Windows新標準アプリ徹底解説
フォトビューワーとしての使い勝手を見直した「Microsoft フォト」アプリ
Windows 10時代よりもモダンでシンプル、より気軽に使える
2022年5月6日 06:55
Windows 11で刷新されたインボックス(OS同梱)アプリを紹介する本連載。今回は、写真やビデオを閲覧・管理・編集できる「Microsoft フォト」アプリを紹介する。
「フォト」アプリは、Windows 10から搭載されている写真閲覧・画像管理ソフト。大量の写真をコレクションし、アルバムを作成したり、写っている人物やモノ、写真をとった場所などで検索することができる。画面右端のスライドバーでタイムマシンのように時間をさかのぼれるのも楽しい。
他の画像管理ソフトにない特徴として「OneDrive」に対応している点が挙げられる。ローカルに保存されていなくても、クラウドにある写真をサムネイルでリストアップしてくれる。また、簡易的なビデオ編集機能が備わっており、旅先や特定の人物、記念の日などを題材にしたムービーを手軽に作成できる。
しかし、Windows 10の「フォト」アプリにはイケてないところがいくつかあった。とくに写真ファイルをちょっと開いて中身を確認したいというニーズには不向きと感じる人が多かったようで、既定の画像閲覧ツールを「Windows フォト ビューアー」に戻すツールまで開発される始末だった。
フォトビューワーとしての使い勝手を見直した「フォト」アプリ
そこで、Windows 11ではアプリのモダナイズを図るとともに。フォトビューワーとしての使い勝手が見直された。本稿ではWindows 10の「フォト」アプリと比較しながら、改善されたポイントをチェックしていくことにする。
メインコンテンツとなる写真を中心に
Windows 10の「フォト」アプリで写真を開くと気になるのが、写真の周りの余白が大きいところだ。この余白は写真を拡大するときも常に表示され、あまり没入感がない。
一方、Windows 11の「フォト」アプリは画像ビューワーの端いっぱいにまで写真が表示される。たったこれだけでもアプリのデザインがずいぶんモダンになった印象になるから不思議だ。
アップデートされたツールバー
このような「端までキッチリ」表示できるようになった理由として大きいのが、ツールバーが固定表示ではなくフローティング表示になったことだ。固定表示では写真の上にツールバーが張り付く形になり、画面の上端まで写真を広げることはできない。しかし、タップで表示・非表示が切り替わるフローティングスタイルならば、この心配はない。
また、ツールバーに表示されるコマンドも見直され、新たに[画像の編集]、[マークアップ](注釈)、[お気に入りに追加]、[ファイル情報](プロパティ)がツールバーに常時表示されるようになった。お気に入りやプロパティはよく使う上、写真ファイルのメタ情報にアクセスするだけなので処理は重たくない。
[画像の編集]や[マークアップ]などのコマンドを選択すると編集画面に移行するが、このパフォーマンスもWindows 10の頃に比べると改善されているようだ。Windows 10は読み込みの際にプログレスリングが現れるが、Windows 11版は一瞬で表示される。編集ツールの切り替えもツールバーで行えるようになっており、Windows 10版のようにメニュー階層をたどる手間が減った。
「フィルム ストリップ」と「マルチビュー モード」
さらに、ビューワーの下部には「フィルム ストリップ」と呼ばれる新しいコントロールが配置された。これは閲覧中のコンテンツと同じフォルダーにあるコンテンツを小さなサムネイル付きでリストアップしたもので、キーボードの左右矢印キーで表示する写真を切り替えられることをユーザーに示す。Windows 10時代も左右矢印キーで次のコンテンツ・前のコンテンツへ移動することはできたが、機能の存在に気付かないユーザーもいたことだろう。
そして、「フィルム ストリップ」のもう一つの役割は、サムネイルを複数選択することで「マルチビュー モード」へ切り替えることだ。「マルチビュー モード」では写真を複数並べて同時に閲覧可能で、写真を見比べたい場合に役立つ。
このようにさまざまな改善が加えられているが、全体的に見てWindows 11の「フォト」アプリは前のバージョンよりもシンプルかつモダンなデザインで、なにをやるにしても気軽な雰囲気だ。機能的な変更はそれほど多くないが、着実なブラッシュアップが行われていると感じる。