レビュー

自然な会話のようにサクッと情報を検索できるAI検索エンジン「Perplexity」

短時間で情報を調査するのに便利。情報の引用元になったWebページのURLも出力

「Perplexity」

 最近、注目を集めている生成AIを活用した検索エンジンに「Perplexity」というサービスがあります。LLM(Large Language Model)を使って、ユーザーの自然な質問をうまく理解し、インターネット上の情報を検索して、出典を明示しながら要約して出力してくれるサービスです。

 Googleなどの一般的な検索エンジンとの大きな違いは、自然な日本語で入力した検索ワードに基づいて、いくつかのWebページやYouTubeなどの情報を生成AIを使って整理し、ダイジェストで出力してくれる点です。

 例えば、「クッキーの作り方を教えて」や「クッキーを作る際に必要な砂糖の量」のような、人間にとって直感的で自然な検索ワードを入力しても、質問の意図をくみ取って、詳細な情報を得ることができます。また、情報の引用元になったWebページのURLも出力してくれるので、必要に応じて情報ソースをチェックできます。

 「Perplexity」は、独自の検索エンジンを持ち、Web検索機能とAIによる対話機能を統合しているのが特徴です。一般的なWebページ以外にも、設定を変更すれば学術データベースやYouTube、海外で人気の掲示板サイトRedditなどに対象を限定して検索できます。例えば、流行のゲームについてRedditで検索すると、ユーザーの生の意見や感想を知ることができます。

 Googleなどの一般的な検索エンジンで検索する場合は「クッキー 作り方」などで検索、表示されるWebサイトをいくつかチェックし、そこから人力で要約する形になることが多いと思います。それをAIが上手く処理してくれるので、情報を集めるのがグッと楽になります。

通常であれば複数のWebサイトを人の目でチェックして要約するところを、AIが意図をくみ取って要約したわかりやすい情報が出力されます
「クッキーを作る際に必要な砂糖の量」という検索をしてみました。砂糖の量だけでなく、砂糖の量や種類によるクッキーの仕上がりの違いなども出力されました

 私はリサーチなどの調べ事はもちろんですが、会議中などにサッと情報を調べる際にも、「Perplexity」を活用しています。GoogleなどのWeb検索よりも圧倒的に早いスピードでざっと情報を収集でき、出力された検索結果をさらに掘り下げることもできるからです。

 もちろん、ChatGPTやCopilotなどのAIチャットサービスでもインターネット上の検索結果を元に情報を出力できます。しかし、検索スピードや、出力を上手く要約する力という視点では、個人の感想になる部分もあるのですが「Perplexity」の方に軍配が上がる印象です。

このようにふわっとした話題でも良い感じの結果を出力してくれます

 「Perplexity」は無料でも利用できますし、情報を検索するだけならアカウント登録すら不要です。本サービスには有料版(月額20米ドル・年払い200米ドル)も用意されており、有料版では「Claude 3 Opus」のようなより高度なAIモデルが利用できます。

 ChatGPTをはじめとする多くの生成AIは学習した内容をベースに出力するため、ハルシネーションという嘘の情報を生成することも少なくなく、「Perplexity」もハルシネーションとは無縁ではありません。しかし、「Perplexity」は出典も表示されるので、ユーザー自身で根拠を確認することができ、簡単なリサーチに適したツールだと言えます。

 私が使っている範囲でも、2024年の出来事を調べていたのに2023年の情報を引用して、まるで2024年の出来事のように出力されたケースや、配信前のソーシャルゲームを検索したら、すでにサービス開始していると誤認するケースがありました。LLMの仕様上、すべてを鵜呑みにせずに、出力された出典元のURLを確認することが重要でしょう。

 「Perplexity」にもいくつかの弱点はありますが、情報検索の新しい形を提供する革新的なWebサービスだと感じました。他の生成AIと同様に情報の正確性には若干の不安が残りますが、リサーチや調べ事に役立つツールであることは間違いありません。使い方次第で日々の生産性向上に寄与してくれることでしょう。