初心者からEmEditorの達人になる!

第1回

テキスト編集に「メモ帳」では不十分! 快適なエディター生活のススメ

無料でも始められる「EmEditor」超入門

「メモ帳」の困りごとは「EmEditor」で解決!

 「Windowsでテキストを編集する」というと標準の「メモ帳」(notepad.exe)を使う人が多いだろう。

そんな「メモ帳」で大丈夫か? いや、問題だらけだ!

 しかし、そのメモ帳で「あれ?」と思ったり、困ったりしたことがある人も多いはず。なぜなら、その機能はごく基本的なものに限定されているからだ。

 そこでお勧めしたいのが「テキストエディター」。テキスト入力に特化したアプリで、快適、かつ高機能にテキスト入力できるのがポイントだ。

 そこで、今回、エディターのポイントや「エディター導入時に困りがちなこと」をまとめてみた。利用するのは、個人であれば無償版も利用でき、有償版であれば驚くほど高機能なテキストエディター「EmEditor」。

 この機会に「メモ帳からの卒業」をぜひ考えてみてほしい。

【本記事のハイライト】
メモ帳でありがちな「文字化け」
似たような「空白」を区別できない
メモ帳では「見えない文字」も
まずはエディターをインストールしてみよう
「アプリ初心者」が遭遇しがちなトラブルと対処法


文字化け・空白文字・行番号……「メモ帳」にありがちな不満

ありがちな「文字化け」問題

 さて、「メモ帳」での困りごとで、一番よくあるのが「文字化け」のトラブルだろう。

 PCに長く触れていると、「テキストデータ(やWebページ)が変な文字の羅列になって読めない」といった経験が一度や二度はあるはずだ。

テキストデータが変な文字の羅列になって読めない「文字化け」

 この文字化けの多くは、ファイル作成時の「符号化方式」(エンコーディング)と、ファイル読み込み時の符号化方式が異なることで発生する。

 符号化方式には、日本語版Windowsで標準となっている「Shift JIS」や、Webで広く使われている「UTF-8」、UNIXでよく使われていた「EUC-JP」などいくつかあるが、「Shift JIS」のデータなのに「UTF-8」のルールで解釈しようとした、といった場合に起こるというわけだ。

 最近の「メモ帳」は「Shift JIS」と「UTF-8」の判別を自動で行うが、それでも「EUC-JP」エンコードのテキストデータを開くと文字化けが発生する。高機能なテキストエディターはたいていエンコーディングの自動判別機能も充実しており、こうした問題は基本的に発生しない。もし発生しても、エンコードを変更して読み直せば解決する。

 ちなみに、別の問題として、スマートフォンなどのアプリでは、「Shift JIS」や「EUC-JP」では文字化けで表示されず、「UTF-8」でないと表示されない、ということがある。こういう場合は、保存する際に「UTF-8」で保存することで解決する。つまり、「文字コードの変換」は文字化け対策の基礎になる。エディターの自動判別機能はこうした場合にも有効に利用できるだろう。

似たような「空白」を区別できない……

 また、「メモ帳」には半角や全角のスペースやタブ文字が知らず知らずのうちに混在してしまうという問題もある。

 同じように表示される「空白」でも「全角スペース」「半角スペース」、さらには「タブ文字」があるのはご存じの方も多いと思うが、これが混在していると思わぬところでトラブルになる。入力フォームで「全角で入れてください」と指定されて困ったことがある人もいると思う。

 「メモ帳」はこうした記号を目に見えるように表示できず、すべて同じ「 」(空白)として表現される。そのため、見た目は同じ空白でも、全角半角のスペースやタブが混ざっていることがある。

「メモ帳」で行頭にスペースを入れてそろえたつもり

 たとえば、「メモ帳」はタブ文字を半角スペース8個(全角スペースで4個)分の空白として解釈する。しかし、他の環境では異なる幅(半角スペース4個分など)で表示されることもある。そうすると、行頭に空白を入れてそろえたつもりでも、他の環境ではズレてしまうといったトラブルが起こりうる。

「EmEditor」で閲覧した様子。異なる空白文字が使われているので、他の環境では表示がズレてしまうことも。ソースコードであればコンパイル失敗などのトラブルにも

 サードパーティー製のテキストエディターのほとんどは、こうした記号を可視化する機能を備えているため、記号の混在は簡単に検知できる。

「見えない文字」もある

 似たようなポイントとして、エディターでは「メモ帳では見えない文字」をしっかり表示する機能が豊富だ。例えば、WindowsとMac、UNIXで異なる改行文字(CR+LF、CR、LF)や、画面には表示されない「制御文字」(改行文字も実はその一部)を表示したり、編集することもできる。

