初心者からEmEditorの達人になる!

第2回

エディターを快適に使うためのテクニック ~「EmEditor」は痒い所に手が届く

使いやすいように設定する方法やショートカットキー、設定に関する疑問を解決

「EmEditor Professional」でワンランク上のテキスト入力を!

 脱「メモ帳」を目指す入門ユーザーのために、日本発の多機能テキストエディター「EmEditor Professional」でワンランク上のテキスト入力を指南する本特集。第2回となる今回は、「EmEditor」を使いやすいように設定する方法や、うまく使いこなすためのコツを紹介する。


「EmEditor Professional」をさらに使いやすくしよう!

 初期状態の「EmEditor Professional」は、行番号もルーラーもなく、機能の豊富さを匂わせる多段表示のツールバーを除けば、比較的プレーンな状態だ。まずは、自分が使いやすいように「EmEditor」をカスタマイズしていこう。今回も前回同様Q&A形式で解説を進めていく。


【Q.】 行番号やルーラーを表示するにはどうすればいいのでしょう?

【A.】 行番号やルーラーを[表示]メニューで有効化すれば常に把握することが可能。

[表示]メニューから行番号やルーラーを表示

 現在利用している編集モードの場合だけ行番号やルーラーを表示したい場合は、[ツール]-[現在の設定のプロパティ]ダイアログの[基本]ページへアクセスする。すると、行番号やルーラーなどの表示をカスタマイズできる。ここで行ったカスタマイズは他の編集モードへは影響しないため、プレーンテキストのときは行番号・ルーラーを表示したくないが、C++言語のソースコードを編集するときは表示したいといったニーズにも対応できる。

[ツール]-[現在の設定のプロパティ]ダイアログの[基本]ページから行番号やルーラーなどの表示をカスタマイズ

編集モードとは?

 「EmEditor」はプレーンテキスト(普通のテキストデータ)からCSV/TSVデータ、プログラミングのソースコードまで、さまざまなタイプのテキストを扱えるが、それぞれに最適なエディター設定は異なるだろう。

 そのため、「EmEditor」には複数の編集モードがビルトインされている。プレーンテキストの場合は「Text」モード、C++言語のソースコードの場合は「C++」といったように、複数の設定を切り替えて利用できるというわけだ。なんなら自分で独自の編集モードを定義することもできる。

 編集モードの切り替えは、ステータスバーにある編集モードエリアのダブルクリックで行える。もっとも、「EmEditor」は開いたファイルの拡張子から自動で編集モードを推測して切り替えてくれるので、手動で編集モードを切り替えることはめったにないだろう。

編集モードの切り替えはステータスバーのダブルクリックで行える


【Q.】 見やすい文字数で文を折り返すことはできますか?

【A.】 「EmEditor」では、[表示]メニューで以下の4つの折り返しモードを選べる(太字は「メモ帳」にはない機能)。キーボードショートカットも覚えやすいので、一緒にマスターしてしまおう。

  • 折り返さない([Ctrl]+[1]キー)
  • 指定文字数で折り返し([Ctrl]+[2]キー)
  • ウィンドウの右端で折り返し([Ctrl]+[3]キー)
  • ページの右端で折り返し([Ctrl]+[4]キー)
折り返さない
指定文字数で折り返し(80文字)
ウィンドウの右端で折り返し
ページの右端で折り返し

 日本語のテキストは、1行を半角換算で80文字程度におさめると読みやすいといわれており、「EmEditor」の[指定文字数で折り返し」もそれが既定となっている。カスタマイズしたい場合は、前述の[ツール]-[現在の設定のプロパティ]ダイアログの[基本]ページを利用しよう。

 ちなみに、[ページの右端で折り返し]は印刷時にテキストが切れてしまわないように折り返してくれる。印刷前提のメモを書いている場合に役立つオプションだ。


【Q.】 書いたテキストの文字数を知る方法はありますか?

