Blender ウォッチング
毛を完璧に制御してモフモフの3Dキャラを完全体に! 生やす場所の指定や色付けを解説
2023年6月2日 12:45
本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。
今回は前回ウサギモデルに追加したファー(ヘアー)の問題点を修正し、以前の記事の色付けも反映させます。
作業ファイルについて
前回終了時の作業ファイルが下のリンク先からダウンロードできます。ご利用ください。
※Webブラウザーによってダウンロードがブロックされる場合がありますが、右クリックメニューからファイルの保存を行い、警告が表示されても[継続]などの項目を選択して保存してください。
マスクテクスチャによるヘアー発生の制御
前回では全身に毛が生えましたが、目や口の中にも生えてしまっていました。
そこで生やしたくない部分をマスキングする「マスクテクスチャ」を作成します。作成には以前の記事で使用した「テクスチャペイント」機能で行います。
キャラクターオブジェクト側の設定
テクスチャペイントスロットに新しいテクスチャ画像を追加し、それをマスクとして利用できるようにします。
[3Dビューポート]でキャラクターの上にマウスカーソルを置き、[Alt]キー+クリックすると、メニューが出てきますので、[Cube]を選択します。
- 画面上部の[テクスチャペイント]タブをクリックしてワークスペースを切り替えます。
- [プロパティエディター]の[テクスチャスロット]の「マテリアルリスト」の右下にある[+]ボタンをクリックし、[スペキュラー]を選択します。
- 表示された[ペイントスロットを追加]ダイアログで[OK]ボタンをクリックします。
「Material Specular」という名前のスロットが追加され、ハイライトされていれば成功です。
マスクテクスチャのペイント
準備ができたので、マスクテクスチャをペイントしていきますが、以前に「目」と「口」のマテリアルを別に設定したため、そのまま直接3Dビューポートでペイントできません。そのため、少し回り道をします。
- 3Dビューポート左上、もしくは[Tab]キーを押し、[編集モード]に変更します。
- [プロパティエディター]の一番下の「球」型アイコンのタブ([マテリアル]プロパティ)をクリックします。
- 上部の「マテリアルスロット」内の黒いマテリアル(黒で表示される目の部分に相当)をクリックし、下の[選択]をクリックします。
- 同様にすぐ下の赤いマテリアル(口に相当)をクリックし、[選択]をクリックします。
左側の[UVエディター]に、それぞれのマテリアルを設定した面のUVアイランドが表示されているはずです(マウスホイールでズームアウトしてみてください)。
そのまま、左側の[画像エディター]内で、表示されているアイランドを「黒」で塗りつぶします。
テクスチャへの編集が終わったら、以前の記事のように、[画像エディター]の[画像]メニューから[保存]また[パック]して保存してください。
ヘアーへのマテリアルの設定
修正が終わったら、ヘアーにマテリアルを設定し、キャラクターモデルに付けた色が、ヘアーに反映されるようにします。
- [シェーディング]タブをクリックし、[シェーディングワーク]スペースに移動します。
- 中央下の[シェーダーエディター]のヘッダーにある[ノードを使用]をクリックします。
- [シェーダーエディター]の[追加]メニューから[テクスチャ]-[画像テクスチャ]を実行します。
- [画像テクスチャ]ノードの「画像セレクター」(下図②)をクリックし、[Material Base Color](もしくは以前のテクスチャペイントで作成した画像の名前)を選択します。
- [画像テクスチャ]ノードの[カラー]ソケットと[プリンシプルBSDF]ノードの[ベースカラー]ソケットをドラッグでつなぎます。
- 同様に[追加]メニューから、[入力]-[属性]を実行します。
- 追加された[属性]ノードの[名前]に「surface_uv_coordinate」と入力します。
- [属性]ノードと[Material Base Color](画像テクスチャ)ノードのベクトルソケット同士をドラッグしてつなぎます。
毛が生えていない部分の修正
これで完成、にしたいのですが、ここでおもむろにビューを回転してうしろ側を見てみましょう……なんと耳の後ろ側の毛が生えてないじゃないですかー(棒読み)
クイックファーツールでは、基本となる「ガイドカーブ」をいくつか配置し、[Interpolate Hair Curves]モディファイアーでそれぞれの範囲内に補間したヘアーを発生させます。しかし、この耳のような極端に長い面があると、補間がうまく働かず、偏りができてしまう場合があります。
この場合、面を分割することで大抵は解決できます。多少形は変わりますが、後で編集すればいいので問題ありません。
- 「メッシュオブジェクト」を選択し、[Tab]キーで[編集モード]に入ります。
- 耳の縦辺にマウスカーソルを移動し、[Ctrl]+[R]キーを押し、[ループカット]ツールを起動します。
- マウスホイールを回転し、分割線(黄色のライン)が「2つ」表示されるようにします。
- そのままマウス移動せず、「2回」クリックして確定します。
- 反対側も同様に[Ctrl]+[R]キーでループカットします。
お気づきの方もいると思いますが、ヘアーカーブオブジェクトのモディファイアースタックの一番下の[Surface Deform]モディファイアーに「~個のカーブの表面のUVが異常です」と表示されています(英文の時もあります)。
これはUVアイランドが重なっていると表示されるのですが、筆者が再チェックしてみても異常はなかったので、実際には問題はないものと思われます。
その他のTIPS
- ポージングなどで表示を軽くしたい時は[Interpolate Hair Curves]モディファイアーの[Viewport Amount]を減らしましょう。
- 宙に浮いて発生しているヘアーは、[Interpolate Hair Curves]モディファイアーを「適用」すれば、「編集モード」などで削除できます。
終わりに
今回でこのシリーズは最終回になります。皆さんお疲れさまでした。
機会がありましたらまたお会いしましょう。