週末ゲーム

第660回

弱点を突いてスタン、攻撃を重ねてブレイク!敵を圧倒する爽快感を味わえるRPG「巡るダンジョン道中記」

装備品による自由なキャラカスタマイズが魅力。気軽にプレイできる一方で低レベル縛りが捗る仕組みも

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回はダンジョン探索RPG「巡るダンジョン道中記」を紹介しよう。

お宝を求め、バラエティに富んだダンジョンの数々を攻略していくRPG

主人公のイーリスと仲間達が偶然入れた浮遊島で、“銀色に輝く魔石”を手に入れたことから物語は始まる

 「巡るダンジョン道中記」は、主人公の少女イーリスと3人の仲間達による冒険者のパーティが世界各地のダンジョンを探索していくRPG。敵の弱点属性を突くことで行動を阻害できる“スタン”や攻撃を与え続けることで敵の防御能力が大幅に低下する“ブレイク”などのシステムにより、敵を圧倒する爽快感を味わえるバトルが特徴だ。一方で低レベル縛りプレイが捗る仕組みも整っており、プレイスタイルに応じた楽しみ方が可能。想定プレイ時間は公称で8時間ほどとなっている。

 物語はイーリス達が、“銀色に輝く魔石”を手に入れる所から始まる。この魔石により、遺跡などにあるこれまで開けられなかった扉を開けられることを知ったイーリス達は、お宝を求めてさまざまなダンジョンへ挑んでいく。

 ゲームはワールドマップからダンジョンへ赴いて攻略していき、最奥に待ち受けるボスを倒すことで新しいダンジョンが解放……といったサイクルで進行。ダンジョンは古い遺跡や自然系などバラエティに富んでおり、ダンジョンごとのギミックなども用意されている。

次の目的地となるダンジョンは光って表示される。目的地が複数あり、好きな順番で攻略できる場面も
ダンジョンにはさまざまなギミックや敵、そしてお宝が待ち受けている

魔法で弱点を突けばボスでも100%スタン!敵を圧倒する爽快感が味わえるバトル

戦闘はターン制のコマンド選択型。敵の上に表示される弱点属性が重要な意味を持つ

 本作の戦闘はターン制のコマンド選択型。戦闘中の行動などで上昇するポイント“TP”を消費して発動する特技や、MPを消費する魔法という2系統のアクティブスキルを駆使して戦っていく。

 戦闘を有利に進めるにあたって、重要となるのが炎・氷・雷という3つの属性の魔法だ。ほとんどの敵はいずれかの属性が弱点で、この弱点属性の魔法で攻撃することでそのターンの行動が不能となる“スタン”効果を与えられる。ただし、スタンの効果は当該ターン中のみ有効なため、行動を阻害したければ敵の行動前に魔法を当てる必要がある。

 ターン内の行動順は敵・味方ともに敏捷性のステータスに依存するほか、一部の特技や魔法には発動速度補正もあるため、バフ・デバフなども活用して先手を取れるように戦術を立てていくのがバトルの醍醐味のひとつだ。うまく立ち回ればボスの行動すらも大幅に阻害可能となる。

 さらにボス以外の敵は、弱点を突くと即死することがある。敵の弱点は最初から常時表示されており、弱点を調べる手間はなく戦術に集中することが可能。基本的にMPは回復手段が限られるため濫用はできないが、効果的に活用することでダンジョン探索をサクサク進めていくことが可能だ。

 もう一つ、戦闘における特徴的な要素が“ブレイク”システムだ。敵の上に表示されているゲージのうち上側はHPゲージで、下側は“ブレイクゲージ”となっている。連続して攻撃を与え続けることでゲージがフルになると敵はブレイクという弱体化状態になり、物理・魔法ともに防御力が低下。状態異常にもかかりやすくなる。ブレイク中に効果を発揮する特技もあるほか、ボスをブレイクさせるとMPとTPが一定量回復するという効果もあり、ここぞとばかりに一気に畳みかけるのが爽快だ。

スタンとブレイクを活用することで敵を圧倒することが可能。ボス戦でも大いに役立つテクニックだ

 そのほか本作では“LP”制を採用。戦闘不能からは通常のHP回復アイテムや魔法で復帰可能だが、戦闘不能になると生命力や気合いを表すLPというポイントが1つ減少し、LPが尽きると復帰できなくなってしまう。さらに、LPは状態異常によるスリップダメージにも影響し、LPが低いとより多くのダメージを受けてしまう。LPの最大値は10で、基本的に町の宿屋でのみ回復が可能だ。

 継戦能力に相当する値と言えるLPだが、これを敢えて消費する特技もある。そのうち“回復”はLPを消費してHPを回復する技で即時発動し、そのまま別のコマンドを選択することが可能。通常の回復が追い付かない時に、どうせ戦闘不能になるくらいならいっそ自分でLPを消費して回復、という手が取れる。また、“極限”を使うとそのターンのMP・TP消費が0になる。ボスを倒せばダンジョン攻略終了、というタイミングではLPを使い切るつもりで活用するのも一つの手だ。

使えるスキルは装備品により変化。組み合わせにより自由なスタイルを追求可能

装備した武器に応じた特技を使用可能。メインの武器と補助武器により、2系統の特技を同時に使えるようになる。組み合わせは自由だ

 戦闘中に使用するアクティブスキルは、装備品に応じて使用できるものが変わる仕組み。剣・斧・槍・弓・砲・盾という6系統の武器(盾も武器扱いとなる)ではそれぞれの武器に応じた特技を、属性ごとに3種類ある杖ではそれに加えて魔法が使用可能となる。また、武器とは別に属性ごとの“魔石”を装備することができ、杖使い以外でも魔法を使うことが可能だ。