【A.】 「EmEditor」には、カーソル位置と選択テキストの文字数をステータスバーに表示する機能が備わっている。つまり、[Ctrl]+[A]キーですべてのテキストを選択してしまえば、ステータスバーにテキストの文字数が現れる。右クリックすれば[コピー]コマンドでクリップボードへコピーすることも可能だ。

[Ctrl]+[A]キーですべてのテキストを選択すればステータスバーでテキストの文字数を確認できる

 そのほかにも、[ツール]-[プラグイン]-[単語数]オプションを有効化すれば、サイドバーで文字数などの統計情報をチェックできる。今回は割愛するが、豊富なビルドインプラグインも「EmEditor」の魅力といえるだろう。


【Q.】 行頭や行末の禁則処理をカスタマイズするにはどうすればいいのでしょう?

【A.】 [ツール]-[現在の設定のプロパティ]ダイアログの[禁則処理]ページで、行頭に来てほしくない文字と、行末に残しておきたくない文字を指定可能。「ゃ」「っ」などの小書き文字や音引き「ー」などは行頭禁則文字にしておくと日本語が読みやすくなる。

[ツール]-[現在の設定のプロパティ]ダイアログの[禁則処理]ページ


【Q.】 ツールバーのボタンを大きく見やすくできますか?

【A.】 解像度の高いディスプレイなどでツールバーのボタンが小さすぎて見にくい場合は、[ツール]-[ツールバーの変更]メニューからカスタマイズダイアログへアクセスし、[大きいアイコンを使用する]オプションをONにすればよい。

[ツール]-[ツールバーの変更]メニューからカスタマイズダイアログへアクセスしてボタンの表示を大きくする


【Q.】 ツールバーによく使う機能のボタンを追加するにはどうすればいいのでしょう?

【A.】 最上段のツールバーはユーザーがカスタマイズ可能となっており(新規に作成することも可能)、好みのコマンドボタンを追加・削除できる。ツールバーをダブルクリックするか、または[ツール]-[ツールバーの変更]ダイアログで[ツールバー 1]を選んで[カスタマイズ]ボタンを押せば、ボタンの入れ替えを行うダイアログが表示される。

ツールバーに好みのコマンドボタンを追加・削除


「EmEditor Professional」を使いこなす

 さて、「EmEditor」のカスタマイズが終わったら、次は実際に使っていこう。「メモ帳」ではサポートされていないが、「EmEditor」で利用可能な機能としては、ごく基本的な編集機能だけに限るとしても、以下が挙げられる。


ダブルクリックで単語選択

 「EmEditor」では、文字のダブルクリックでワード(単語)の選択が可能。たとえば、「ダブルクリックで単語選択」というテキストの上でダブルクリックすると、「ダブルクリック」や「単語選択」といったワードを選択状態にすることができる。

 「メモ帳」の場合は、文字が1つ選択されるだけだ(欧文の場合はワードを選択できるはずだが、直後の半角スペースまで選択されてしまうという問題がある)。


選択テキストのドラッグ&ドロップ

 「EmEditor」では選択テキストをドラッグして移動し、ドロップした箇所へ挿入できる。マウス操作でもテキストの入れ替えができるというわけだ。

選択テキストをドラッグ&ドロップで移動


充実したショートカットキー

 「メモ帳」でサポートされている編集ショートカットキーは、「EmEditor」でもおおむねサポートされている(斜体ショートカットキーは「メモ帳」独自のもので、「EmEditor」ではサポートされていない)。

  • [Ctrl]+[Z]キー:元に戻す
  • [Ctrl]+[X]キー:切り取り
  • [Ctrl]+[C]キー:コピー
  • [Ctrl]+[V]キー:貼り付け
  • [Ctrl]+[E]キー「Bing」で検索する
  • [Ctrl]+[F]キー:検索画面を開く
  • [F3]キー:次を検索
  • [Shift]+[F3]キー:前を検索
  • [Ctrl]+[H]キー:置換
  • [Ctrl]+[G]キー:指定した行へ移動(「EmEditor」の方が高機能)
  • [Ctrl]+[A]キー:すべて選択
  • [F5]キー日付と時刻の入力
  • [Ctrl]+[Backspace]キー:前の単語を削除

