Windows新標準アプリ徹底解説

デスクトップのスクリーンショット撮影は「Snipping Tool」アプリにお任せ!

「切り取り領域とスケッチ」の長所も引き継ぎ、シンプルで使いやすいツールに

「Windows 11 バージョン 21H2」

 Windows 11で刷新されたインボックス(OS同梱)アプリを紹介する本連載。今回は、デスクトップのスクリーンショットを撮影できる「Snipping Tool」アプリを紹介する。

 「Snipping Tool」は、Windows Vista以降のOSに標準搭載されているデスクトップのキャプチャー(撮影)アプリ。スクリーンショットをクリップボードにコピーする[Print Screen]キーと異なり、撮影までの待機時間を指定したり、スクリーンショットを編集・加工できるのが特徴だ。

Windows 11の「Snipping Tool」アプリ

 「Windows 10 バージョン 1809」(October 2018 Update)で「切り取り領域とスケッチ」(Snip & Sketch)という代替アプリが導入されたため、一時期は廃止が計画されていたが、「Snipping Tool」に慣れ親しんだユーザーから根強い反対の声があり、一転して存続が決まったという経緯がある。

 しかし、このせいで「Snipping Tool」と「切り取り領域とスケッチ」という2つのスクリーンショットアプリが両立するという、少々混乱した事態を招いてしまった。

Windows 10の「Snipping Tool」と「切り取り領域とスケッチ」

 Windows 11ではこれを反省し、両者が統合されている。名称と基本的なコンセプトは馴染みのある「Snipping Tool」を継承する一方、デザインと編集機能、スクリーンショットの手順などは「切り取り領域とスケッチ」を引き継いでおり、双方のよいところを組み合わせた格好だ。

キャプチャーの始め方

 Windows 11でデスクトップのキャプチャーを開始する方法はいくつかある。まずはそれを1つずつ見ていこう。

「Snipping Tool」アプリを起動して[新規]ボタンを押す

 まずは「Snipping Tool」アプリを起動して[新規]ボタンを押す方法だ。「Snipping Tool」に慣れたユーザーにとっては、もっとも自然な方法といえるだろう。

「Snipping Tool」アプリを起動して[新規]ボタンを押す。[遅延切り取り]オプションも指定可能

 [新規]ボタンを押す前に[切り取りモード]と[遅延切り取り]というオプションを指定できる(後述)が、[切り取りモード]に関してはどれを選んでもキャプチャーの際に変更できる。実質的に意味があるのは、撮影までの待機時間を指定する[遅延切り取り]オプションの方だけだ。

「Snipping Tool」アプリアイコンの右クリックメニュー

 わざわざ「Snipping Tool」アプリを起動するのが面倒だ、キャプチャーを頻繁に行うといったユーザーは、「Snipping Tool」アプリをタスクバーにピン留めするのがお勧めだ。タスクボタンのジャンプリスト(右クリックメニュー)からキャプチャーを開始できる。[遅延切り取り]オプションも指定可能だ。

「Snipping Tool」アプリアイコンの右クリックメニュー。タスクバーにピン留め+ジャンプリストで使うのがお勧め

 ただし、タスクバーにピン留めするとスクリーンショットに「Snipping Tool」アプリが写りこんでしまうというデメリットがあるので注意。

タスクバーへピン留めせずに[スタート]画面やOSの検索機能からアプリコマンドを使う手もあるにはある

キーボードショートカットを利用する

 「Snipping Tool」アプリの起動は面倒だが、タスクバーにピン留めした「Snipping Tool」アプリが写りこんでしまうのも嫌だという人は、[Windows]+[Shift]+[S]キーというショートカットを覚えよう。これを使えば、即座にキャプチャーを開始できる。

 ワンキーで済ませたいならば「設定」アプリで[Print Screen]キーに[画面切り取り]コマンド(つまりはスクリーンショットの開始)を割り当てることもできる。

「設定」アプリで[Print Screen]キーに[画面切り取り]コマンドを割り当て

 デメリットは撮影までの待機時間を指定できないことだ。

ペンを利用する

 もしデバイスにペンがインストールされているならば、ペンのボタンをクリックすることでキャプチャーを開始することもできる。

デバイスにペンがインストールされているならば、ペンのボタンをクリックすることでキャプチャーを開始することも

 既定ではペンのショートカットボタンのダブルクリックが[画面の領域切り取り]に割り当てられているが、これはカスタマイズも可能。ペンを保管場所(たとえば「Surface Laptop Studio」ならば底面にペンをマグネットでくっつけることができる)から取り外したときに現れるペンメニューから「Snipping Tool」アプリを起動することも可能だ。

ペンメニュー

クイックアクション(Windows 11では廃止)

 Windows 11では廃止されたようだが、Windows 10ならば「クイック アクション」の[画面領域切り取り]コマンドでキャプチャーを開始できる。「クイック アクション」が折りたたまれていたり、コマンドが削除されている場合は表示されないこともあるので注意したい。

Windows 10ならば「クイック アクション」の[画面領域切り取り]コマンドでキャプチャーを開始できる
Windows 11に[画面領域切り取り]コマンドはない

キャプチャーを行う

4つの[切り取りモード]

 キャプチャーを開始すると「Snipping Tool」アプリが隠れ、デスクトップ全体が暗くなり、上部にツールバーが現れる。このツールバーは[切り取りモード]を選択するもので、以下の4つが用意されている。

  • 四角形の領域切り取り:マウスのドラッグ操作などで矩形を選択
  • フリー フォームの領域切り取り:好きなエリアを切り取り。ペンやタッチ操作と相性がよい
  • ウィンドウの領域切り取り:選択したウィンドウをキャプチャー
  • 全画面表示の領域切り取り:デスクトップ全体のスクリーンショットを撮る

 [切り取りモード]とキャプチャーエリアの選択が完了すると、デスクトップ右下隅にトースト通知が現れる。これをクリックすると「Snipping Tool」アプリが再び現れ、スクリーンショットの編集モードになる。

【ショートカットキーを介して「Snipping Tool」でスクリーンショットを撮影 - 窓の杜】
ショートカットキーから起動したときのスクリーンショットの撮影フロー
キャプチャーをとる処理は[画面切り取り][画面の領域切り取り][画面領域切り取り]などと呼ばれている。実体は「Snipping Tool」アプリのバックグラウンドタスクのようだ

編集して保存・共有する

 編集モードの「Snipping Tool」アプリでは、ペンやマーカー(蛍光ペン)、消しゴムなどのツールを利用して、スクリーンショットに注釈を加えることが可能。Windows 11までの「Snipping Tool」アプリと異なり、まっすぐ線を引くための定規ツールも用意されている。

ペンやマーカー(蛍光ペン)、消しゴムなどのツールを利用して、スクリーンショットに注釈を加える
定規はマウスホイールで回転できる

 編集したスクリーンショットはクリップボードへコピーしたり、ファイルとして保存することが可能。[共有]コマンドを利用すれば、他のメンバーやアプリにスクリーンショットを転送することもできる。

編集したスクリーンショットはクリップボードへコピーしたり、ファイルとして保存。[共有]コマンドで他のメンバーやアプリにスクリーンショットを転送することも