【第3回】
「Hot Soup Processor」の作者
おにたまさん
私のソフト作成スタイルは、ノンビリ型なんです
(02/01/17)
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おにたまさん |
窓の杜の読者のみなさんなら、それぞれに気に入って使い続けているオンラインソフトがあるはず。そんな愛着があるソフトを作った人に興味を持ったことはないだろうか。「このソフト作った人はどんな人?」では、みなさんにソフト作者さんをもっと知ってもらうために、普段はお目にかかれないオンラインソフト作者のみなさんにスポットを当て、「普段はどんなことをしているんですか?」「他の作者さんのオンラインソフトのなかでオススメのソフトはありますか?」などの質問を通して、オンラインソフトの作者さんを紹介していこうと思う。
第3回目は、「Hot Soup Processor」などの作者「おにたま」さんだ。
職業、年齢などをお教え下さい。
家庭用ゲーム機向けのゲームソフトを開発する会社に勤めている、35歳のプログラマーです。でも自分自身はあまりゲームをしません。実を言うと家庭用ゲーム機を持っていないんです(笑)。ゲームをする時間がないというのもありますが、プレイするより作ることが大好きなんです。
オンラインソフト作成は、趣味ですか? このほかの趣味や、普段はどんなことをなさっているかなどを教えて下さい。
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趣味で集めているというピンボールマシン |
まったくの趣味ですね。モノ作りの過程であるプログラミングというより、プログラミングによって今までになかったモノが産み出されるということが楽しいのです。そのほかの趣味は音楽やピンボールなどがありますが、最近は動画撮影とその編集に凝ってます。
最初に使ったパソコンと、現在使っているパソコンのスペックとOSを教えて下さい。
最初に自分で買ったのはNECの“PC-6001”、いわゆるパピコンですね。ちなみに、最初に触ったのはワンボードマイコンでした。当時はいわゆるマイコン少年で、秋葉原などにショップ通いをしてました。
今メインに使っているパソコンは、デスクトップとノートともにソニーのVAIOです。そのほか、自作マシンや動作確認に使っている旧型マシンもあります。主にWindows2000を使っていますが、動作確認にはWindows XPやWindows 95/Meも使っています。
パソコン歴とオンラインソフトを作ろうと思ったきっかけを教えて下さい。
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現在の作業環境。キーボードはさすがにDOS/Vのものでした |
上でも述べたように、ワンボードマイコン時代から様々なマイコン・パソコンにどっぷり漬かった人生を送っています。ちなみに、キーボードはシャープの“X68030”のものが最高で、気に入っていました。その後、それを越えるキーボードに出会っていません。
もともと「Hot Soup Processor」は自分にとって必要だから作った、いわば中間生成物的ソフトなのです。ある程度できあがったものはオンラインで公開することで、ユーザーの意見などを取り入れることで、さらに面白いものができあがっていくと思っています。ただ、公開するものについてはある程度使う人のことを考えるようにしています。使う人の姿を思い浮かべることも、また楽しいことです。
継続してソフトを作ろうと思う理由は何ですか?
