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月600円で容量無制限のクラウドバックアップが可能な「Dropbox Backup」がローンチ
バージョン履歴管理や別デバイスへのリストアも可能
2022年4月15日 06:30
Dropbox Japan(株)は4月14日、バックアップの新サービスとして「Dropbox Backup」を発表した。
「Dropbox Backup」は、自動で指定フォルダーのバックアップをクラウド上に作成し、リストア作業も自動的に行うことが可能。ファイルの参照はクラウドからいつでもどこでも行うことができ、バージョン履歴は契約形態により30~180日間利用できる。必要なバックアップファイルをすぐに参照することが可能だ。
同社が提供してきたバックアップ機能に基づいて開発したものであり、ユーザーからの要望を反映して新たな復元フロー、パソコンでのバックアップ管理の設定などを実現。写真や動画、個人用ドキュメントなど、大切なファイルを保護するために必要な対策を事前に講じることができるという。
Dropbox Japanの梅田成二社長は、『バックアップは、Dropboxユーザーにとって人気が高い機能であり、クラウドサービスを利用する用途、目的では、上位3位までを占めている機能。今回、この機能を拡張するとともに、単独製品としてリリースすることにした』と述べた。
新たに用意された「Dropbox Backupプラン」では容量無制限のバックアップが可能
「Dropbox Backup」は、「Dropbox」のすべてのプランで利用でき、各プランのストレージ上限までファイルを保存可能。新規ユーザーやBasicユーザー向けに独立したサービスとして用意された「Dropbox Backupプラン」では、パソコン1台と外部ドライブ1台分を容量無制限で、30日間のバージョン履歴管理を行いながら利用できる。価格は年額7,200円(月額換算600円)または月額750円。なお、Dropbox Backupプランは、サーバーOSには対応しておらず、コンシューマーユーザーを対象としたサービスと位置付けている。
『Dropboxのアプリを使って利用できるサービスであり、新たにクラウドでバックアップを行いたいというユーザーには最適なプランとなる。パソコン1台のバックアップに対する容量上限は無制限だが、クラウドストレージとして利用できる容量は2GBとなる。2台以上をバックアップ対象とした場合に、バックアップ容量無制限となるのは選択した1台のみ。リストアの際には別のパソコンへのリストアが可能になっている』(Dropbox Japan アジア太平洋・日本地域統括ソリューション本部長の岡崎隆之氏)という。
「Dropbox Backup」はバックアップにまつわる難しさを解消できるサービス
また、「Dropbox Backup」は、専任チームによって運用されている高信頼インフラを活用できるため、ローカルに設置した場合に発生する機器故障で読み取れないといった課題を回避可能。履歴は日数ごとに無制限の世代数で管理されるので、マルウェアなどによって壊れたデータによってバックアップを上書きされてしまうといったこともなくなる。
クラウドであるため保管場所を気にしなくていいことに加えて、バックアップ取得の自動化も実現。バックアップ済みファイルがいつでも参照でき、ダウンロードが可能であることなどの特徴を示し、『バックアップにまつわる難しさを解消できるサービスになる』(Dropbox Japanの岡崎本部長)とした。
バックアップ操作がシンプルであり、デスクトップからすべてを管理することが可能になる点も特徴で、進行状況や履歴の確認、特定ファイルの優先設定が1カ所で完結。自動のセーフティネットで不測の事態に備えることができる。
また、ファイルは共有ファイルから分離してバックアップするため、緊急バックアップを上書きしてしまう心配がない。問題が発生した場合でも迅速に復元が可能だ。復元は数回クリックするだけで開始でき、ファイルはクラウドのバックアップから自動で復元できる。さらに、ファイルやフォルダーの「コピー」を自動でバックアップし、必要に応じてクラウドからすぐに復元できる。
バックアップに関する3つの誤解
同社では、バックアップに関して、3つの誤解があると指摘する。
それは、「クラウドよりもローカルのほうが安全」、「クラウドよりもローカルのほうが安い」、「バックアップはとれているから心配ない」という3点だ。
