Windows新標準アプリ徹底解説
Windows 11の「メディア プレーヤー」はデザイン性と実用性を兼ね備えたアプリとしての一歩を踏み出す
基本機能は抑えており、クラシックな「WMP」の置き換えも視野に入ってきた
2022年5月9日 06:45
Windows 11で刷新されたインボックス(OS同梱)アプリを紹介する本連載。今回は、メディア管理・再生ソフト「Windows メディア プレーヤー」を紹介する。[スタート]画面では「メディア プレーヤー」と表記されているので、本稿ではそう呼ぶことにする。
Windows 11の「メディア プレーヤー」は古くからある「Windows Media Player」(WMP)と直接の関係はなく、むしろWindows 10に搭載されていた「Groove ミュージック」アプリの後継だ。当時主流であったフラットデザインで一から構築されており、同社の音楽サービス「Groove Music Pass」のクライアントアプリとしての役割も果たしていたが、同社の音楽配信事業が頓挫すると、「確かにモダンでオシャレだが、WMPに比べると機能不足なメディアプレイヤー」という微妙な立ち位置になってしまい、利用も振るわなかった。意外にことに音楽CDや動画ファイルの再生にも対応していない。
かといって、いまさら「WMP」に戻ることもできないだろう。「WMP」のデザイン設計は古く、近年増えてきた高解像度モニター(高DPI環境)、タッチデバイスへの対応が弱い。ダークモードにも対応していない。
デザインと機能面でのテコ入れを図ったWindows 11の「メディア プレーヤー」
そこで、Windows 11では「Groove ミュージック」を継承しつつ、デザインと機能面でのテコ入れが行われた。動画や音楽といったローカルのマルチメディアコンテンツを楽しめることに改めてフォーカスされている印象だ。
まず、デザイン面ではアルバムアートやアーティストの画像をふんだんに用いたリッチなエクスペリエンスが実装された。もちろん、コンテンツにそういったメタデータがあることが前提だが、データがそろっていればなかなか迫力のあるデザインとなる。再生ビューとライブラリビューの切り替えは、左下のエリアをクリックすることで行える。
なお、「メディア プレーヤー」の既定アクセントカラーは「熱情」などを意味する専用色の「Zest」となっており、他のアプリとは趣を異にしている。これはこれでメディアプレーヤーっぽくてよいが、システム全体の統一感を重視してOS標準のアクセントカラーに合わせることも可能。好みに応じてカスタマイズするとよいだろう。
また、アクセシビリティも重視されている。たとえば「メモ帳」の回でも紹介した「アクセス キー」は「メディア プレーヤー」アプリでもサポートされており、[Alt]キーを押すと現れるニーモックを選ぶだけで、マウスレスでの操作が可能。ハンディキャップを抱えたユーザーにとっても操作しやすいよう配慮されている。これはマウスが壊れた場合にも役に立つ。
機能面ではイコライザーの追加、再生速度の調整、デバイスへのキャスト、10秒前・30秒後へのスキップなどが追加された。動画の再生も可能で、「Groove ミュージック」時代に比べれば格段に実用的なアプリとなっている。
ただし機能の拡充に関してはまだ発展途上で、CDの再生やビデオの明るさ・コントラスト調整といった機能がプレビュー版Windows 11でテストされている段階だ。
このプレビュー版ではユーザーインターフェイスの改善やライブラリのパフォーマンス向上も図られており、期待の持てるクオリティになっている。