 こうした「見えない文字」は、「見えない」だけに、どこかにコピペして使う際に問題になったり、ファイルをそのまま使う際に、エラーの原因となったりもする。

「メモ帳では見えない文字」を見える化

行数や文字数がわかると便利

 そのほかにも、「メモ帳」にはさまざまな機能が不足している。たとえば「行番号」や「ルーラー」を表示できないため、今何行目の何文字目を書いているのかが把握しづらい。

 「指定文字数での折り返し」や「文字数の表示」の表示といった機能もないので、文字数を指定された原稿を書くには不便だ。

「EmEditor」なら行数や文字数を一目で把握できる

メモ帳では「、」が行頭に……

 また、日本語のテキストで特定の文字(句読点、拗促音、音引き、約物など)が折り返されて行頭に表示されるのは避けたい。しかし、「メモ帳」はそうしたレンダリングを禁じる表示ルール(行頭禁則処理)が備わっていないので、不格好な表示になってしまう。

よく見ると行頭禁則ができていない「メモ帳」。ほかにも、ダブルクリックで日本語のワードを選択できないなど、日本語テキストを快適に書くには機能不足が否めない

 日本語テキストを書くために開発された日本発のテキストエディターの多くには、こうした機能が標準で備わっているので、ストレスなく文章を編集・閲覧できる。行の末尾にきてはいけない文字(行末禁則文字)を指定することも可能だ。

 テキスト編集をするならば、「メモ帳」だけに頼るのではなく、ちゃんとしたテキストエディターの使い方もマスターしておきたい。

メモ帳を卒業するなら「エディター」に

 本連載では、そうした「メモ帳」代替として使える日本発の多機能テキストエディターとして「EmEditor」を取り上げる。

 「EmEditor」は、無償版「EmEditor Free」(個人利用限定で、基本機能のみ)と、有償版「EmEditor Professional」の2タイプあり、前者でも「メモ帳」よりはるかに高機能。さらに「EmEditor Professional」では、「Excel」代わりに表作成を手早く行ったり、様々な自動処理や超巨大ファイルの編集など、幅広い用途に役立つ。

 EmEditorはインストール後、30日間はEmEditor Professional相当の全機能が試用できるので、「ひとまず試してみる」のもアリだろう。

 開発も積極的に継続されているので、この機会に「メモ帳」からの卒業を考えてみてほしい。


まずはエディターをインストールしてみよう

 「EmEditor」は、無償版もProfessionalも同一のファイルをダウンロードする。まずは、EmurasoftのWebサイトから「emed64_2x.x.x.msi」をダウンロードしよう。

 インストールから30日間は「Professional版」として動作し、ライセンスを購入しないと30日後、無償版として動作する(個人利用限定なので要注意)。

 デスクトップインストーラー版、デスクトップ ポータブル版(USBメモリなどに入れて持ち運べる)、ストアアプリ版(後述)など、複数のパッケージが用意されているが、とくに理由がなければインストーラー版がおすすめ。もっとも多機能で、かつ動作が高速だ。トップページの[今すぐダウンロード]ボタンを押すと、このインストーラー版がダウンロードされる。

「EmEditor Professional」は、EmurasoftのWebサイトから入手可能。トップページの[今すぐダウンロード]ボタンを押すと、インストーラー版がダウンロードされる

 インストーラー(emed64_2x.x.x.msi)がダウンロードされたら、ダブルクリックして実行しよう。インストーラーはウィザードスタイルになっており、以下のように案内に従って操作するだけでセットアップは完了する

1. インストーラーをダブルクリックして実行。「Edge」のダウンロードパネルなどで[開く]をシングルクリックしてもよい。[次へ]ボタンを押すと次の画面に進める
2. インストールタイプの選択。よくわからない場合は、推奨値である[このユーザーのみ]でよい。OSの別ユーザーでも「EmEditor」を利用できるようにしたい場合は、[すべてのユーザー(全員)]を選ぶ
3. 使用許諾。内容を読んで[使用許諾契約書のすべての条項に同意します]というラジオボタンをクリックし、[次へ]ボタンを押す
4. セットアップタイプの選択。よくわからない場合は[標準]をクリックすればよい
5. [インストール]ボタンを押して、セットアップ作業を開始する
6. セットアップ作業が完了するまでしばらく待つ
7. セットアップ作業が完了。[完了]ボタンを押すと「EmEditor」が起動する
ストアアプリ版ならアップデートの管理に手間いらず

 「EmEditor Professional」は「Microsoft Store」からもダウンロード・インストール可能。ストア版の利点は、アップデートが自動で行われる点だ。インストールやアンインストールでOS環境が「汚れる」(ごみファイルが残ったり、余計なレジストリデータが追加される)こともない。

「EmEditor Professional」は「Microsoft Store」からもダウンロード・インストール可能

 欠点としては、シェル統合(関連付けやジャンプリストなど)や管理者権限が必要なフォルダーに保存する際に権限昇格する機能など、一部機能が利用できない。また、対応OSは「Windows 10 バージョン 1607」以降だ。Windows 8.1では利用できない。

 ライセンスもインストーラー版・ポータブル版とは別で、すでにライセンスを持っている場合は追加出費となってしまう。32bit版と64bit版のライセンスが別になっている点にも注意が必要だ。

