石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
【悲報】「ディアブロ IV」先行アクセスでログインできず! 原因はサーバートラブルではなく……
2023年6月9日 11:45
PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。
「ディアブロ IV」の先行アクセスに参加
「オンラインゲームのサービス開始直後は混乱がつきもの。その混乱も含めて楽しむのが通ってものですよ」
そう言ったのは筆者だが、6月6日発売予定の「ディアブロ IV」では、お値段がちょっとお高い豪華パッケージを購入した人に限り、6月2日から先行アクセスが始まっている。この4日間はテスト的なものではなく、単純に完全版を先に楽しめるというプレミアムパスである。
本作は発売に先駆けてかなり大規模なテストを実施しており、サーバー絡みのトラブル対処には万全を期しているように見えた。では実際のところはどうだったのか、先行アクセス開始時の様子をお伝えしよう。
サーバートラブルで起動できないのかと思いきや
筆者が本作を起動したのは、6月2日の午前8時半頃。先行アクセスの開始は午前9時だと思っていたら、実際は1時間早い8時開始。スタートダッシュに失敗した。
本作のランチャーである「Battle.net」を起動すると、インフォメーションにログインの問題が発生しているとの記載が。あれだけテストしてもダメなのかと思いつつ、とりあえずゲームを起動してみる。
ほどなく表示された、Blizzard Entertainmentのおどろおどろしい文字。そしてそこから進まない。ログインの問題というのはこれだろうか。しかしこの画面しか表示されないので、原因がオンラインなのかローカルなのかすら判断できない。
操作を一切受け付けないので、いったんゲームクライアントを強制終了し、同じようにログインできない人をTwitterで検索してみると、「ショップで数百円のアイテムを買ったらログインできた!」という報告が並んでいた。リアルマネーを生贄にサーバー接続権を召喚とは、さすがはディアブロ、悪魔の所業か……ってそんなわけあるか。
サーバーのトラブルならばそのうちつながるだろう、と起動と強制終了を2度ほど繰り返すと、ゲームは無事に操作可能になり、ログインできた。30分ほどロスしたが、この程度のことはオンラインゲームのサービス開始時にはよくあることだ。
……と思っていたのだが、翌3日に公開されたパッチノート(ゲームの修正内容)には、このような記述が。
・高速NVMe(Non-Volatile Memory Express) SSDを利用しているプレイヤーが起動時にゲームがフリーズしてしまう不具合を修正。
まさにこれ。ゲーム用に高速なSSDを用意していたのだが、それがトラブルにつながっていたようだ。こんな罠は30年近いオンラインゲームプレイ経験を持つ筆者にも想定できない。むしろ再起動を繰り返しただけで動いてくれてラッキーだった。
ゲームの流れを無視して高レベルエリアに行こう
ともかくゲームが動いてくれたので、素直にプレイを開始。筆者は過去のテストで「バーバリアン」と「ローグ」のキャラクターを作成したので、今回は「ソーサラー」を選んだ。
「ソーサラー」は魔法で戦うクラス(職業)で、スキルは大きく分けて炎系、氷系、雷系の3つがある。筆者は初代「ディアブロ」の頃から雷系が好きなので、今回も雷系のスキルを選んでいく。
基本スキルは4つから選択でき、そのうち2つが雷系。このうち「アークラッシュ」は前方範囲攻撃で、近距離の攻撃なのでリスクはあるものの、多数の敵を一度に攻撃できるので序盤は特に強力だ。
次のコアスキルでは「チェインライトニング」を選択。シリーズの伝統的なスキルで、敵や自分との間に連鎖する雷を放つ。見た目が派手なのが気に入っているのだが、複数の敵を殲滅するだけでなく、同じ敵にも繰り返しヒットするため、ボス戦でも結構強い。「アークラッシュ」と合わせて瞬間的な攻撃力はかなり高いようで、雑魚もボスも何ら苦労することなくスピーディに殲滅できる。
……と、退屈になる。序盤のプレイ内容が過去のテストで一度やったところのおさらいなのもあるし、難易度を一番低く設定しているのも原因なのだが、だんだんお使いをさせられている感が強まってくる。本作は基本的に、ストーリーを全部終わらせてからが本番だと思われるので、この辺はチュートリアルと思って遊べばいいのだが。
ということで、以前のテストでは入らせてくれなかったエリアへと足を運ぶ。製品版なのでエリアへの進入は問題なかったが、対象レベルは36+という表示が。その時の筆者のレベルは20ちょい。敵が出てきたら一瞬でやられるかもしれない、と警戒しながら未踏の地を進んでいく。
ほどなく敵が現れると、雑魚でもやはり強力。スキルを全力で発動しても雑魚1匹すら落ちず、接近して攻撃されると1発でライフが3割ほど持っていかれる。防御や回避系のスキルも駆使しつつ、距離を取ってじわじわ削っていくと、何とか撃破できた。
その後はさらに強力なレアモンスターが現れたが、かなりの長期戦になりつつも何とか倒して進んでいく。どこかにウェイポイント(自由にワープできるポイント)が見つかればと思いながら進むが、どうも見当たらない。ある程度進んだところでいったん引き上げることにした。
街に戻ってアイテム欄を見てみると、設定レベルが高くてまだ装備できない高性能な装備が手に入っていた。使えないとはいえ、がんばって冒険したご褒美という感じがする。ゲーム本来の流れを無視した無理な冒険も、ゲーム的に許容してくれるのがオンラインゲームの良さだなと思う。
サービスに大きな問題はなし
本作はオープンワールド型のゲームで、他のプレイヤーと出先ですれ違うこともよくある。ただこの高レベルエリアでは誰とも出会うことはなかった。まだここにやってくるほどレベルが上がっているプレイヤーは多くはないのだろう。それが余計に冒険している感じを強くしてくれる。
サービス開始直後とはいえ、それほどバグらしいものは見当たらない。話によると、ボスモンスターが異様にいっぱい出てくるバグがあるそうだが、ゲームの進行を大きく妨げるようなものではないようだ。多くのプレイヤーの反応も、必死にプレイしている様子は見られても、あまり批判的なものは出てこない。
ゲームが想像以上に問題なく動いているのが少々残念に感じる、というのはいささかひねくれているかもしれないが、発売まで長らく待たされただけに、準備は万端といったところだろう。
本稿を執筆しているのは一般発売前の6月5日。明日にはまた多くのプレイヤーが参加して、マルチプレイがいっそう賑わうのが楽しみだ。
著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/