Blender ウォッチング

「Blender」のマテリアルとクリースでキャラクターの目を描く方法

 本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。

ポーズは次回付けられるようになります(予定)

 今回は「目」を作成し、質感付けも設定します。

作業ファイルについて

 前回終了時の作業ファイルが下のリンク先からダウンロードできます。ご利用ください。

前回終了まで作業済みのblenderファイル


    ※Webブラウザーによってダウンロードがブロックされる場合がありますが、右クリックメニューからファイルの保存を行い、警告が表示されても[継続]などの項目を選択して保存してください。

頭部の分割

 目を作成する前に、先に頭部をもう少し分割します。

 これは頭部の調整のためもあるのですが、次の目の作成により細長いができてしまうことを防ぐためです(後述)。

  1. 3Dビューポート上部右側にある[透過設定]をOFFにして見やすくします。
  2. 左側のツールバーから[ループカット]ツールに変更します。
  3. 現在ある辺ループの上側の縦の辺の上にマウスカーソルを置き、クリックして「ループ」を追加します。
  4. 同様に下側にも「辺ループ」を1つ追加します。
3Dビューポート上部右側にある[透過設定]をOFFにし、ツールバーから[ループカット]ツールに変更後、現存の辺ループの上の縦の辺の上でクリック、同様に下の辺の上でクリックして「辺ループ」を上下1つずつ追加

目の作成

 目の表現や作成方法はいくつかあるのですが、最初の画像のようにここではシンプルに、顔上へ平面的な目を形状として作成します。

  1. 3Dビューポート上部左側の[頂点選択モード](図)に変更します。
  2. 同じく上部中央の少し右にある[プロポーショナル編集]をOFFにします。
  3. 右上のナビゲーションギズモの「薄い緑の円」(-Y)をクリックして「フロントビュー」に変更します。
3Dビューポート上部左側の[頂点選択モード]に変更し、上部中央の少し右にある[プロポーショナル編集]をOFFに、右上のナビゲーションギズモの「薄い緑の円」(-Y)をクリックして「フロントビュー」に変更
  1. ツールバーから[ナイフ]ツールに変更します。
  2. 先ほど辺ループで分割した面の一つ(下図)内をクリックして六角形を描きます。カット時は上下左右の辺にくっつかないように注意してください。
  3. 最後に最初にクリックした頂点をクリックしてつなぎ、[Enter]または[スペース]キーで確定します。
ツールバーから[ナイフ]ツールに変更し、図の面内をクリックして六角形を描いていき、最初にクリックした頂点をクリックして輪にした後、[Enter]または[スペース]キーで確定

 カットはできたものの、現状では何が何だかわかりませんね。

 このままでは見づらいので、「マテリアル」を追加して判るようにします。

マテリアルの追加と設定

 「Blender」における「マテリアル」とは、質感付けを行うデータのことです。

 デフォルトの立方体を利用しているため、本体にはすでに白いマテリアルが設定されており、現在作成しているのはウサギなのでここはそのままに、新たに目の部分に黒い「マテリアル」を追加します。

  1. 画面上部中央の[シェーディング]ワークスペースタブをクリックします。
  2. 3Dビューポート左上のドロップダウンリスト、または[Tab]キーで[編集モード]にします。
  3. その右側のアイコンで[面選択モード]に切り替えます。
  4. 3Dビューポート右上の「ナビゲーションギズモ」などで目の部分がよく見えるようにします。
画面上部の[シェーディング]ワークスペースタブ(①)をクリックし、左上のドロップダウンリスト(②)、または[Tab]キーで[編集モード]に。右側のアイコンで[面選択モード]に切り替え、右上の「ナビゲーションギズモ」(④)で画面を調整

マテリアルスロットの追加と割り当て

 形状内を別の「マテリアル」で色分けするため、新しい「マテリアルスロット」を追加し、目の面に割り当てます。

  1. 現在、目の「面」が選択中であることを確認します。
  2. 画面下半分の[シェーダーエディター]のヘッダー中央にある[スロット 1]をクリックします。
  3. 表示されたパネル内の[+]ボタンをクリックします。
  4. その下の[割り当て]をクリックします。
目の「面」(①)が選択中であることを確認し、下側の[シェーダーエディター]のヘッダー中央にある[スロット 1](図中ではスロット2)(②)をクリック、表示されたパネル内の[+]ボタン(③)をクリックし、下の[割り当て](④)をクリック

新規マテリアルの追加と設定

 スロットの割り当てが終わったので、そこに新規マテリアルを追加し、色を設定します。

  1. ヘッダーの[新規]をクリックします。新しい「マテリアル」と、そのデータの「ノードツリー」が表示されます。
  2. 下に表示された緑の「プリンシプルBSDF」ノード内の[ベースカラー]の白いボタンをクリックし、明度のスライダーを下げて黒にします。
[新規](①)をクリックし、下の緑の「プリンシプルBSDF」ノード内の[ベースカラー]の横のボタン(②)をクリックし、黒に設定

 みごと扇形の目が黒く表示されれば成功です……扇形の目? なんだか形が変です。

 これは周囲の面が凹形の「Nゴン」(五角形以上の多角形)になっているのが原因だと思われます。とりあえずこれを「三角面」に分解してみます。

表示された黒い扇形の目
  1. 目の「面」の上側の面をクリックして選択します。
  2. [Shift]キーを押しながら、もう一方の面もクリックして選択します。
  3. 右クリックメニューから[面を三角化]を実行します。
目の「面」の上側の面(①)をクリックして選択後、[Shift]キーを押しながら下側の面(②)もクリックして選択、右クリックメニューから[面を三角化](③)を実行

 みごと六角形の目が……六角形の目?

 これがうまく滑らかになってくれればいいのですが、何か方法はないのでしょうか。

表示された黒い六角形の目

クリースの設定

 クリースとは、「サブディビジョンサーフェス」機能により面を曲面化する際、辺に指定することで、曲面をその辺に近づけることができる機能です。

 通常、この機能は曲面を元の形状に近づけ、鋭角などを表現するのに使用しますが、逆にこのような境界線を調整するのにも使用できます。

  1. 目の「面」を選択します。
  2. [辺選択モード]に変更します(先に面を選択してから変更することに注意)。
  3. 右クリックメニューから[辺のクリース]を実行します。
目の「面」(①)を選択してから[辺選択モード](②)に変更、右クリックメニューから[辺のクリース](③)を実行

 そしてマウスカーソルをこの面から離れる方向に移動し、3Dビューポート左上に表示される「クリース」の値が「+1.0」になればクリックして確定します。

マウスカーソルをこの面から離れる方向に移動し、3Dビューポート左上に表示される「クリース」の値が「+1.0」になればクリックして確定

 かわいくてつぶらな瞳になれば成功です。お疲れさまでした!

終わりに

 なんだかモデリングよりもマテリアル設定やら問題回避やらの方が長かったような気がしますが、多分気の所為です。

 次回、堂々のチュートリアル完結(予定)!