 とはいえ、インストール・アップデート・アンインストールの管理が楽なのはこうした短所を補って余りある。ライセンスキーの管理も必要ない。前述の点が支障にならないのであれば、ストアアプリ版の利用も検討したい。


「ソフトのインストールは初めて」でも大丈夫初心者が遭遇しがちなトラブルの対処法

 さて、今回は「EmEditor」の利点とインストール方法までを解説した。次回は実際の使用方法を紹介するが、その前に、インストールの際に初心者が疑問に感じるであろう点を整理しておいた。

 最近は、「PCにソフトをインストールしたことがない」という人も多いと思うので、疑問や不安の解消に役立てていただければ幸いだ。


【Q.】 EmEditor を起動すると、「更新するにはユーザー アカウント制御(UAC)のプロンプトが必要です。」という通知が表示されます。これにどのように対処したらいいですか?

「更新するにはユーザー アカウント制御(UAC)のプロンプトが必要です。」という通知が表示される

【A.】 「UAC」は管理者権限が必要な操作を行うときに現れる画面だ。デスクトップ全体が暗転し、本当に行ってよい操作なのかを確認するプロンプトが現れる。漫然と操作するうちにシステムを破壊したり、マルウェアを実行しないようにするためのセキュリティ機能でもある。

管理者権限が必要な操作を行うときに現れる「UAC」プロンプト

 「EmEditor」はセットアップの際に[すべてのユーザー(全員)]を選び、ユーザーフォルダーではなく、システムフォルダーにインストールされると、更新のたびに管理者権限が必要になり、「UAC」プロンプトが現れる。

 これが煩わしい場合は、「EmEditor」をいったんアンインストールし、[このユーザーのみ](推奨値)で再インストールすればよい。アンインストールの際、設定をすべて保存するかどうかを尋ねるメッセージボックスで[はい]を選択すれば、「EmEditor」の設定が失われることはない。ただし、再インストール後に登録キーの再入力が必要になることがある点には注意したい。

インストールタイプの選択。[すべてのユーザー(全員)]を選ぶとアップデートの際にUACが現れる。とくに理由がないのであれば、推奨値である[このユーザーのみ]がおすすめ
アンインストールの際、設定をすべて保存するかどうかを尋ねるメッセージボックスで[はい]を選択すれば、「EmEditor」の設定が失われることはない

 なお、初めから、[このユーザーのみ]でインストールした場合はこの問題は発生しない。推奨値に従っておくのが無難だろう。


【Q.】 エクスプローラで右クリックした時に表示されるコンテキスト メニューに EmEditor が表示されないようにするには、どうしたらいいですか?

エクスプローラで右クリックした時に表示されるコンテキスト メニュー。[EmEditor]というコマンドを消したい

【A.】 インストーラー版「EmEditor」はシェル統合機能として

  • ファイルの右クリックメニューに[EmEditor]コマンド(ファイルを「EmEditor」で開く)
  • 何もないところの右クリックメニューに[EmEditorでファイルから検索]コマンド

などを追加する。これらが煩わしい場合は、[ツール]-[カスタマイズ]ダイアログにアクセスし、[ショートカット]ページを開く。すると、[エクスプローラのコンテキスト メニューにショートカットを追加]というチェックボックスがあるので、これをOFFにすればよい。

[エクスプローラのコンテキスト メニューにショートカットを追加]というチェックボックスをOFFに

 もしチェックボックスが無効化されていてON/OFFできない場合([すべてのユーザー(全員)]オプションでインストールした場合)は、一度[EmEditor]をアンインストールし、再インストールの際に[カスタム]インストールを選択する必要がある。[コンテキスト メニュー]オプションを削除すれば、ファイルの右クリックメニューに[EmEditor]コマンドは現れなくなる。

[すべてのユーザー(全員)]オプションでインストールした場合、チェックボックスは無効化される
再インストールして[カスタム]インストールを選択。[コンテキスト メニュー]オプションを削除すれば、ファイルの右クリックメニューに[EmEditor]コマンドは現れなくなる


【Q.】 EmEditor をインストールするのに新しいフォルダーを指定したいのですが、いつも「C:¥Users¥(Username)¥AppData¥Local¥Programs¥EmEditor」にインストールされます。異なるフォルダーを指定することはできないのですか?

【A.】 [このユーザーのみ]でインストール(既定)すると、インストールパスはOSが指定するユーザーフォルダーとなる。これは素直に受け入れた方がよい。

[このユーザーのみ]でインストールすると、[カスタム]インストールでもインストールパスを変更できない

 どうしてもインストールパスを変更したい場合は、セットアップの際に[すべてのユーザー(全員)]オプションを選択すれば、[カスタム]インストールでインストールパスを変更できる。

[すべてのユーザー(全員)]でインストールすると、[カスタム]インストールでインストールパスを変更できる

[制作協力:Emurasoft, Inc.]