【第2回】
「a! Menu Filer」「Before Power Off」の作者
杉山 利幸さん
オンラインソフト作者というのはゼネラリストでいられるからおもしろいんです
(01/12/06)
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杉山 利幸さん |
窓の杜の読者のみなさんなら、それぞれに気に入って使い続けているオンラインソフトがあるはず。そしてそのソフトに愛着がわけばわくほど、どんな人が作ったのかが気になってくるから不思議。そこで「このソフト作った人はどんな人?」では、普段はお目にかかれないオンラインソフト作者さんに、「普段はどんなことをしているんですか?」「他の作者さんのオンラインソフトのなかでオススメのソフトはありますか?」など、みなさんの代わりにお話を伺って、ソフトを作っている作者さんがどんな人なのか、お伝えしていこう。
第2回目は、「a! Menu Filer」「Before Power Off」などの作者「杉山 利幸」さんだ。
●普段はどんなことをなさっていますか? 職業、年齢などをお教え下さい。
44才の会社員です。ソフト制作以外では飲み会やたまの温泉旅行が息抜きですね。
オンラインソフト作成は、趣味ですか? このほか趣味があれば、教えて下さい。
趣味ですね。時間的拘束がないので、気が向けばという感じで開発しています。強いて時間的拘束があると言うなら、自作ソフトの掲載許可依頼の返事と、シェアウェアのパスワード発行でしょうか。そのほかは先ほどお話ししたとおり、飲み会と温泉旅行が趣味です。
最初に使ったパソコンと、現在使っているパソコンのスペックとOS、パソコン歴を教えて下さい。
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数々のソフトを生み出したキーボード |
もともとは汎用機などでFORTRANを使っていましたので、パソコンを最初に触ったのは会社のPC-9801VM(メモリは640KBしかなかった)でした。当時は8インチのフロッピーを使っていましたね。ただパソコンといっても、FORTRANコンパイラーやCP/Mなどを動かしていただけでしたから、あまり一般的なパソコンの使い方ではなかったと思います。
パソコンを個人で初めて購入したのは1996年で、富士通の“FMV-DESKPOWER SP”でした。現在でも各種OSをインストールして動作確認用に利用しています。ソフト開発には現在“Gateway2000Performance 600”をメインで使っています。あと2、3年は使いたいですね。そのほか、会社の払い下げ品の“Hitachi FLORA 1010”をテスト用にしていますが、あまり使っていません。ちなみに、公開しているオンラインソフトは動作保障しているすべてのWindowsで動作の確認をしてます。
オンラインソフトを作ろうと思ったきっかけを教えて下さい。
オンラインソフトを作ろう思ったきっかけは、最初にパソコンを買ったときに購読したパソコン雑誌のオンラインソフトコーナーを見て、自分にも作れそうだと思ったことですね。
継続してソフトを作ろうと思う理由は何ですか?
オンラインソフト作家というのは、いわばベンチャー企業の社長なんですよ。つまり、社長兼企画部長、兼開発部長、兼広報部長、兼経理部長なわけです。これほど面白いことはありません。ですから、オンラインソフト作家というのは、ゼネラリストでなければいけないと思っています。
影響を受けたソフトはありますか。
あまり影響は受けていないのですが、強いて言えば20年くらい前に発売されていたXerox社の「Jstar」というDTPワークステーションですね。これが私とGUIとの初めての出会いで、影響を受けたというよりは感銘を受けたことを覚えています。
お作りになったソフトの中で一番自信のあるものはどれですか。
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マウスは使わないトラックボール派 |
やはり思い入れがあるのは「a! Menu Filer」ですね。4年間かけて、ユーザーのみなさんと一緒に機能を追加したり洗練させてきて、そろそろ完成したかなと思っています。ほかのソフトでフリーソフトとして公開しているものはいわゆる“一発ネタ”というか、単機能であることに意味があると思っていますので、あえて大きな機能は追加しないつもりです。
他の作者さんのオンラインソフトのなかで、オススメのソフトはありますか。
オンラインソフトでよく使うのは「秀丸エディタ」で、ホームページのHTMLを記述する際にも使っています。特に大きなファイルを読み込む場合に適していますね。
□秀まるおのホームページ
http://hidemaru.xaxon.co.jp/
□窓の杜 - 秀丸エディタ
http://www.forest.impress.co.jp/library/hidemaru.html
今後、オンラインソフトはどうなっていくと思いますか。
オンラインソフトに限らずサポートがカギを握っていくと思います。これからは開発・販売が企業か個人かという違いより、サポート面できちんと迅速に対応できるかが生き残っていくポイントではないでしょうか。そういう意味でシェアウェアに限って言えば、パッケージソフトとの境界は、これからもますます縮まっていくと思います。
ただ私もWindowsそのものに関する事柄についてはMicrosoftからお金をもらっているわけではないのでサポートできませんがね(笑)。
あなたがソフト利用者に望むことはなんですか?
ソフトのバグ修正において最も大事なことはその「再現性」にあるんですよ。作者の環境において再現さえすればまずバグは取れます。ですからソフト利用者の方も、そのバグを再現できるように、バグが発生した状況を詳しく書いていただけると助かります。それはパッケージソフトでも結局は一緒ですね。
ソフトを作ってみたい人、ソフト作者になりたい人へのアドバイスをお願いします
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大切に保管されていた雑誌のCD-ROMは、作ったソフトが収録されたもの |
作るのは自由ですが、公開するからには責任を持ってほしいと思います。個人で趣味の範囲内といえども、オンラインソフトを公開すれば、やはりユーザーさんがいらっしゃるわけですから、そう言う意味で社会的責任も生じるという自覚を持っていただいきたいということです。もちろん、自覚の問題ですけれども。
初めてWindowsプログラミングに挑戦したいという方は、まずはVisual Basicから勉強すると良いと思います。本屋にはC/C++を解説する本がたくさん並んでいますが、それらの本で言語は理解できても、Windowsプログラミングを理解するのは難しいのではないかなと思っています。まずはWindowsを理解するためにVisual Basicを習得して、それからVisual C++などに移行すると良いのではないでしょうか。
今後、窓の杜に望むことはありますか。
ソフトライブラリに登録されているソフトでは、まだまだ足りないジャンルがあるように思います。そういった登録ソフトを増やしてほしいですね。また、作者による紹介文も、なるべく早く編集部による紹介文に切り替えるべきだと思いますね。ついこの間まで、「a! Menu Filer」も私の書いた紹介文でしたし(笑)。
読者のみなさんに一言。
フリーソフトの作者さんで、まだあまりメジャーでない方に、ぜひ短めのファンメールを送っていただきたいと思っています。ユーザーの方からのメールが、作者にとって一番はげみになりますから。長いメールだと、かえって迷惑になるといけませんしね(笑)。
□杉山利幸(オンラインソフト作家)のあとりえ
http://member.nifty.ne.jp/T_sugiyama/
□窓の杜 - a! Menu Filer
http://www.forest.impress.co.jp/library/amenufiler.html
□窓の杜 - Before Power Off
http://www.forest.impress.co.jp/library/beforepoweroff.html
(齋藤 正穂)