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“VRヘッドセット「Project Cambria」は「Quest 2」の後継機ではない。” Metaの日本マーケティング担当にインタビュー【TGS2022】

Metaが東京ゲームショウに初出展! 試遊体験は長蛇の列で120分を超える盛況ぶり

TGS2022のMeta Questブース

 VRヘッドセット「Meta Quest 2(旧Oculus Quest 2)」を展開するMetaが「東京ゲームショウ2022(TGS2022)」に初出展している。

 これまで「VR元年」と呼ばれた年は何度かあるが、まだまだ日本国内では普及しているという印象がないVRデバイス。今回、色鮮やかなネオンカラーが目を引くMetaブースでは、人気のVRリズムゲーム「Beat Saber」から、日本のデベロッパーが開発している新作の「ディスクロニア:CA」や「X8」まで、日本で初となるデモ出展タイトルを含む合計7タイトルが試遊可能。実際に“触れる”ブース体験を通じて、来場者に「Meta Quest 2」の魅力を強く訴えた。

 また「Meta Quest 2」の体験を希望する待機列は120分待ち以上になることもあり、来場者からの注目度は決して低くないことを印象づけた。

午後から一般の方も入場したビジネスデー2日目の様子。待ち時間は150分待ちの盛況ぶり

 本稿では、Meta Reality Labs マーケティング日本統括の上田俊輔氏へのインタビューをお届けする。

 残念ながら書面での回答となったが、今回「Meta Quest」として初となる「東京ゲームショウ」出展への思いと狙い、日本市場におけるマーケティング戦略についてお話を伺った。VRは「体験してもらうことが最も重要」であると答えた上田氏。その想いが反映されたブースの様子とともに、ぜひ本稿をチェックしてほしい。

VRならではの没入感は「体験してもらうこと」が最も重要

――3年ぶりに一般入場ありでの開催となった「TGS2022」への思い・意気込みについて教えてください。

上田氏:「Meta Quest 2」は、2020年10月に販売を開始し、ゲームやエンターテインメント、ソーシャル、フィットネス、学習など、あらゆる用途に利用されており、VR市場をリードしているデバイスです。しかし多くの方にとって、VRはまだ新しい概念であり、まだVRの没入感を体験したことのない方も多いのが現状です。VRならではの没入感の魅力を伝えるには、まずは体験いただくことが最も重要であると考えております。発売以来、新型コロナウイルス感染症により、積極的にデモ体験をいただくことができておりませんでしたが、「東京ゲームショウ」がリアルで開催されることとなり、「Quest 2」の体験ブースを設けられること、大変嬉しく思っています。

――コロナ禍でオンライン配信が主流となりつつある中、「Meta Questブース」として初のブース出展を行う意味について教えてください。

上田氏:VRならではの没入感というのは、言葉や画像、映像では伝わりづらく、体験いただくことが、最も重要であると考えています。

――今回のブースの狙いについて教えてください。

上田氏:コンテンポラリーな部屋をイメージした、カラフルなネオンカラーのボックスで構成しており、より多くの方に体験をいただけるよう、ステージなどは設けず、体験ブースをなるべく多く設けるようにしました。

Metaブース内には部屋をイメージしたボックスを用意。そこで既存の人気タイトルから、開発中の新作タイトルまでを含めた計7タイトルがプレイ可能

――「東京ゲームショウ」ということで、特にゲーマーに訴求する理由について教えてください。

上田氏:ゲームは「Meta Quest」において、最も人気のあるコンテンツカテゴリーの一つで、ゲームをきっかけにVRに興味を持っていただく方も多くいらっしゃいます。日本の開発者からも本格的なゲームタイトルが続々と登場しており、ゲームが好きな方々に「Meta Quest」のVRならではの没入感の魅力を改めて伝えたいと考えております。

Played with Fireが開発中の「MIXTURE」という新作タイトルもプレイできた

日本はMetaとしても最も重要な国の一つ

――マーケティング戦略についてもお尋ねしたいと思います。海外市場と比べて、同社における日本市場の位置づけはどれほど重要視されていますか? また、日本市場での展開拡大に向けた今後の考えをお聞かせください。

上田氏:日本は、VRに対する利用者の期待がとても高く、Metaとしても販売市場として最も重要な国の一つです。日本チームを立ち上げ、日本の利用者に特化したマーケティング活動も実施しており、独自のテレビCMの展開など、時節に応じた日本独自のプロモーション活動も行っています。

ブースでは日本でも人気のタイトル「Among Us」を前面に押し出していた
「Among Us VR」は2022年に発売予定だ

上田氏:東京ゲームショウのほかにも、多くの方に体験いただける機会をさまざまな場所で実施しています。7月23日からテレビ朝日のサマーステーションにて、Quest 2ブースを設置したり、8月27日から9月4日には渋谷でポップアップイベントを行いました。

 また日本は、トップゲームIPを開発する才能あるゲーム開発者が多く、VRのコンテンツ開発としても、とても重要な国であると考えています。

Meta Quest 夏のVR没入体験 | イベントレポート | Meta Quest 2

今年後半リリース予定のハイエンドVRヘッドセット「Project Cambria」はビジネスでの使用に焦点

――「Meta Quest 2」や次世代ヘッドセット「Project Cambria」など、Metaが提供するコンテンツのシナジーから生まれる今後のビジョンについて教えてください。

上田氏:今年後半に発売予定のハイエンドVRヘッドセット「Project Cambria」は、「Quest 2」の後継機という位置付けではなく、高価格帯のハイエンドデバイスという位置づけのデバイスです。こちらはビジネスでの使用により焦点を当てており、最終的にはノートパソコンや仕事環境に置き変わるものを目指しています。普及用途のデバイスとしては、引き続き「Meta Quest 2」が主力デバイスとなります。

「Project Cambria」が発売された後も引き続き、主力デバイスになるという「Meta Quest 2」

上田氏:10月11日(日本時間10月12日)に「Connect」が開催されます。昨年の「Connect」では、私たちはメタバースに対するビジョンと次世代ソーシャルコンピューティングについて発表しました。今年はこれまでの進捗状況や、近い将来と今後の展望をご紹介する予定です。

――ありがとうございました。

今後の展望は、来月の開催に迫った「Meta Connect」での発表に期待したい

著者プロフィール:でんこ

バーチャルに活動の場を移したゲームライター。得意分野はビデオゲーム全般だが、最近はメタバースへの関心が強い。
ライターとして様々なメディアで執筆する一方、NPO法人バーチャルライツ公認の第0期VR文化アンバサダーでもあり、メタバース上の活動やメディアでの情報発信を通じてVR文化の魅力を普及させるべく活動中。

・著者Webサイト:https://note.com/denpa_is_crazy/