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【第12回】
「IEX」「Friend Mailer」の作者
樋口 健太郎さん
スキルやロジックも大切だけど、センスを磨くことも重要です
(02/11/21)
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樋口 健太郎さん |
窓の杜の読者のみなさんなら、それぞれに気に入って使い続けているオンラインソフトがあるはず。そしてそのソフトに愛着がわけばわくほど、どんな人が作ったのかが気になってくるから不思議。そこで「このソフト作った人はどんな人?」では、普段はお目にかかれないオンラインソフト作者さんに、「普段はどんなことをしているんですか?」「他の作者さんのオンラインソフトのなかでオススメのソフトはありますか?」など、みなさんの代わりにお話を伺って、ソフトを作っている作者さんがどんな人なのか、お伝えしていこう。
第12回目は、「IEX」「Friend Mailer」の作者「樋口 健太郎」さんだ。
まず職業、年齢と、趣味など普段なさっていることを教えて下さい。
本業としてはオンラインソフトのプログラミングを行っていますが、その他にもIT系の仕事をいくつかしています。29才で、趣味は作曲やキーボード・ピアノ演奏、映画鑑賞、散歩です。また趣味ではありませんが、周りから見ればファミレス通いも趣味のように見えるかもしれません(笑)。プログラミングなどを行うために、夜中などによく通っています。
オンラインソフトはいつ、どんな時間帯に制作していますか。
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ファミレスでコードを書く時の相棒、「Mebius PC-PJ2-X3」 |
昼、夜、深夜、調子がいいときならいつでもです。場所も、家ではもちろん喫茶店や通いつめているファミレスで制作することも珍しくありません。
パソコン歴と最初に使ったパソコンを教えて下さい。
最初に触れたコンピューターは、小学校4年生のころにおじがくれたカシオ“PB100”というポケコンで、BASICでプログラムを組んでいました。その後MSXやMSX2を買ってもらい、簡単なペイントソフトやゲームを作ったりしていました。中学校2年生くらいから音楽に熱中したためパソコンからは一時離れていましたが、20代前半の頃に再びパソコンに接しました。当時は、自作ブームだったこともあり早速DOS/Vマシンを自作しましたね。もちろん、OSはまだWindowsではなくMS-DOSでした。「FD」や「Filemtn」、「VZ Editor」を愛用していました。
□FD for DOS/V(MS-DOS/ユーティリティ)
http://www.vector.co.jp/soft/dos/util/se020040.html
□VZ Editor Version1.6(ビレッジセンターサイト)
http://www.villagecenter.co.jp/soft/vz16.html
現在のオンラインソフトの開発環境を教えて下さい。
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家ではWindows XPとWindows 2000のマシンを使い分けて、「Visual Studio
.NET」と「C++ Builder」で開発を行っているそうだ |
家では、CPUがAthlon XP2000+ 1.67GHz、メモリが256MB、OSがWindows XPのメインマシンと、CPUがCeleron 700MHz、メモリが256MB、OSがWindows 2000のサブマシンを使い分けています。これらのマシンは自作で、主に記述したコードのコンパイルや、趣味の作曲などに利用していますね。また、サブマシンとしてシャープ製のノートパソコン「Mebius PC-PJ2-X3」を使っています。ただMobile Pentium II 333MHzとパワー不足なので、プログラムのコンパイルなどはあまり行わず、喫茶店やファミレスでオンラインソフトのコードを書いたりするのに利用しています。オンラインソフトの開発環境は「Visual Studio .NET」と「C++ Builder」です。
オンラインソフトを作ろうと思ったきっかけを教えて下さい。
他人のソフトをカスタマイズしてみたいと思ったことがきっかけでしょうか。当初はマクロなどでカスタマイズしていたのが、だんだんと本格的になってオンラインソフトそのものを作るようになりました。
もともと、作ることが好きなんです。小学生のころもっていたMSXでも、市販のゲームはほとんどやらず、絵を描いたり、ゲームを作ったりしていました。
継続してソフトを作ろうと思う理由は何ですか。
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制作したオンラインソフトは、Windows 95/98/Me/NT/2000/XPとすべてのOSで動作を確認しているという |
