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「Firefox 65」が正式公開 ~トラッキング保護を改善、WebP/AV1をサポート
脆弱性の修正はCVE番号ベースで7件
2019年1月30日 11:30
Mozillaは1月29日(米国時間)、「Firefox 65」を正式公開した。「Firefox Quantum」を冠した9番目のメジャーリリースとなる本バージョンでは、トラッキング保護機能の強化、多言語対応の改善、新しいコーデックのサポートなどが行われている。
トラッキング保護機能の強化
「Firefox」はユーザーのオンライン行動を追跡し、情報を収集する“トラッカー”をブロックする機能がもともと充実しているが、一般ユーザーにとってわかりやすいものとは言えなかった。
そこで、新しいコンテンツブロッキングの設定画面(about:preferences#privacy)ではブロックオプションが“標準”、“厳格”、“カスタム”の3つに整理された。おすすめは“標準”で、これを選んでおけば互換性を保ちつつ、プライバシーを確保できる。互換性を多少犠牲にしてでもプライバシーを守りたい場合は、“厳格”を選べばよい。コンテンツブロッキングのの仕組みに精通したユーザーであれば、“カスタム”で特定の機能のみを有効化できる。
Mozillaはアンチトラッキングポリシーを公開してユーザーのプライバシーを保護する姿勢を鮮明に打ち出しているが、この改善はその一環といえるだろう。
多言語対応の改善
また、オプション画面(about:preferences)の[言語と外観]セクションがアップデートされ、言語の追加が簡単になった。新しい言語を追加すると言語パックが自動でインストールされ、「Firefox」の再起動で簡単に適用できる。
新しいコーデックのサポート
「Firefox 65」では、オープンソースのイメージフォーマット“WebP(ウェッピー)”が新たにサポートされた。WebPはJPEG/PNGと比べてファイルサイズを抑えられる上、可逆圧縮・非可逆圧縮の選択、アルファチャネル(透過)、アニメーション、カラープロファイルに対応するなど多機能で、「Google Chrome」や「Opera」では5年以上前からサポートされている。
Mozillaはいくつかの懸念から「Firefox」での対応を見送っていたが、最近はWebP形式の画像しか提供しないサイトも少なくない。「Windows 10」「Microsoft Edge」がWebPをサポートしたこともあり、態度を翻してこれに追随する決断を下した格好だ。
また、Windows版では“AV1”と呼ばれるビデオコーデックもサポートされた。「AV1」は「VP9」よりも圧縮効率が30%ほど高く、HEVC/H.265に代わるロイヤリティフリーの動画コーデックとして期待されている。
そのほかの改善
ユーザーインターフェイス関連では、タスクマネージャー(about:performance)でメモリ使用量の表示がサポートされた。どのタブがメモリを多く消費しているかが簡単にわかる。
プラットフォーム固有の改善としては、Windows版で32/64bit版のMSIインストーラーが提供されるようになったことが挙げられる。「Firefox」の導入を考えている法人にとっては朗報だろう。また、Mac版では“Handoff(ハンドオフ)”がサポートされた。iOS端末で閲覧していたページをMacの「Firefox」で楽しむことができる。
なお、本バージョンにはセキュリティ関係の修正も含まれているので注意。Mozillaが公開したセキュリティ情報によると、今回修正された脆弱性はCVE番号ベースで7件。深刻度の内訳は、Mozillaの基準で4段階中上から最高の“Critical”が3件、上から2番目の“High”が3件、上から3番目の“Moderate”が1件となっている。
「Firefox」はWindows/Mac/Linuxなどに対応する寄付歓迎のフリーソフトで、現在MozillaのWebサイトからダウンロード可能。Windows版は窓の杜ライブラリからもダウンロードできる。すでにインストールされている場合は更新機能を利用してアップデートすることも可能。