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【第21回】
「OPTPiX webDesigner」などの作者、(株)ウェブテクノロジさん
オンラインソフトユーザーは、作者へのフィードバックをぜひお願いします
(03/10/30)
窓の杜の読者のみなさんなら、それぞれに気に入って使い続けているオンラインソフトがあるはず。そしてそのソフトに愛着がわけばわくほど、どんな人が作ったのかが気になってくるから不思議。そこで「このソフト作った人はどんな人?」では、普段はお目にかかれないオンラインソフト作者さんに、「普段はどんなことをしているんですか?」「他の作者さんのオンラインソフトのなかでオススメのソフトはありますか?」など、みなさんの代わりにお話を伺って、ソフトを作っている作者さんがどんな人なのか、お伝えしていこう。
第21回目は、「OPTPiX webDesigner」「EXEpress CX」の作者、(株)ウェブテクノロジさんだ。
まず職業、年齢と、趣味など普段なさっていることを教えて下さい。
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代表取締役、小高 輝真さん |
(株)ウェブテクノロジ、代表取締役、小高 輝真さん(以下、小高):
(株)ウェブテクノロジの代表取締役です。37歳です。趣味は……、強いて言えば海外旅行でしょうか。とはいえ、最近は仕事が忙しく全然行くことができません。最後に行ったのは台湾で、その前に行ったのがラスベガスです。とはいえ両方とも展示会ですから、半分仕事ということになりますね(笑)。
今となっては、旨いものを食べることくらいしか、趣味と呼べるものはないのかもしれません。枯れてますね(笑)。
(株)ウェブテクノロジ、R&Dグループ チーフエンジニア、小野 知之さん(以下、小野):
(株)ウェブテクノロジでチーフエンジニアをしている、34歳です。趣味は家庭用のテレビゲームです。毎日少しでもゲームをやらないと気がすまないというくらい好きです。もちろん、マスターアップ(編集部注:ソフト開発の最終段階のこと)前はやりませんが(笑)。
(株)ウェブテクノロジ、R&Dグループ、佐藤 伸さん(以下、佐藤):
(株)ウェブテクノロジでプログラムを書いています。33歳です。趣味は……読書と映画くらいですね。あまり趣味とは言えないかもしれませんが。
オンラインソフトはいつ、どんな時間帯に制作していますか。
全員:
「OPTPiX webDesigner」はオンラインソフトですが、企業として開発していますので、就業時間帯が開発時間帯ということになります。
□窓の杜 - OPTPiX webDesigner
http://www.forest.impress.co.jp/library/optpix.html
パソコン歴と最初に使ったパソコンを教えて下さい。
小高:
BASICを搭載した初のポケコンで、1980年に発売されたシャープ製の“PC-1211”です。これでBASICを覚えました。その次に同じくシャープ製の”PC-1500”を買い、機械語とハードの改造をマスターしました(笑)。いわゆるパソコンと言えるものはNEC製の“PC-9801F”からです。
小野:
“MSX”でしたが、メーカーや型番は忘れてしまいました。当時は、MSX上でBASICを触っていました。
佐藤:
初めてパソコンを使ったのは、“クリーンコンピュータ”というキャッチフレーズで売られていたシャープ製の“MZ-80K/C”か“MZ-80K2”だったと思います。1980年頃の話です。
現在のオンラインソフトの開発環境を教えて下さい。
小野・佐藤:
開発に利用しているのはDELL製のPCで、開発言語は「Visual C++」を使ってます。
□Microsoft Visual C++ ホームページ
http://www.microsoft.com/japan/msdn/visualc/
オンラインソフトを作ろうと思ったきっかけを教えて下さい。
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R&Dグループ チーフエンジニア、小野 知之さん |
佐藤:
今日はここにはおりませんが、社内にもともとグラフィック系が好きなプログラマーがおりまして、大量の画像をすばやく見るためのソフトなどを作っていました。その過程で、画像処理に関する技術を蓄積した結果、「OPTPiX」の減色のコア部分ができました。
小野:
せっかく作ったのだからオンラインソフトとしてリリースしようと考え、公開したのが最初の「OPTPiX」になります。その後、機能を追加しながら発展してきたわけです。
小高:
当時は今よりも会社の規模が小さく、受託ソフトの開発がメインだったので、スケジュールが重ならないように仕事をお受けすると、どうしても仕事がなくなってしまう時期がありました。その空いた期間を有効活用する目的で、オンラインソフトの開発を始めたわけです。そのようにして公開したソフトのなかから、何かいいアイディアやヒット商品が出てくればいいなと思っていました。ですので、多いときにはフリーソフトとシェアウェアを合わせて7本くらいのオンラインソフトを公開していましたね。