 武器にはレベルがあり、レベルに応じて使えるアクティブスキルが増えていく。さらに武器ごとにパッシブスキルも備わっており、連続攻撃スキルが多く敵をブレイクさせやすい剣、味方を庇う特技や確率で攻撃を無効化するパッシブスキルを持つ盾、全体攻撃スキルが多くクリティカル攻撃に即死効果を付与させられる弓、ブレイク時のダメージをさらに上げる“ブレイクブースト”のパッシブスキルを持つ斧など、スキルによって表現される武器の個性は多彩だ。

 さらに特徴的なのが補助武器の存在。補助武器はステータスの変動はないがスキルは通常の武器と同じものが備わっており、これを装備することで2系統のスキルを使用可能となる。また、補助武器自体にステータス変動効果はないとはいえ、一部のパッシブスキルにより特定ステータスが上昇することもあり、この恩恵も見逃せない。

 そのほか、特定ステータスの上昇や状態異常耐性など、さまざまな効果を持つ“宝珠”を装備することもでき、装備可能な数は武器のレベルに応じて変わる。こうした装備品の組み合わせにより、戦闘スタイルの自由度は非常に高い。イーリス達4人はステータスに違いはあるものの、装備できる武器などに制限はなく、好みのスタイルを追求しつつキャラクターカスタマイズを存分に楽しむことが可能だ。

 メインの武器は基本的に町で購入する形。イーリス達のパーティには“10万ゴールドを貯める”という目標があり、一定額を貯めるごとに武器・防具ショップを始めとした店の品揃えが増えてよりレベルの高い武器などを買えるようになる。一方、補助武器や魔石、宝珠はショップもあるが、ダンジョンの宝箱や敵を倒した際のドロップなどで豊富に手に入る。さまざまな装備品を入手して試せるのもダンジョン探索RPGとしての魅力となっている。

さまざまな装備品によるキャラクターカスタマイズが醍醐味
お金を貯めることでショップの品揃えが増えていく。お金は敵を倒すことでも入手できるが、宝箱から入手できる換金用アイテムからの実入りが特に大きい

気軽にプレイできる一方で低レベル縛りも捗る作り。自由度の高い冒険を楽しもう!

お宝目指して邁進するイーリスと、ときにツッコミつつも彼女をリーダーとして支えながら共に冒険を続ける仲間達。コミカルな掛け合いも楽しい作品だ
クリアに必須ではない強敵との戦いも待ち受ける。その先にはお宝や、世界の謎に触れる資料が……

 宝探しのため各地を冒険するイーリス達だが、やがて“銀色に輝く魔石”に導かれるかのように世界の謎に関わっていく。冒険の舞台は次々と広がっていき、ワクワクするような展開も待ち受けている。

 とはいえ、お宝に目がないイーリスをリーダーとしたパーティの目的は“宝探し”から大きくぶれることはなく、メインシナリオ自体はテンポよく進行。行動力がありパーティを引っ張るが突拍子もない行動で周囲を驚かせることも多々あるイーリスに対し、他の3人がツッコミを入れたりフォローしたりといったコミカルな掛け合いも楽しい作品となっている。

 一方で、ストーリー進行に必須ではないボスを倒した先にある資料などでは世界観のバックグラウンドを伺い知ることも可能。そのほかクリアが必須ではないダンジョンや、他の冒険者達と腕試しといった形でバトルをするイベントなど、任意で楽しめる要素はさまざまなものがあり、そういった意味でも自由度の高い冒険を楽しむことができる。

 また、フィールド上ではワンキーで全体回復の専用メニューやクイックセーブ機能を呼び出せたり、戦闘中は敵・味方に付与された特殊状態を説明付きで詳細に確認できるなど、プレイアビリティの高さも特徴。ダンジョンの数が多く、ひとつひとつのダンジョンのボリュームは程よくまとまっているというメリハリの効いた作りも魅力だ。スタンやブレイクというプレイヤー側に有利なシステムの助けもあり、難易度は比較的やさしめ。オートバトルや戦闘高速化もあり気軽に楽しめる作品となっている。

他の冒険者達と腕試しのバトル。冒険者との戦いではスタンやブレイクが発生せず、LPによる回復は不使用というルールになるため、対モンスター戦とは違った立ち回りが必要となる
移動中はいつでも、ワンキーでクイックセーブが可能
敵・味方に付与された特殊状態の説明を戦闘中に読むことができる

 一方で、戦闘勝利時のアイテムドロップ率を上げる代わりに取得経験値を0にできるアイテムが序盤で手に入るので、歯応えを求めるなら低レベル縛りプレイを追求するのもお勧め。前述の通りアクティブスキルは装備品により変化しキャラクターのレベルには依存しないため、低レベル縛りでもさまざまな特技や魔法を駆使したバトルを楽しめる。筆者は上記アイテムを入手してからは経験値を一切入手しないまま本作をクリアしたが、ゲーム後半やクリアに必須ではない強敵との戦いではLP消費技もどんどん駆使して戦う、文字通り命を削る激戦を堪能することができた。

 多数ある状態異常やダメージ算出方法など、把握することで戦略や戦術の幅が広がる要素も多いが、冒険のアドバイスを聞ける施設では徐々に内容が追加されていったり、スキルの説明が合理的でわかりやすかったりなど、プレイしながら徐々に把握していける作りとなっている。ダンジョン探索や戦闘が好きなRPGプレイヤーなら、ぜひ遊んでみてほしい作品だ。

ソフトウェア情報

「巡るダンジョン道中記」
【著作権者】
クロムK 氏
【対応OS】
Windows
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.11(16/12/23)