東日本大震災から10年、あのころ窓の杜では ~役に立ったツールや助け合いの輪

2011年の窓の杜大賞を受賞した「SignalNow」は今でも有効

 3月11日で、東日本大震災からちょうど10年を迎えました。地震が発生した2011年3月11日(金)14時46分、窓の杜編集部ではその日掲載する予定のニュースを執筆しているような状態だったと記憶しています。最終的に帰宅することになった際、ニュースの掲載は断念し、後日掲載するためにストックしていた記事を掲載したことを覚えています。

 前日には、ニュージーランドで2011年2月22日に発生した地震の被害状況を「Google Earth」で確認できるKMLファイルが公開されたニュースを掲載していましたが、まさか日本でそれよりさらに大きい地震が発生するとは夢にも思っていませんでした。

 本特集では、東日本大震災発生後に掲載した震災関連の記事をピックアップし、震災を振り返りたいと思います。すでに公開が終了しているコンテンツも多くありますが、震災当時の雰囲気を思い出し、防災への意識を改めて高めていただければ幸いです。

震災で役立ったツールたち

 震災といわれてまず思い出すのは、のちに2011年の窓の杜大賞を受賞することになる「SignalNow Express」です。企業や学校など“高度利用者向け”の緊急地震速報を受信して、ポップアップウィンドウで震源や予測震度、到達秒数を表示できるソフトです。「SignalNow Express」は、現在も「SignalNow X」と名前を変え、無償で利用できます。窓の杜ライブラリからもダウンロードできますので、震災から10周年を機にインストールして大地震に備えてみてはいかがでしょうか。

「SignalNow Express」の後継ソフト「SignalNow X」

 そのほか、日々報道されるシーベルトやベクレルといった耳慣れない単位の放射線量を、1年間浴びるとどのくらいの影響があるのかを計算してくれる「放射線量簡易計算ツール Radibob」も印象深いツールです。

「SignalNow Express」(画像は当時のものです)

深刻な電力不足に対応する動き

 震災に伴う福島第一原発の事故の影響で全国の原子力発電所が停止した結果、日本中が電力不足に陥りました。ピーク時の電力使用量が発電所の限界を超えないよう、ツールを使って電力使用量を監視し、節電に協力した方も多いのではないでしょうか。計画停電のスケジュールを表示するAndroidアプリ「計画停電情報」も重宝しました。

 また、ちょうど震災直後に公開された「Internet Explorer 9」は、ネットワーク回線への負荷軽減や節電に配慮し、日本での提供が4月まで延期されました。

「CubeAir 電力使用状況」(画像は当時のものです)

「Google Earth」で被害状況を知る

 様々な情報が錯綜する中、「Google Earth」は被害状況を俯瞰的に知るためのツールとして、とても役立ちました。個別の報道だけでは感覚としてとらえきれない、大きな被害の深刻さを体感し、愕然としたことを覚えています。 以下のリンク先には被災時のつらい記憶がよみがえる可能性がある画像が掲載されています。閲覧には注意してください。

東北地方太平洋沖地震の被害を「Google Earth」上へ表示するKMLファイル“Japan_earthquake2011_nl.kml”(画像は当時のものです)

被災者支援のための無償化も

 被災者支援や節電のために有償のコンテンツを無償化する企業もありました。ソフトイーサ社は現在の新型コロナ禍でも「Desktop VPN」を期間限定で無料開放していました(すでに無料期間は終了しています)。

期間限定で無償化されたPC省電力化ソフト「Optimal Green」(画像は当時のものです)

団体が被災地支援のために寄付する動きが広がる

 最後になりましたが、世界各地から被災地支援のため寄付が集まったことは、感謝の気持ちとともにずっと記憶されることでしょう。ソフト関連企業も義援金を募ったり、寄付を送る動きが広がりました。

ソースネクストが開設した被災者支援の特設サイト(画像は当時のものです)

オンラインソフトに宿る助け合いの精神

 振り返ってみれば、たくさんの被災地支援や復興支援の動きがあったことがわかります。そもそもオンラインソフトは“誰かの役に立てば”、“困っている人を助けたい”という気持ちで作られているものがほとんどです。現在のコロナ禍においても、有志によって新型コロナウイルスの対策サイトが作られるなど、その精神は活かされているように思います。窓の杜もそんな助け合いの輪を広げられるサイトであり続けようと、決意を新たにしました。