継続してソフトを作ろうと思う理由は何ですか。
小高:
その後「OPTPiX」は、ゲーム開発用のツールとして採用されることになり、「OPTPiX iMageStudio」という製品が派生しました。現在ではPlayStation 2を始めとする家庭用ゲーム機のゲームソフトの制作現場では、必須のツールと言われるほどになりました。
振り返ってみると、『A社さんの要望を受けて追加した機能が、B社でも便利に使える』と言った具合にどんどん機能も豊富になり、制作用ツールとして強化されていった結果シェアが向上していったのだろうと思います。
しかし「OPTPiX iMageStudio」が専門的なソフトになるにつれ、オンラインソフトとしてリリースしていた「OPTPiX」をどうしようかという問題も出てきました。一般ユーザー向けのソフトですから、ゲーム制作に特化した機能を搭載するには限界があります。
小野:
また、そもそも「OPTPiX」はプロ向けの機能が多く、一般ユーザーさんからは用語が分からないというご指摘もありました。そこで、プロ用として使われるようになった「OPTPiX iMageStudio」とは別に、一般ユーザーさんのホームページ作成向けという視点で別途進化させようということになり、現在の「OPTPiX webDesigner」が生まれました。
□web technology Corp. [ OPTPiX iMageStudio ]
http://www.webtech.co.jp/istudio/
オンラインソフトを作っていて辛いと思ったことはありますか。
小野:
ユーザーの方からたくさん要望をいただくんですが、それに対応しきれない歯がゆさが辛いですね。要望を下さる方というのは、今すぐにその機能がほしいということがとても多いんですが、こちらのマンパワーや時間の問題で、どうしてもすぐに対応できるとは限らないので。
佐藤:
ソフト会社はどこでもそうだと思いますが、やっぱりマスターアップ前のドタバタが大変です。
小高:
昔は私もソフトを作っていたんですが、もう10年近く前に引退してしまいました。ですので辛いことと言うとソフト開発とは関係ない話になってしまいますが、やはり会社経営は大変です(笑)。現在では、社員の人数も増えて責任も大きくなっていますからね。
あなたのソフトを利用しているユーザーに望むことはなんですか。
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R&Dグループ、佐藤 伸さん |
小野:
フィードバックがほしいですね。「OPTPiX webDesigner」はユーザーさんからのフィードバックがそこそこ返ってくるんですが、「OPTPiX iMageStudio」のユーザーさんからはフィードバックがあまりないんです。でも現場に行って尋ねてみると、問題点を指摘されることが多いんですね。そこでフィードバックをいただけない理由を聞いてみますと、やはり忙しいとか、プロなので自分たちで回避策を見つけてしまうということのようです。しかし、フィードバックをいただかないことには次回のバージョンアップに反映できませんので、ぜひ手間でも一言いただきたいですね。
お作りになったソフトの中で一番自信のあるものはどれですか。
全員:
「OPTPiX iMageStudioシリーズ」ですね。「OPTPiX」シリーズの最高峰ですから。
影響を受けたソフトはありますか(オンラインソフトでなくても構いません)。
小高:
(株)アスキーが、DOSの時代に書店で売っていた「MS-DOS SOFTWARE TOOLS Vol.1~3」というソフトでしょうか。DOS用の便利なユーティリティ集なんですが、実は今でも使っているものがあります。(編集部注:現在は絶版となっています)
小野:
影響を受けたというわけではありませんが、一番よく使っているソフトは「秀丸エディタ」です。プログラミングのときも、社内文書を書くときも、メールも、すべて「秀丸エディタ」を使ってます。
佐藤:
DOSの時代になって、ファイルをOS上で管理できるようになりました。その頃に出会った「LHarc」にはカルチャーショックを受けましたね。(編集部注:「LHarc」は、DOS用の圧縮プログラム「LHA」の前身となったプログラムです)
□窓の杜 - 秀丸エディタ
http://www.forest.impress.co.jp/library/hidemaru.html
□LHA(MS-DOS-ユーティリティ)
http://www.vector.co.jp/soft/dos/util/se002413.html
他の作者さんのオンラインソフトのなかで、オススメのソフトはありますか。
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小高さんが執筆した「一太郎Ver.3 JUSTテクニックブック」(編集部注:現在は絶版となっています) |
佐藤:
「AltIME」ですね。もう手放せないです。
小高:
