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エクセルでセル内の「▲」や「様」といった一部だけを文字寄せするテク

特定の文字列だけを文字寄せ可能

 入力済みのデータをセル内で“文字寄せ”したい時、[ホーム]タブの[配置]から操作しますよね。文字列は[左寄せ]、数値は[右寄せ]のように設定するはずです。まったく問題ありませんが、データによって、少し字下げしたいことや、マイナスの数値は「-」ではなく、「▲」と表示したいことがあるでしょう。

セルを字下げ(インデント)したいことや、マイナスの数値に「▲」をしたいことがある

 字下げの設定は簡単。[ホーム]タブにある[インデントを増やす]をクリックするだけです。マイナスの数値に「▲」を付ける時、直接入力していませんか? 赤文字にするのも手動で設定していたり……。そのような操作は不要です。

セルを選択して[ホーム]タブにある[インデントを増やす]をクリックすると、セル内で字下げできる

 また、氏名と敬称の「様」の間を空けておきたいといったレアな要望もあります。今回は、セルの書式を使った文字寄せのテクニックを紹介します。

マイナスの数値に「▲」を表示する

 マイナスの数値に「▲」を付ける表現は、会計処理などでよく使われます。その際、「-」記号を手動で削除して「▲」と直接入力してはいけません。間違いの原因になるうえ、演算できなくなってしまいます。

 [セルの書式設定]ダイアログボックスの[ユーザー定義]を利用する方法が定番です。数値を入力するセル範囲を選択して、[Ctrl]+[1]キーを押して設定します。

 なお、ここではセル範囲に[桁区切りスタイル]が設定されている前提で操作しています。[標準]などに設定されている場合は、以下の書式記号をコピーして設定してください。

#,##0;[赤]"▲"#,##0
数値を入力するセル範囲を選択して、[Ctrl]+[1]キーを押す
[通貨]の表示形式が設定されている。マイナスの場合は赤文字
[ユーザー定義]をクリックする。書式記号として「#,##0;[赤]-#,##0」と設定されていることがわかる
「-」を削除して「"▲"」に書き換える。「"」は半角で入力する。ほかの書式記号が設定されている場合は、すべて削除して、上記の「#,##0;[赤]"▲"#,##0」を貼り付ける。[OK]をクリックする
マイナスの数値に「▲」が付いた

書式記号の意味

 上記の手順で入力した「#,##0;[赤]"▲"#,##0」を例に書式記号の意味を簡単に紹介しておきます。「;」の前はプラスの場合、後ろはマイナスの場合の表示形式を表します。

 プラスの数値の場合は「#,##0」という表示形式、つまり、桁区切り記号を追加した形式です。マイナスの場合は、赤文字にして「▲」という文字列を追加して「#,##0」という表示形式を使うという意味。文字の色は、半角の[]で囲んで指定します。

「;」の前後でプラスとマイナスの表示形式を示す。[赤]は文字色の指定。「"▲"」は「▲」という文字列、を表す

 さらに「;」で区切って「0」の場合の表示形式も指定できます。省略した場合、「0」はプラスの表示形式となります。例えば、以下のように指定すると、プラスは青文字、マイナスは赤文字、「0」は黒文字のように制御できます。

[青]#,##0;[赤]"▲"#,##0;0
書式記号に「[青]#,##0;[赤]"▲"#,##0;0」と指定した
プラスは青文字、マイナスは「▲」を付けて赤文字、「0」は黒文字となる

「▲」を左寄せする

 ひと工夫して、マイナスを示す「▲」を左寄せしてみましょう。以下のように表示形式を変更します。「"▲"」に続ける半角の「*」がポイントです。任意の文字数を挿入するという意味になります。セル幅に応じたワイルドカードのような働きをします。「*」と「#,##0」の間には半角スペースを入れてください。

#,##0;[赤]"▲"* #,##0
書式記号に「#,##0;[赤]"▲"* #,##0」と指定した
マイナスを示す「▲」が左寄せになった
セル幅によっては「▲」を左寄せにしておくと見やすいかもしれない

「様」を右寄せする

 「▲」の左寄せの考え方で、「様」を右寄せすることもできます。表示形式を使って、セルの値に任意の文字列を続ける場合は「@"(任意の文字列)"」とします。「@」はセルに入力されたデータを表す記号です。ここでは「様」を右寄せするので、以下のように指定します。数値から少し離して「円」と表示させたいときなどにも使えますね。

@* "様"
書式記号に「@* "様"」と指定した
「様」が右寄せになった