゲーム開始時。海のような広い水場の中に、小さな島と家がある

　ゲームを始めると、海のような広い水場に、小さな島と家がぽつんと現れる。水場の好きな場所をクリックすると、土が盛り上がって島のような陸地ができる。さらにその近くの水場をクリックすると、盛り上がった土地が繋がって広い陸地になる。これを何度も繰り返すと広い土地ができる。土地はくっつけなくても、離れた島をいくつ作っても構わない。

水場をクリックすると盛り上がって土地ができる

　今度はできあがった土地の上をクリックしてみると、小さな家が建つ。家の横をクリックすれば家が横に伸びて広くなり、家の屋根をクリックすれば上に伸びて2階ができる。同じようにクリックすれば、もっと広い家も、より高い家も作れる。

できた土地をクリックすると家ができる

　画面左にあるカラーマークを選ぶと、建てる家の壁の色を指定できる。違う色の家を隣接して建てると、真ん中で色が分かれた広い家になる。色をどんどん変えて建てていけば、色合い豊かなカラフルな家も作れる。

　家の大きさや高さ、色は自由に選んで構わない。地面もどんどん広げられるので、自分の好きな家をどんどん建てていく。左クリックで土地や家を生成できるほか、右クリックで削除もできるので、失敗しても大丈夫だ。

色や形の違う家を作れる

　本作でプレイヤーが直接できることは、これだけ。ブロックトイを組み合わせていくような感覚で、地面を作り、好きな色と好きな形の家を作る。時間制限もなく、土地や家の個数制限もなく、ゲームクリアの概念もない。

　筆者も最初は「これのどこが面白いんだろう？」と訝しみつつ遊び始めた。BGMも流れない静かな環境で、水上を適当にクリックすると、ポコンという音とともに土地が生まれる。適当に連打すると、土地や家がポコポコと出てくる。今度は土地の形を整えて、色を変えながら建物を建てていく。

　だんだんと建物が増えていくと、街っぽさが出てくる。やたら高い建物を建ててみたり、離れた建物を空中で繋いだり、どんな家が作れるのかといろいろ試していくうちに、なんだか楽しくなってくる。

いろんな形の土地や家を作ってみる

　最初に本作を、「水上に家を建てるだけ」と言ったが、作っているうちにちょっとしたインタラクティブ性が見えてくる。例えば1階ごとに色を変えながら高い家を建てると、一番上が灯台に変化する。またある程度広い家を建てると、屋根の部分が平らな陸地に変わり、その上にさらに家を建てられるようになる。

　他にも家の作り方によって、道路脇に街路樹やベンチが置かれたり、中庭ができたり、家と家の間に縄を飛ばして洗濯物がかけられたりする。プレイヤーはただ家を建てているだけなのに、ある法則性をもって家を建てると、普通とは違うビジュアルが発生する。今までとは違うデザインの家を作れば、何か新要素が見つかるのではと期待して作っていくと、宝物を探すかのような新しい面白さが出てくる。

高い建物の先端に灯台

中庭のある長い家

　こんな街を作れという指示はないし、何かが作れたからといって報酬が出るわけでもない。唯一プレイ目標があるとしたら、数種類あるXboxの実績解除くらいだ。ゆえに本作をゲームと呼ぶべきかは賛否が分かれると思うし、何なら本作の説明に「ゲーム性もありません」とすら書いてある。

　筆者はゲーム性などという曖昧な概念自体がどうでもいいと思っている。そんなゲーム定義論よりも大事なことは、本作にはプレイヤーを熱中させるだけの要素がちゃんとあるということだ。ポコンポコンという音を聞きつつ街を作っているだけで、プレイヤーを没頭させる不思議な非日常感がある。数分で飽きる人もいれば、何日も遊びこむ人もいると思うが、それはどんなゲームでも同じことだ。

　加えて本作は、とても「スクショ映え」する作品だと思う。他の作品とは一味違う、見た目だけでも独特な魅力を放つ作品であることは確かだ。小さな子供でも十分遊べる内容なので、細かいことを考えず、ぜひ気軽にプレイしてみていただきたい。

高い位置に家を繋いで、広い土地を作った

家をうまく配置すると、家の周囲に何かが勝手に作られることもある

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