やはりユーザーとのコミュニケーションですね。ユーザーの声が自分への刺激と原動力になっています。ソフトを作っていて、もしユーザーの方から何も反応がなかったら、やめてしまっていたかもしれません。
オンラインソフトを作っていて辛いと思ったことはありますか。
長時間ディスプレイを見ていると眼精疲労に悩まされるなど、肉体的に辛いと思ったことはありますが、それ以外では辛いと思ったことはありません。自分でも苦労性だと思うのですが、作ることが辛いとは全く思わないんです。
あなたのソフトを利用しているユーザーに望むことはなんですか。
とにかく、ソフトの不具合の報告をしてほしいですね。ユーザーさんの中には、「自分のパソコンなどの環境が悪いからうまく動かない」とか、「動かないこと自体がソフトの仕様だ」とか思われる方がいらっしゃるようですが、私のソフトに問題という場合もあるわけです。報告をいただければ、そんな疑問にもお答えできるのではないかと思っています。
お作りになったソフトの中で一番自信のあるものはどれですか。
今のところ「Friend Mailer」です。ユーザーの多くは企業のようですが、次バージョンのv2では、ユーザーの方々から要望の多い大量配信に対応する予定です。
□窓の杜 - Friend Mailer
http://www.forest.impress.co.jp/library/friendmailer.html
影響を受けたソフトはありますか(オンラインソフトでなくても構いません)。
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IBM製のPCに付属のキーボードを好んで使っているとのこと |
キー割り当てはDOS/V時代に愛用していた「VZ Editor」に影響されています。また、Microsoft製ソフトのユーザーインターフェイスは、すべてのユーザーさんが触れているという意味で規範的なもので、これにも影響されていると思います。
他の作者さんのオンラインソフトのなかで、オススメのソフトはありますか。
オンラインソフトで愛用しているのは「卓駆 for Windows」というファイラーです。テキストエディターは「VZ Editor」の後継「WZ Editor」です。そのほかペイント用に「Photoshop」、シーケンスソフトの「Cakewalk」などを使っています。
□窓の杜 - 卓駆 for Windows
http://www.forest.impress.co.jp/library/tac.html
□インデックス――WZ EDITOR 4_0 with WZ MAIL
http://www.villagecenter.co.jp/soft/wz40/
□ローランド・ホームページ(「Cakewalk」製品情報)
http://www.roland.co.jp/products/
ソフトを作ってみたい人、ソフト作者になりたい人へアドバイスをお願いします。
スキル(技術)やロジック(論理)も大切だけど、センス(感性)を磨くことも重要だと思っています。固定観念にとらわれない自由な発想をもつことが、新しいソフトを生み出すのではないでしょうか。私もそうなのですが、とにかく技術やマニアックすぎる知識に走りすぎないように気つけていきたいですね。
今後、オンラインソフト全体はどうなっていくと思いますか。
今後も似たようなソフトが多くリリースされると思いますが、良質なソフトはいつも一定数なのだろうと思いますので、定番とされるソフトとそれ以外のものは、今以上に分化していくのではないかと思います。また、現在売られているパッケージソフトは、それほどオンラインソフト化せず、もっぱら個人や小規模な開発元がオンラインソフトの多くをリリースするのではないでしょうか。形が残るモノがほしいという理由で、パッケージソフトを買う方も結構居るのではないかと思うのです。ですから、今後もあまり現状とは変わらないのではないかと思っています。
窓の杜へのご意見やご要望など、窓の杜に望むことはありますか。
更新の早さが特長だと思うので、今後も今までの早さを維持してほしいですね。
読者のみなさんに一言お願いします。
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趣味の作曲に使っているキーボード |
現在リリースしているソフトのバージョンアップも含めて、今後も珍しいソフトをどんどんリリースしていくつもりです。また、私の作曲した音楽を紹介するサイトもありますので、ぜひ訪れてみてください。ヒーリング系の曲なので、疲れたときにどうぞ。
□窓の杜 - IEX
http://www.forest.impress.co.jp/library/iex.html
□●-- AVA-SOFT --●(アバソフト)Online Software Library
http://www.ava-soft.com/
□KH Music Studio(樋口さんの音楽の紹介ページ)
http://www.ava-soft.com/music/index.htm
(齋藤 正穂)