Blender ウォッチング

「汚し作業」を半自動化できるアドオンで3Dモデルのリアリティを倍増!

 本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。

【「汚し作業」を半自動化できるアドオン「Grungit」】
Grungit Demo 1.8

 今回は「Grungit」(Abdou Bouam氏作)をご紹介します。これはメッシュモデルの表面に傷をつけたり、汚しを入れるなどの作業を半自動的に行ってくれるアドオンです。

 Blender内だけでなく、ベイク機能でテクスチャに出力することで、他のアプリケーションでも利用できます。

「Blender Market」の「Grungit」販売ページ

入手方法

 このアセットは有料で、価格は14.95米ドル(執筆時点で約1,930円)です。残念ながらデモ版などはありません。

 Blender Market での購入方法については以前の記事を参照してみてください。

 なお、macOSではグラフィックAPIのOpenGLの実装に問題があり、EEVEEレンダーによるレンダリングはできないようです。その他の問題などは上記リンク先の販売ページや、Blender Artistsのサポートスレッド(英文)をご覧ください。


※購入と利用上のトラブルについて、編集部は一切関知しません。自己責任の上ご利用ください。

導入方法

 購入すると複数のバージョンの「Zip」ファイルが提供されています。筆者はBlender 3.1.1で「1.8.9」、v2.93LTSで「1.8.8」、v2.83LTSで「1.7.1」のインストールができたことを確認しています(「1.8.9」以外の動作は未検証)。試しにv2.83LTSに「1.8.8」をインストールしたところ「2.91以降用に書かれているから機能が正しく動作しないかもしれないよ」(意訳)というメッセージが返ってきました。

 なお、本記事では「Blender 3.1.1」と「Grungit_1.8.9_(Blender_3.1)」にて解説します。そのため、過去のバージョンでは動作しない機能があるかもしれませんがご了承ください。

購入後のダウンロードページ

 そしてアドオンのインストールもいつもどおり、[編集]-[プリファレンス…]メニューから[Blenderプリファレンス]ウィンドウを表示し、[アドオン]タブ(①)に変更後、[インストール...]ボタン(②)からダウンロードした「Grungit_(バージョン番号).zip」を指定。インストールが成功すれば、パネルが表示されますので有効化(③)します。

[Blenderプリファレンス]ウィンドウからインストール

使用方法

インターフェイスの表示

 [3Dビューポート]の右端の図の[≺]の部分をクリックするか、[N]キーを押すと、[サイドバー]が表示されます。

[3Dビューポート]右端の[≺]部分をクリック、または[N]キーを押すと[サイドバー]が表示

 インストールに成功していれば、[Grungit]というタブが表示されていますのでクリックすると、[Grungit]と[PBR Bake]パネルが表示されます。

[Grungit]というタブをクリックでパネルが表示

 そして上記の通り、現在の「.blendファイル」が未保存の場合は保存するようメッセージが表示されますので、適切な場所に保存します。

 これはアドオン適用時、ファイルと同じフォルダー内に「Texture」フォルダーを作成し、その中の「Grungit」フォルダーへテクスチャデータを生成し保存するためです。

 ちなみに生成されたテクスチャデータは「(マテリアル名_Grungit.exr」の名前で保存されるため、別のファイルでも同名のマテリアルがある場合は上書きされる可能性があります。プロジェクト毎に別のフォルダーに保存しておくことをお勧めします。

 保存後、再び[Grungit]タブをクリックすると、UIがパネルに表示されます。

再度[Grungit]タブクリックするとUIがパネルに表示

まずは実行してみよう

 まずはアドオンの効果を実行して確かめてみましょう。

  1. 結果が判りやすいよう、画面上部の[Shading]タブをクリックし、「Shading」ワークスペースに切り替えておきます。
  2. 上記の手順でパネルを表示しておきます。
[Shading]ワークスペースへ移行
  1. アドオンを適用したいオブジェクトを選択します。マテリアルがない場合は自動的に追加されます。
  2. [Grungit]パネル内の[Apply Grungit]をクリックします。
  3. オプションが表示されますが、とりあえずはそのまま[Apply Grungit]を再びクリックします。
[Grungit]パネル内の[Apply Grungit]をクリックし、オプションダイアログでもう一度[Apply Grungit]をクリック

 しばらくエッジ探知などの処理が行われ、それが終わると(シェーダーコンパイル後に)、端がこすれて金属面が出ている薄汚れたオブジェクトができあがります。

「Grungit」適用後のオブジェクトと、ノードが追加されたノードツリー

 ノードツリーにはノードが3つ追加され(上図の左端の「テクスチャノード」は判りやすいよう下に移動しています)、左側の[画像エディター]には、生成されたテクスチャデータが表示されています。

 この後は、追加された「ノード」と「テクスチャ」で調整していきます。

終わりに

 次回は設定についてもっと詳しく解説していく予定です。お楽しみに。