レビュー
「VSCode」を縦書きビューや文字数カウントを備えた原稿エディターにする拡張機能「novel-writer」
青空文庫注記法の注記やルビにも対応。品詞の色分け表示やPDF出力もできる
2022年6月20日 17:26
昨今、小説やエッセイなどの原稿をGitHubでも使われているバージョン管理システム「Git」で管理している人が多いと聞く。「Git」というと「Visual Studio Code」は強力な連携機能を備えているが、もともとプログラミング向けに開発されているせいか、日本語の文章を執筆するための機能は貧弱と言わざるを得ない。
「novel-writer」で「Visual Studio Code」を原稿エディター化
「novel-writer」は、「Visual Studio Code」を原稿エディターとして使う際に便利な機能を備えた拡張機能。編集部にてWindows 11上の「Visual Studio Code」v1.16.8で動作を確認した。「Visual Studio Marketplace」から無償でダウンロードできる。
本拡張機能を「Visual Studio Code」に導入すると、テキストファイルを開いた際に、青空文庫注記法のルビや傍点などが強調表示されるほか、単語が品詞ごとに色分けされて表示される。品詞の色分けには形態素解析ライブラリ「Kuromoji.js」が利用されているとのこと。
加えて、現在開いているファイルの文字数とワークスペース内にあるテキストファイルすべての文字数の合算がステータスバーに表示される。さらに、[コマンド パレット]から[Novel:品詞ハイライト停止]コマンドを実行すると品詞を色分け表示する代わりに会話文をハイライト表示可能。
縦書きプレビュー機能で原稿をリアルタイムに確認
青空文庫注記法に対応した縦書きプレビュー機能を搭載。[Novel:縦書きプレビュー]コマンドで利用できる。縦書きプレビューは、編集画面での編集や範囲選択した部分を表示するほか、プレビュー上でクリックした行を編集画面で表示することが可能。
さらに、[Novel:プレビューサーバーを起動]コマンドを実行すれば、縦書きプレビューを表示するHTTPサーバーとして動作させられる。モニターが狭い環境などで、同一LAN内に接続したタブレットなど別デバイスのWebブラウザーで「localhost:8080」を指定し、縦書きプレビューを表示するといった使い方が可能だ。
縦書きプレビューは1行の文字数・1ページの行数・文字サイズ・フォントを拡張機能の設定画面でカスタマイズできる。さらに、正規表現を使ってHTML表示を調整することも可能だ。
連載向け機能も搭載
連載形式で執筆する原稿向けの機能も備えている。[Novel:締め切りフォルダー]コマンドで現在開いているフォルダーを「締め切りフォルダー」に指定すると、そのフォルダー内のファイルだけの文字数をカウントできるほか、目標の文字数を設定して現在の文字数と常に比較しながら執筆できる。
また、執筆が完了した連載のテキストを1つのフォルダーにまとめておけば、1つのファイルに結合することが可能。さらに、PDF形式で出力する機能も備えているので、配布用のPDFを作成するところまで、「novel-writer」で行える。
「Git」と連携する「Visual Studio Code」ならではの機能
「Git」と連携して原稿を管理している場合は、前日の状態から現在までの編集距離をリアルタイムで表示可能。改稿した分量を把握できるので、執筆作業の進捗を確認しながら作業できる。
「novel-writer」をインストールするには、「Visual Studio Marketplace」の拡張機能ページにある[Install]ボタンを押す。「Visual Studio Code」のサイドバーから拡張機能ビューにアクセスし、検索・インストールしてもよい。
ソフトウェア情報
- 「novel-writer」
- 【著作権者】
- Taiyo Fujii 氏
- 【対応OS】
- (編集部にてWindows 11で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.3.3(22/06/15)