Dropbox Japanの岡崎本部長は、『量販店では、4TBのHDDが1万円前後で購入できるのに対して、クラウドサービスは、年間で同等程度の費用がかかる。そのため、ローカルに置いた方がいいという考え方もある』としながらも、『ローカルでバックアップするには、様々な課題が発生しやすい。その点を考慮する必要がある』と述べた。
ローカルバックアップで生まれる課題
家庭やオフィス環境でのローカルバックアップの問題点として、以下の点が挙げられた。
- ホコリが多いため故障しやすい
- メンテナンスに手間がかかる
- ランサムウェアなどで破壊されたデータをバックアップしてしまうと元データが復元できない
- 必要なファイルがどのドライブに入っているか管理が面倒であったり、困難であったりする
加えて、業務利用でのローカルバックアップの問題点としては、以下の点が挙げられた。
- プロジェクトが佳境に入り、バックアップ取得に気が回らなかったり、次の担当者にバックアップ作業が引き継がれておらず、バックアップできていない状況が生まれたりする
- データが大容量化することにより、リストア処理に多くの時間がかかり、場合によっては数日かかることも珍しくない
『保管場所や運用方法によっては、ローカルでは脆弱な場合もある。また、復元やデータを失った場合のコストや、冗長なハードウェアの管理コスト、復元のための作業コストが大きくなること、復元がいつでもできる状態になっていなかったり、リストア時間が長いこと、リストアそのものの試験をしていなかったといった課題もある。適切に運用ができていればローカル、クラウドを問わず、安心して使えるが、ローカルの方が機器の価格が安いという発想だけで導入すると課題が生まれることになる』と指摘した。
安心のインフラストラクチャー
現在、Dropboxは、全世界で7億人が利用。数エクサバイトのデータを扱っているという。こうしたDropboxのサービスを支えるため、自社設計し、自ら運用しているストレージである「Magic Pocket」を活用。
『2019年からは最新のSMRドライブを採用し、世界で初めてペタバイト単位での運用を開始している。これにより、高効率化を実現するとともに安定運用を実現。また、世界中どこからでも数Tbps単位の高速なネットワークにアクセスできる点も特徴である』(Dropbox Japanの岡崎本部長)としている。
また、急速なトラフィックの増加に対しても、インフラの自律制御や適用範囲の拡大を自動的に実行。機械学習を活用した予測によって省エネルギー化を実現。『300種類以上のファイル形式に対応したプレビューが可能であり、それをすばやく実行するために機械学習を活用した予測によりパフォーマンスを高め、省エネルギーを実現し、年間170万ドルのコスト削減が実現できている』とした。
さらに、セキュリティ監視システムを自動化し、24時間対応の体制を敷いているほか、システムの複雑化を解消するために、PythonモノリスからSOAプラットフォームへの移行を図ったのに加えて、同期エンジンの刷新による拡張性の向上、型システム移行により信頼性向上を図ったという。
このほか、100%カーボンニュートラルのデータセンターを実現しており、データセンター内の特定箇所に熱が溜まらない熱抑制設計や、使用していない状態のストレージの稼働を止める最新技術を活用。電力効率の最大化のほか、電源をモニターするとともに、再生可能エネルギーへの移行を促進しているという。
『プラットフォームの刷新などにより、デジタル負債を解消して、新機能や新サービスの展開が容易になった。今回の「Dropbox Backup」の提供も、同期エンジンの刷新が貢献している』という。
Dropbox Japanの梅田成二社長は、『デジタル・エコシステムが急速に発達しており、その結果、コンテンツが、ブラウザーやアプリのなかに散らばって存在し、管理が複雑になっている。Dropboxは、製品機能の拡張と追加を継続的に進め、コンシューマーユーザーやクリエイター、分散して働く組織のユーザーなどに対して、コンテンツを整理し、作業を円滑に進められるような支援を行ってきた。2021年はDropbox CaptureやDropbox Replayなどにより、デジタルコンテンツの利活用を促進する機能を発表し、2022年に入ってからは、シームレスに仕事ができる機能も追加している』などと述べた。