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「tar」「curl」がWindows 10に、“WSL”も強化 ~Insider Preview Build 17063

LinuxのパスをWindows風のパスへ変換する“wslpath”ツールやUnixソケット対応も注目

公式ブログ“Virtualization Blog”

 米Microsoft Corporationは19日(現地時間)、PC版「Windows 10 Insider Preview」Build 17063を“Windows Insider Program”の“Fast”リングの参加ユーザーに対して公開した。本ビルドでは“Windows Subsystem for Linux(WSL)”にもいくつかの改善が盛り込まれたほか、開発者向けの新しいLinuxツールが新たにサポートされている。

 「Windows 10 Fall Creators Update」でベータ版を卒業し、開発に1つの区切りがついたかに見えた“WSL”だが、「Windows 10 Insider Preview」では次期機能アップデートのリリースに向けたアグレッシブな機能強化が引き続き行われている。たとえば、これまでのビルドでは“sshd”や“httpd”、“screen”、“tmux”といったコマンドをバックグラウンドでタスクを動作させられるようになったほか、権限昇格した“WSL”インスタンスとそうでない“WSL”インスタンスを同時に実行する機能がサポートされてきた。

 加えて、今回リリースされたBuild 17063では、LinuxのパスとWindowsフレンドリーなパスを変換する“wslpath”ツールが追加された。LinuxコマンドとWindowsコマンドの相互運用に役立つだろう。

 さらに、本ビルドではUnix環境でお馴染みの「bsdtar(tar)」と「curl」という2つのコマンドがサポートされた。

Unix環境でお馴染みの「bsdtar(tar)」と「curl」という2つのコマンドがサポート(同ブログより引用)

 「tar」はファイルを圧縮・展開するためのツール。「curl」はインターネットからファイルをダウンロードするツールで、いずれもインターネットからファイルを取得して展開するといった用途には必須のコマンドと言える。Windowsの「PowerShell」を利用しても同様のことは行えるが、「PowerShell」がすぐには利用できない環境や「cmd.exe」だけで処理を完結したい場合に有用だ。

 また、「tar」「curl」を同梱した結果、「PowerShell」なしで「Nano Server」のコンテナーイメージを取得・ビルドできるようになったのもメリットだという。「PowerShell」コンポーネントは56MB程度だが、イメージサイズが200MBに抑えられている「Nano Server」にとっては無視できない大きさだ。

 そのほかにも、Unixスタイルのソケット(AF_UNIX)がWindowsで利用できるようになった。ソケットは長年Unixのプロセス間通信に利用されており、依存するツールも多い。そういったツールも、今回の改善でWindowsへ移植するのが容易になるだろう。