 そのほかにも、以下のようなキーボードショートカットが「EmEditor」ではサポートされている。


複数ファイルに対する検索と置換

[Ctrl]+[Shift]+[F]キー

指定フォルダー内のファイルから検索

[Ctrl]+[Shift]+[H]キー

指定フォルダー内のファイルから置換


タグと括弧

[Ctrl]+[.]キー

対応するタグにジャンプ(HTML/XMLの場合)

[Ctrl]+[]]キー

対応する括弧にジャンプ

[Ctrl]+[Shift]+[]]キー

対応する括弧の中を選択

[Ctrl]+[Shift]+[.]キー([Ctrl]+[>] として覚えるとよい)

対応するタグの中を選択(HTML/XMLの場合)

[Ctrl]+[Shift]+[,]キー

HTML/XMLタグで囲むスニペット([Ctrl]+[<]と覚えるとよい)


入力補助

[Ctrl]+[Shift]+[V]キー

クリップボード履歴を表示

クリップボード履歴を表示

[Alt]+[N]キー

連番を挿入できる[番号の挿入]ダイアログを開く

[番号の挿入]ダイアログ

[Ctrl]+[Shift]+[I]キー

[特殊文字の入力]ダイアログを開く

[特殊文字の入力]ダイアログ


その他

[Ctrl]+[Q]キー

コマンドを検索・実行できる[クイック起動]ダイアログを開く

[クイック起動]ダイアログ

[Ctrl]+[I]キー

文字コード値を表示

文字コード値を表示

[Ctrl]+[F2]キー

行をブックマークに追加・削除

[Alt]+[F3]キー

強調表示を解除

 なお、「EmEditor」で利用可能なキーボードショートカットは、[ヘルプ]-[キーボードマップ]で確認可能。カスタマイズも容易だ。


入門者が戸惑うかもしれないポイント

 最後に、入門者が戸惑うかもしれないポイントをピックアップし、Q&A形式で解説しておく。参考にしていただければ幸いだ。


【Q.】 円マークがバックスラッシュとして表示されたり、バックスラッシュが円マークとして表示されることがあります。また、円マークをコピーして、ウェブ ブラウザであるサイトに貼り付けるとバックスラッシュとして表示されます。これは不具合でしょうか?

【A.】 円マークとして表示される文字コード「U+005C」は、フォントにより円マークとして表示されたり、韓国の通貨ウォンとして表示されたり、バックスラッシュとして表示されたりする。これはフォント側の仕様であり、不具合ではない。歴史的背景については、Wikipediaを参照のこと。

円マークとして表示される文字コード「U+005C」はフォントによりバックスラッシュなどとして表示される仕様


【Q.】 開くファイルによって異なるフォントで表示されることがあります。また、新規作成した時のフォントと、既存ファイルを開いた時のフォントが異なります。常に同じフォントで表示するにはどうしたらいいでしょうか?

【A.】 [ツール]-[すべての設定のプロパティ]メニューを選択し、[表示]ページへアクセスすると、[フォント]というボタンがある。このボタンをクリックすると[フォントの設定]ダイアログが現れ、表示フォントと印刷フォントを指定できる。ここで、[すべて選択]ボタンをクリックしてフォント分類のすべての項目を選択した状態で、フォントを設定すると、同じフォントがすべての場合で適用される。

[すべての設定のプロパティ]からたどって[フォントの設定]ダイアログからすべてのファイルで使用するフォントを設定できる


【Q.】 絵文字がモノクロで表示されます。完全なカラー表示にできますか?

【A.】 [ツール]-[カスタマイズ]メニューを選択し、[テキスト レンダリング]ページへアクセスする。すると[DirectWriteを使用する]というオプションがあるので、これを有効化すればよい。

[ツール]-[カスタマイズ]メニューの[テキスト レンダリング]ページで[DirectWriteを使用する]オプションを有効化する

[制作協力:Emurasoft, Inc.]