オンラインソフトではありませんが、今でも「一太郎」を愛用しています。昔、「一太郎」に関する書籍を書いていたものですから。個人的には、「Word」より使いやすいと思っています。実はその本、当時はかなり売れまして、その売り上げが今の会社の資本金になっています(笑)。
今でも社内向け文書の多くを「一太郎」で作成していますが、社外向けなどの文書では仕方なく「Word」を使っています。(株)ジャストシステムは、日本では数少ない、大規模な独立系PCソフトメーカーですから、がんばってほしいと思っています。
小野:
私は「秀丸エディタ」があればいいです(笑)。
□窓の杜 - AltIME
http://www.forest.impress.co.jp/library/altime.html
□一太郎Web
http://www.ichitaro.com/
ソフトを作ってみたい人、ソフト作者になりたい人へアドバイスをお願いします。
佐藤:
まずはプログラムを作ってみることでしょうか。そして途中で挫折せず、最後までやることが大切だと思います。今はインターネットがありますから、プログラミングの勉強をするにしても、分からないことを調べるにしても、質問するにしても、いい環境が揃っていますから。
小野:
ユーザーインターフェイスについて、よく考えてソフトを作ってほしいですね。たとえマニュアルを読まなくても、一目で使い方が分かるソフトというのが理想ではないでしょうか。
小高:
ソフトを作ってみたいという人がだんだん減っているのではないかと心配しています。Windows環境で動作するソフトとなると、開発環境も高価ですし、ハードルも高いですから。OSが高度化するのはユーザーにとってはよいことですが、プログラマーを育成するという視点では将来が少し心配です。
また、趣味でプログラムを始めた人は、アルゴリズムなどについて、きちんと勉強していない人が多いのではないでしょうか。各種アルゴリズムに関しては、最初のうちは知らなくてもいいのですが、ある程度プログラミングができるようになったら勉強しておいた方がいいと思います。
それから私の経験上、オンラインソフトの収入だけで会社を運営、発展させていくのは、かなり難しいと思っています。超有名シェアウェアの累計売り上げ額が何億円という話を聞いたことがありますが、ある程度の規模の会社を運営し、発展させるとなるとそれだけではかなり苦しいのではないでしょうか。オンライン上のソフトウェア流通市場は思った以上に立ち上がりが遅いですし、PCソフトは成熟市場になってきているので、新規参入のハードルはかなり高くなってきていると思います。
今後、オンラインソフト全体はどうなっていくと思いますか。
小野:
オンラインソフト制作は趣味でなさっている方がほとんどですから、オンラインソフトは今後もなくなることはないと思います。ましてインターネットが当たり前の時代ですから、ますます盛んになっていくのではないかと思います。
佐藤:
私もオンラインソフトは今後もなくなることはないと思います。ただ、LinuxなどではOSやGCC(編集部注:“GNU Compiler Collection”の略で、GNUによるフリーのコンパイラ)などがフリーで配布されているわけですから、今後は、OSもフリー、開発環境もフリー、そしてオンラインソフトもフリーという方向になって、シェアウェアは少なくなっていくのではないかと思います。
小高:
ワールドワイドでみれば、今後もなくなることはないと思います。ただ、個人的な印象ですが、国内のオンラインソフトの世界でシェアウェアが増えるにしたがい、だんだんと“熱気”が感じられなくなってきたような気がしてなりません。たとえば、学生さんや駆け出しのプログラマであれば、シェアウェアにするよりオープンソースにして、ユーザーさんやオンラインソフト作者仲間から磨きをかけてもらうほうが、将来的には自分にとって大きな財産になると思います。
窓の杜へのご意見やご要望など、窓の杜に望むことはありますか。
全員:
他のオンラインソフトダウンロードサイトでは、質の良いソフトを探すのが大変ですので、非常に助かっています。これからも水準の高いソフトを厳選して紹介してください。
読者のみなさんに一言お願いします。
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オフィスには、社員のみなさんがクレーンゲームでゲットしたアイテムが山盛り |
小高:
みんなでソフトを買いましょう。そして経済を循環させましょう(笑)。ソフトを買わず、パソコン雑誌や書籍も買わないという状況は、結果的に自分で自分の首を絞めていることになるのではないかと思います。今は“情報はタダ”という方向へ進んでいますが、自分にとって有用な情報にはお金を払っていくべきではないかと思っています。
小野:
「OPTPiX」も最初は単なる一つのオンラインソフトでしたが、みなさんのおかげでここまで成長しました。ありがとうございます。
佐藤:
みんなでいいソフトを世の中に出しましょう。そして、みんなで支えていきましょう。
□web technology Corp
http://www.webtech.co.jp/
□窓の杜 - EXEpress CX
http://www.forest.impress.co.jp/library/exepress.html
(川中 良二)