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Microsoft、「Windows App SDK 1.2」を公開 ~サードパーティウィジェットが開発可能に
新しいWinUIコントロールを追加。ARM64版「Visual Studio」やHDR/ACS対応なども対応
2022年11月18日 15:33
米Microsoftは11月16日(現地時間)、「Windows App SDK 1.2」をリリースした。サードパーティアプリケーションがウィジェットを追加できるようになるなど、さまざまな機能強化と改善が施されている。
「Windows App SDK」(旧称:Project Reunion)は、Windowsデスクトップアプリケーションを開発するためのユーザーインターフェイス開発プラットフォーム。「WinUI 3」や「WebView2」などを含んでおり、開発プラットフォーム(C++/.NET、Win32、WinForms、WPF、UWP)を問わず、「Fluent Design」に基づいたモダンなデスクトップアプリのUIを設計できる。古いアプリのコア機能を残したまま、UIをモダナイズしたいといった用途にも最適だ。
サードパーティアプリケーションがウィジェットを追加できるように
「Windows App SDK 1.2」における目玉は、サードパーティウィジェットだ。Windows 11のリリース当初はMicrosoft製のアプリしか[ウィジェット]ボードにウィジェットを追加できなかったが、「Windows App SDK 1.2」を利用すればサードパーティの開発者もウィジェットを開発できるようになる。
ウィジェットをもつことのできるアプリはパッケージ化されたWin32アプリ(C++/WinRT)で、ウィジェットプロバイダー(IWidgetProvider)を実装する必要がある。また、テストを行うには「Windows Insider Program」Devチャネルの最新ビルドが必要。
新しいWinUIコントロール
「Windows App SDK 1.2」では、コントロールも拡充されている。たとえば、「MediaPlayerElement」を利用すればアプリ内でオーディオとビデオを再生可能。
また、「WinUI 2.8」の新しいコントロールやスタイルも移植された。これにはリストアイテムなどの横に未読件数などを表示するのに使える「InfoBadge」コントロール、アクセシビリティとハイコントラストモードの改善などが含まれる。
「Azure Communication Services」への対応
アプリケーションに「Microsoft Teams」のような音声・ビデオ通話を行いたいというシナリオに対応するため、「Azure Communication Services」(ACS)が「WinUI 3」アプリでサポートされた。「ACS」は「Teams」通話でも用いられているインフラストラクチャーだ。
「DisplayInformation」クラス
ハイダイナミックレンジ(HDR)と自動カラー管理(ACM)をアプリで手軽にサポートできる「DisplayInformation」クラスが追加された。「Windows 10 バージョン 1809」以降で利用できる。
ARM64版「Visual Studio」への対応
開発したアプリをARM64環境で動作させることは「Project Reunion 0.5」から可能だったが、アプリの開発はx64環境で行う必要があった。「Visual Studio 17.3 Preview 2」以降と「Windows App SDK 1.2」を組み合わせでこの制限はなくなり、ARM64環でもアプリを開発できるようになっている。
ダイナミックリフレッシュレート
Windows 11で導入された動的リフレッシュレート(DRR)は、ユーザーのPC利用状況をもとに描画間隔を自動的に調整し、パフォーマンスと消費電力をバランスさせる。120Hz ディスプレイで利用すれば、カーソルを動かしたときだけリフレッシュレートがブーストされ、滑らかなスクロールが可能になる。
「Windows App SDK 1.2」では「WinUI 3」の一部(Microsoft.UI.Composition)としてDRRがサポートされるが、デバイスでオプトインされている必要がある。「Windows 11 バージョン 22H2」ならば自動で有効化される。
AppNotificationBuilder
「Windows App SDK 1.1」ではアプリやクラウドから通知を受け取り、デスクトップにトーストを表示する機能が追加された。「Windows App SDK 1.2」ではこのトーストを作成する処理を簡略化するため、「AppNotificationBuilder」が導入されている。
そのほかにも、「Windows App SDK 1.2」ではパフォーマンス、信頼性、開発エクスペリエンスが向上しているとのこと。たとえばx64向け「Windows App SDK 1.2」のバイナリサイズは、「Windows App SDK 1.1.5」よりも11%小さくなっているという。
「Windows App SDK」は「Visual Studio 2022」(推奨)または「Visual Studio 2019」に含まれており、.NETデスクトップ開発、C++によるデスクトップ開発、ユニバーサル Windows プラットフォーム開発の各ワークロードで利用できる。