やじうまの杜
プライバシー加工したのに元の写真を復元できてしまうヤバいバグ、Windowsでは修正へ
「Pixel」シリーズのスクリーンショット機能で発見、Windowsの「Snipping Tool」にも波及
2023年3月24日 16:01
「やじうまの杜」では、ニュース・レビューにこだわらない幅広い話題をお伝えします。
先日、Google製のAndroidデバイス「Pixel」のスクリーンショット機能に深刻なプライバシー侵害を引き起こしかねない脆弱性が発見されました。「Pixel」では撮影したスクリーンショットをトリミングしたり、ペンツールで書き込みを入れるといった編集が可能なのですが、この編集ツールの保存機能に問題があり、オリジナルの画像データを部分的に復元することができます。つまり、プライバシーに配慮してトリミングやぼかしを入れて写真を共有しても無意味だというわけ。この脆弱性は実証ツール「acropalypse」で比較的簡単に再現できます。
Introducing acropalypse: a serious privacy vulnerability in the Google Pixel's inbuilt screenshot editing tool, Markup, enabling partial recovery of the original, unedited image data of a cropped and/or redacted screenshot. Huge thanks to@David3141593for his help throughout!pic.twitter.com/BXNQomnHbr
— Simon Aarons (@ItsSimonTime)March 17, 2023
しかし、話はここで終わりません。なんと、Windowsに標準搭載されている「Snipping Tool」にも同様の不具合があることがわかりました。
holy FUCK.
— David Buchanan (@David3141593)March 21, 2023
Windows Snipping Tool is vulnerable to Acropalypse too.
An entirely unrelated codebase.
The same exploit script works with minor changes (the pixel format is RGBA not RGB)
Tested myself on Windows 11https://t.co/5q2vb6jWOnpic.twitter.com/ovJKPr0x5Y
そこで、編集部でも簡単なテストを実施してみました。まず製品版の「Windows 11」でスクリーンショットを撮ってPNG形式で保存します(「Snipping Tool」は保存の際に初期設定でPNG形式を選択するので、これは自然な操作です)。これをコピーして保存しておき、「Snipping Tool」で画像を小さくトリミングして保存します。
両者を比べると後者のファイルのほうが小さなサイズになるはずですが、実際はサイズに違いはありません。詳細な説明は省きますが、ファイルの末尾にオリジナルのデータが残ってしまっており、復元できる状態になってしまっているのです。
この問題は、Canary版「Windows 11」で配信されている「Snipping Tool」v11.2302.20.0で修正されているようです。
Snipping tool version 11.2302.20.0 *appears* to fix the bug. This is a canary channel build (not yet available to regular users) but you can manually install it from this link (not recommended unless you know what you're doing)https://t.co/7OTxoiwN8d
— David Buchanan (@David3141593)March 22, 2023
編集部で先ほどと同じ実験をしたところ、ちゃんとファイルサイズが変わることを確認できました。
ただし、これで穴がすべて塞がったかといえばまだ確証は得られないところ。画像フォーマットの仕様はなかなか複雑で、たとえばオリジナルの画像データのほかに縮小した「サムネイル」画像をデータに含んでいることがあります。これは画像を一覧するときのことを考えた仕様なのですが、このことを忘れると「オリジナルデータは加工して保存したが、サムネイルデータはそのままだった」なんていうミスが起こったりもします。セキュリティリサーチャーは今この問題に夢中で、他にも何かないかとハックしています。もしかしたら別の脆弱性が発見されるかもしれません。
どちらにしろ、何か問題があれば開発元(Microsoft)がすぐに直してくれるはず。エンドユーザーとしては、「アプリは常に新しいバージョンを使うように心がける」という基本を押さえておきたいところです。