やじうまの杜

オブジェクト崇拝は罪! 古ヘブライ文字で記述する創世的プログラミング言語が降臨

そこはかとなく神聖な感じのするソースコードがやんごとない

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オープンソースのプログラミング言語「Genesis」

 当コーナーでは以前に漢文風のプログラミング言語「文言」(wenyan-lang)を紹介しましたが、それに勝るとも劣らないヤバいモノが発見されました。古ヘブライ文字で記述する本格的プログラミング言語「Genesis」です。

 古ヘブライ文字は古代イスラエルで用いられていた文字で、アルファベットの祖先であるフェニキア文字の血を色濃く受け継いでいます。旧約聖書がこの文字で書かれていたことでも有名です。

 「Genesis」は起源、創始、旧約聖書の創世記などを意味する単語。プログラミング言語としての「Genesis」はインタープリターによる逐次実行、手続き型言語、チューリング完全といった特徴をもち、珍しい機能としてランダムに聖書の引用を返す算術ライブラリを実装しています。ソースコードは公開されており、ライセンスは「THE HOLY LICENSE」です。

 なかでも最大の特徴は、ソースコードを古ヘブライ文字で記述することでしょう。たとえば、フィボナッチ数列の最初の10個を出力するコードは以下のようになります。

フィボナッチ数列の最初の10個を出力するコード。まったく読めない

 言い忘れていましたが、ヘブライ文字は右から左へと読みます。また、原則として母音を省いて子音のみを用い、どの母音で発音するかは記号「ニクダー」で注記しますが、旧約聖書が記された時代には存在しないため、「Genesis」では使いません。

 なお、この言語にはオブジェクト指向の要素はありません。理由は聖書でオブジェクト崇拝が明確に禁じられているからだそうです。

偶像を造る者は皆むなしく、彼らの喜ぶところのもの(objects)は、なんの役にも立たない。その信者は見ることもなく、また知ることもない。ゆえに彼らは恥を受ける。

だれが神を造り、またなんの役にも立たない偶像を鋳たか。

見よ、その仲間は皆恥を受ける。その細工人らは人間にすぎない。彼らが皆集まって立つとき、恐れて共に恥じる。

イザヤ書 44 : 聖書日本語 - 旧約聖書より引用(括弧内は筆者注)