やじうまの杜
音楽CDのメタ情報を提供するCDDBサーバー“freeDB.org”が、3月31日で終了
約20年の歴史に幕
2020年3月5日 06:30
“やじうまの杜”では、ニュース・レビューにこだわらない幅広い話題をお伝えします。
CDDBサーバー“freeDB.org”が、3月31日でシャットダウンしてしまうそうです。公式サイトのトップページに、シンプルな告知メッセージが掲載されていました。
音楽CDをメディアプレイヤーアプリで再生すると、再生している楽曲のタイトルやアーティストの名前が表示されることがあります。しかし、音楽CDには本来、こうした情報を埋め込む仕組みがありません。では、どうやってこれを実現しているのかというと、音楽CDに含まれるTOC(Table Of Contents:目次)情報を読み込み、インターネットのデータベースサーバーに問い合わせて、マッチした楽曲情報をダウンロードしているわけです。そうした楽曲データベースの1つが、“freeDB.org”です。MP3ファイルのID3タグを自動で取得するためにもよく用いられています。
この手の楽曲データベースサービスの先駆けは、1993年に登場した“CDDB”でした(なので、CDDBサーバーともよく呼ばれます)。もともとは「xmcd」と呼ばれるメディアプレイヤーのローカルデータベースだったそうなのですが、のちにオンライン化。“GNU General Public License(GPL)”ライセンス化で、自由に利用することができました。
しかし、法人化や売却を経て、2000年にライセンスが変更されてデータベースは商用化されてしまいます。この際、無償で使い続けられるCDDBサービスとして誕生したのが、“freeDB.org”でした。2006年に開発者の意見の不一致が原因で一度サービス停止の危機を迎えましたが、MAGIX社が“freedb.org”ドメインを買収し、サービスが継続されていました。
音楽CDのリッピングツールの多くは“freeDB.org”に対応しており、同サービスがシャットダウンされてしまえば機能しなくなります。しかし、日本の場合は“freedbtest.dyndns.org”という日本語版が別に運営されていますので、これに切り替えれば問題はなさそうです。
たとえば、「freeDBTagger」という“freeDB.org”対応ソフトの場合、設定画面で接続先のサーバーを“freedbtest.dyndns.org”へ変更するだけ。国産アプリであれば、だいたい似たような手順でCDDBサーバーを変更できるでしょう。
海外の場合、“MusicBrainz”という“Wikipedia”の音楽版を目指すWebサイトが人気で、“freeDB.org”からの移行が進んでいます(もちろん、日本からも利用可能)。
たとえば「foobar2000」であれば、「MusicBrainz Tagger」プラグインをインストールすると“MusicBrainz”を利用したタグ付けが可能です。現在の既定CDDBサーバーは“freeDB.org”になっていますが、将来バージョンでは変更されるのではないでしょうか。