石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
半額セール中の「ドラクエ11」、低スペックPCでも遊べる2Dモードの価値
2025年7月10日 16:40
未だ最新作、そして半額
「ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎」が発表されてから4年が経ったが、まだ発売日やプラットフォームなどの情報は出てこない。いつになるのかと待ちわびている方に向け、今日は前作の「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S」のお話をしたい。
本作が発売されたのは2019年9月で、Steam版の発売は約1年後の2020年12月。こちらも既に4年以上が経過しているが、現在もナンバリングタイトルでは最新作となる。
セール価格で売られることも多くなり、現在開催されているSteamサマーセールでは半額の2,739円となっている。このセールは日本時間の7月11日午前2時で終了となるようだが、割と頻繁にセール価格になっているのでご心配なく。
2Dモードならではのメリット
Steam版では、ハイスペックなPCで最も美しい3D映像を楽しめるのだが、他機種と同様に2Dモードも搭載している。PCで2Dモードを選ぶ理由は、もちろんある。
まずは2Dモードで遊びたいという方。「ドラクエ」シリーズを昔から遊んでいる方の中には、2Dの方が慣れ親しんでいて、3Dは好きじゃないという方もいらっしゃるだろう。好みの映像で遊べる選択肢がある、ということはしっかりお伝えしておかねばならない。
2Dモードでは、フィールドもバトルも、昔ながらの2Dグラフィックスで描かれる。最新作であるはずなのに、スーパーファミコンの時代と変わらないような映像になっていて、『よく2Dでここまで落とし込んだなあ』と逆に感動するくらいだ。
もちろんゲーム内容が大きく変わることはなく、同じ物語を楽しめる。3Dでなければ楽しめないのでは……と敬遠するより、好みに合った2Dモードで遊んでもらいたい。
もう1つ、2Dのメリットとしては、低負荷な点が挙げられる。3Dだとどうしてもそれなりの性能を要求されるが、2DならゲーミングPCである必要もなく、ほとんどのPCで快適にプレイできるだろう。PCの前で腰を据えて遊ぶだけでなく、モバイルノートPCで場所を選ばず気軽に遊べるなど、遊び方のスタイルも広がる。
ちなみに3Dモードでもそれほど高負荷になる作品ではない。最新型のPCならCPU内蔵グラフィックスでもプレイできそうなので、3Dでのプレイに興味があるなら諦めずに試してみてもいい。2Dと3Dのモードはゲーム内で切り替えられる。
2Dと3Dのそれぞれの魅力
筆者は今回、本稿執筆のために初めて2Dモードをプレイした。3Dモードに比べると周囲の様子が一目でわかるので、プレイの際に迷いがなく、進行がスムーズになる印象だ。
3Dのゲームに慣れた筆者でも、街中にある壷をくまなく割っていく際には、2Dの方が圧倒的に楽だと感じる。3Dだと家の中で視点をぐるりと回して、壷がないか確かめねばならないのが少々面倒に感じられる。
ゲームの印象も少し変わる。3Dモードでは、フィールドにいるモンスターが見えるシンボルエンカウント式を採用しているが、2Dモードではランダムエンカウントになる。3Dなら敵を避けて進むという手が、2Dでは使えないと言えばデメリットではある。とはいえ2Dでランダムエンカウントなのも伝統にのっとった形であり、違和感はない。
筆者のおすすめとしては、3Dに抵抗があるなどの理由がある場合、まずは2Dでプレイしていただきたい。本作はシリーズを長らくプレイしてきた方にこそ遊んでもらう価値がある内容なので、いまさら2Dでと思わずに遊んでみて欲しい。
そして2周目として3Dでプレイしてみてはどうだろう。3Dモードでは、キャラクター達がいきいきとした動きを見せてくれるだけでなく、セリフに音声が入り、同じシーンでも印象ががらりと変わる。2Dではイメージで補完していた部分が、3Dでは細部まで克明に描かれる。これは良し悪しではなく、違いだ。ぜひ両方楽しんで欲しいと思う。
あと面白い点としては、2D、3Dに関わらず、本作の楽曲はシンセサイザーとオーケストラで選択できる。シンセサイザーもほぼオーケストラのようなサウンドなのだが、本物のオーケストラとはやはり雰囲気が違う。「S」になってから追加された要素なので、「S」はプレイしていないという方にもぜひ試していただきたい。
ちなみに筆者は「S」ではない3DS版が一番気に入っている。こちらも映像は3Dと2Dから選べるのだが、性能の制約があるためか、3Dでもキャラクターがいくぶんデフォルメされている。ほどよくリアルでありながらも可愛らしく、世界観ととてもマッチしている。既に2世代前のゲーム機となるので入手困難かもしれないが、運よく巡り合った方はぜひお試しを。
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/
PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。