私のソフト作成スタイルは、ノンビリ型なんです。目標の機能を20%も達成できなくて、断念したりやり直したりすることはしょっちゅうです。一気に作り上げるような短期集中的な作り方をしたこともありましたが、ある程度完成した時点でその情熱が急速にしぼんでしまい、それ以降、そのソフトを作り続ける気持ちがなくなってしまいました。それよりもコンスタントにコツコツと作り上げていくのが性に合っているので、結局のところ長続きしているのだと思います。
影響を受けたソフトはありますか。
パソコンの名機“Apple II”の色々なゲームをプレイしまくったことが、自分に影響していると思います。もちろん純正の“Apple II”は非常に高価で憧れに過ぎませんでしたので、互換機を持っていました。特に「チョップリフター」というヘリコプターで地上の捕虜を救出するアクションゲームが印象に残っています。
お作りになったソフトの中で一番自信のあるものはどれですか。
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複数マシンを使い分けているそうで、机の上にはマウスがたくさん |
基本的にはどのソフトもあまり自信はないんです。前述のように、作ってるときは“コレはいけるっ!”と思っているのですが、できてしまうと作りたかったことの半分も実現しなくてガックリしてしまうんです(笑)。自分で勝手に盛り上がって自分で意気消沈してるんですが、自信のないものを公開するのはユーザーに申し訳ないので、ある程度形にしてから公開するようにはしています。
他の作者さんのオンラインソフトのなかで、オススメのソフトはありますか。
「3D Explorer」という、3D CG用ファイルを3D表示するビューワーが、最近使ったソフトの中でとてもよくできていたと感じています。
(編集部注:現在は「3DExploration」という名称で公開されています)
□Right Hemisphere - 3D Graphics Software
http://www.us.righthemisphere.com/
□窓の杜 - 3D CG用ファイルの3次元表示も可能な画像ビューワー「3D Explorer」v1.0
http://www.forest.impress.co.jp/article/1999/05/24/threedexplorer.html
「Hot Soup Processor」にも同類のソフトがたくさんありますが、用途によって使い分けていただければと思います。たとえば、「Hot Soup Processor」でExcel級のソフトを作るのは無理ですが、自分専用にカスタマイズした家計簿ソフトを作ることは、手軽にできます。そういう意味で、ほかのソフトも含めて適材適所で使っていくのが良いのではないかと思います。
今後、オンラインソフトはどうなっていくと思いますか。
オンラインソフトを公開する目的には大きく分けて2つの方向性があると考えています。1つはパッケージなどの市販の流通形態ではあまり売り上げを期待できないものの、確実に欲しい人がいるニッチにアピールするソフトを発表するニーズ先行型で、これからもどんどん広がる方法だと思います。もう1つは“作家性”ともいうような個性のある、作った個人の味わいがあるようなソフトを発表するというアイデア先行型です。
ところで、今は小学校にパソコンがあるのは当たり前ですよね。「Hot Soup Processor」ですごいソフトを作る小学生もいて、将来はどうなるんだろうなどと考えています。
あなたがソフト利用者に望むことはなんですか?
なにかを思いついたときに気軽に使ってもらって、少しでもお役に立ったならば、それだけで嬉しいです。また、「Hot Soup Processor」の利用者の方には、すでに似たようなソフトがあるから作らないとか、作り方は分かっているから作らないなどと思わずに、まずは実際に“作ってみる”ことをおすすめします。目的のソフトを作るために、いったん必要な動作を分解してから道筋をつけて「Hot Soup Processor」で組み立てるという作業は、それだけで楽しく、学ぶこともあるはずです。また、そのような作業の過程の中で新たなアイデアが浮かぶこともあります。まずは実践することが重要だと思っています。
ソフトを作ってみたい人、ソフト作者になりたい人へのアドバイスをお願いします
ソフト作者は目指すものではないとは思いますが、まずは何をしたいのか、何を作りたいかをはっきりさせることではないでしょうか。そして、その目的を達成するだけのモチベーションも重要になってくると思います。
今後、窓の杜に望むことはありますか。
とりあえず、つぶれずにずっと続けていってほしいですね(笑)。ほかのサイトにない独自の記事や、“読ませる”記事をこれからもどんどん掲載していってください。オンラインソフトの紹介記事にとどまらず、もっと深く掘り下げた記事を期待します。
読者のみなさんに一言。
これからもオンラインソフトを発表していくと思いますが、どうぞよろしくお願いします。どこかで私や私のソフトを見かけたら、ぜひ暖かい目で見守ってください。
□ONION software HOMEPAGE
http://www.onionsoft.net/
□窓の杜 - Hot Soup Processor
http://www.forest.impress.co.jp/library/hsp.html
(齋藤 正穂)