ニュース

フリーのメディアセンターアプリの最新版「Kodi 19.0」が公開

ライブラリの管理やビデオ再生を強化。「Python 2」から「Python 3」への移行も果たす

ホームシアターアプリ「Kodi 19.0」が正式公開

 XBMC Foundationは2月20日(米国時間)、オープンソースのメディアセンターアプリ「Kodi」の最新版「Kodi 19.0」(コードネーム:Matrix)を正式リリースした。「Kodi 18」の初回リリース以降、約5,000件のコミット、1,500件以上のプルリクエストで5,500以上のファイルが変更され、約600,000行のコードが追加・変更・削除されているという。

 「Kodi」(旧XBMC、XBox Media Center)は、もともとXbox向けに開発されたホームシアターPC(HTPC)向けのメディアプレーヤーソフト。リビングルームの大画面スクリーンでメディアを楽しむのに最適な“10フィート”ユーザーインターフェイスを備え、さまざまなソースからメディアを再生することが可能。また、メディアコンテンツをDLNA/UPnP機器へ配信するサーバー機能を備える。

 開発はオープンソース・非営利で行われており(寄付歓迎、ライセンスはGPLv2ライセンス)、Windows/Mac/Linux/iOS/Android/Raspberry PiといったOSをサポートしている。Windows版は32bit/64bitのインストーラー版に加え、“Microsoft Store”で入手可能なストアアプリが利用可能。初期状態のユーザーインターフェイスは英語だが、日本語化も可能だ。

ユーザーインターフェイスを日本語化することも可能。ただし、先にスキンのフォントを変更しておく必要がある(画面左下で設定を[Advanced]へ切り替えると変更可能)
[地域]設定で言語を変更。先にフォントを変更しておかないと、文字化けで操作不能になる恐れがある

 最新版の「Kodi 19.0」では、オーディオ機能を強化。メタデータの処理が大幅に拡張され、ライブラリの管理が容易になった。必要に応じて音楽ライブラリから関連するアルバムやアーティスト情報を取得して表示できるようになったほか、アルバムだけでなくアーティストごとにビデオをグループ化したり、メインアーティストだけでなくすべての出演者をリストアップする.NFOファイルをサポートしたり、同じディレクターの関連アルバムやビデオへアクセスするための検索リンクを改善するなど、さまざまな改善が施されている。映画『マトリックス』にインスパイアされたデザインエフェクトも随所に加えられているという。

 ビデオ関連ではAV1ソフトウェアデコーディングをサポートしたほか、Windows 10ではHLG HDRおよびスタティックHDR10の再生が、AndroidではスタティックHDR10とダイナミックDolby Vision HDRの再生が行わるようになった。「OpenGL」のバイキュービックスケーラー対応も拡充されている。

 そのほかにも、スキンやルックアンドフィール、字幕、PVR(パーソナルビデオレコーダー)、ライブテレビなどが改善された。古い「Python 2」系統のサポートを打ち切り、アドオンを「Python 3」へ移行させたのも本バージョンの目玉といえるだろう。内部で使われていた「Python」のコンポーネントも「Python 3」へ移植された。悪意あるアドオンによって「Kodi」が上書きされないようになるなど、セキュリティの強化も図られている。

 なお、本バージョンではtvOSが新たにサポートされた。一方で、32bitのiOSはサポート対象外となった。また、ウィンドウシステム(X11、Wayland、GBM)によって3つに分かれていたLinux向けのバイナリが1つにまとめられているとのこと。