Blender ウォッチング

半自動で3Dモデルに「汚し加工」を加えてリアリティを倍増する「Grungit」を使ってみる

摩耗部分の割合や摩耗のクオリティを設定可能!

 本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。

「Grungit」による作例

 今回は前回の記事でご紹介したアドオン「Grungit」使用時の設定などを解説していきます。

「Blender Market」の「Grungit」販売ページ

「Grungit」適用までの流れと設定

 前回も解説しましたが、このアドオンでは最初に対象のオブジェクトの「マテリアル」に専用のノードやテクスチャを追加する「適用」の手続きが必要です。

インターフェイスの表示とファイルの保存

 [3Dビューポート]の右端の図の[≺]の部分をクリックするか、[N]キーを押して表示した[サイドバー]の[Grungit]タブにインターフェイスが表示されます。「オブジェクトモード」でないと表示されないので注意してください。

[3Dビューポート]右端の[≺]部分をクリック、または[N]キーを押して表示した[サイドバー]の[Grungit]タブ(クリックで全パネル表示)

 次にあらかじめ適用したいオブジェクトのあるファイルを別名で保存しておきます。生成されるテクスチャファイルの上書きを防ぐため、専用のフォルダーに保存するのが望ましいです。

Grugitパネルのプロパティとオプション

 [Apply Grugit]クリック前に、パネルからパラメーターとオプションが設定できます。

Resolution

 作成する「Grunge」(摩耗)テクスチャ(後述)の解像度です。値が小さいと高速に動作しますので、最初は低解像度に設定して他のパラメーターを試してみるといいでしょう。

 なお、「Scratch」(ひっかき傷)や「Crack」(ひび)にはこの解像度は影響しません。

Quality

 上記テクスチャの品質です。高品質ではランダムな摩耗パターンを高解像度で作成し、低品質では低解像度のパターンを補間して作成します。そのため、同じ解像度でもパターン、テクスチャに差がでます。

[Quality]の「中」と「Ultra」の違い

Edge wear scale

 メッシュ表面を「摩耗部分」が占める大まかな割合を決めます。大きければ剥がれている部分が大きくなります。後述のシェーダーノード側でも調整はできますが、この値を基本として調整するため、制限があります。

[Edge wear scale]の「2.0」と「10.0」の違い

Quick mode (no edge wear)

 端の摩耗の処理をしなくなり、速くなります。摩耗部分は次の「Overall amount」で量を設定できます。

Overall amount

 「摩耗」だけでなく、「ひっかき傷」や「ひび」なども含めた劣化部分が全体に対して占める割合を設定できます。こちらはシェーダーノード側のパラメーターでも設定可能です。

 上の[Quick mode]の場合、デフォルトの「0.6」では摩耗部分がほぼありませんが、「0.8」あたりで下図のように摩耗部分が混ざった結果になりますので、そこから調整してみてください。

「Quick mode」で[Overall amount]を「0.8」にした例

適用時のオプション

 [Apply Grugit]をクリックすると、適用時のオプションを選択可能な小さいダイアログが現れます。

[Apply Grugit]クリック後のオプションダイアログ

Duplicate multi-user materials

 他のオブジェクトと共有しているマテリアルの場合、マテリアルを複製し、対象のオブジェクトのみ「Grungit」を適用します。

Ignore unused materials

 未使用のマテリアルを無視します。前述のようにデフォルトでは全マテリアルに「Grungit」のノードが追加されます。

(Re)create UV maps

 「Grungit」という名前のUVマップを強制的に生成します。

Advanced mode

 ノードに詳細な設定が可能なパラメーターが表示されるようになります。

 デフォルトの汚し用のノードは基本的なパラメーターしか表示してくれませんので、汚しも調整したい場合はほぼ必須となります。

Use clearcoat (slightly slower)

 車などの塗装に使用して光沢を出す「クリアコート」と「クリアコート法線」を使用するよう設定します。

Nodes to use

 適用時の「劣化」用ノード(grungit)と、「汚し」用ノード(dirt)の追加の組み合わせを指定します。

 そして最後に[OK]をクリックすることで、「Grungit」がオブジェクトの設定されている「全マテリアルスロット」のマテリアル(上記オプションで変更可)に適用され、[シェーダーエディター]内に、専用のシェーダーノードが追加されます。もし「マテリアル」がない場合は自動的に追加してくれますが、適用に失敗することがありましたので、あらかじめ用意しておく方が無難です。

 なお、一度適用した後でも再適用は可能です。その度にテクスチャを再生成してくれます。

[OK]クリック後のBlenderの画面。左上は追加されたテクスチャ

終わりに

 次回はノードのパラメーターとその使用について解説する予定です。
 ではまた。