石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』

「Diablo IV」2023年6月6日発売決定(本当に?)、もう購入できる3つのエディションはどれを買うべき?

 PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。

あと半年ほどで「Diablo IV」が遊べるらしい

「Battle.net」内の「Diablo IV」コーナー

 世界中が待ち望んだハック&スラッシュシリーズ最新作「Diablo IV(ディアブロ IV)」が、2023年6月6日に発売される。あまりに長く待ちすぎたせいで、筆者はいまだにこの発売日を信じられない気分だ。しかし、すでに先行購入ができる状態になっているし、わざわざ「恐怖の日」と呼ばれる6月6日に合わせていることから、まず間違いないのだろう。

 公式サイトでは日本語のページも用意されており、そちらも同日発売とされている。日本では発売が遅れるということもなさそうだ。また今作ではPC版にも日本語が入るようで、利用可能な言語に日本語が含まれている(本作に限っては、筆者は日本語があっても英語でプレイすると思うが)。利用可能な地域に日本が含まれていないが、日本で遊べないということはないだろう。

PC版の製品詳細の欄に日本語が入っているのが確認できる

 PC版(Battle.net)に加え、Xbox Series X|S、Xbox One、PlayStation 5、PlayStation 4の各プラットフォームで同時に発売される。「Diablo」のナンバリングタイトルでは、過去3作は全てPC版が最初に発売されており、家庭用ゲーム機と同時発売になるのは初めてのことだ。

 公式サイトには「進行状況はすべてのプラットフォームで同期されます」とあり、プラットフォームを切り替えてもプレイできるようだ。ただし、Xbox版とPC版のソフトは別扱いになっており、ソフトは別途購入が要りそう。また、PlayStation版は「オンラインプレイにPS Plus必須」、Xbox版は「Xbox のサブスクリプション(別売りのサブスクリプション)が必要です」とあり、各プラットフォームのオンラインサービス利用料も必要になる。

 一方で、PC版では追加の利用料が必要という記述は見られない。筆者も「Diablo」なのだから利用料金は当然無料だろうと思い込んでいたが、冷静に考えると今作はオンライン機能も強化されているはずで、そろそろ有料化してもおかしくはない。しかし公式サイトの情報を眺めても、やはり有料という文言はなかった。プレイヤーとしてはありがたいのだが。

3つのエディションがすでに購入可能。最大4日早く遊ぶために上位を選ぶのか

 本作の発売日の発表に合わせて、ソフトの先行購入が可能になっている。ソフトには3つのエディションが用意されており、それぞれ付属する特典内容が異なる。

  • 「スタンダードエディション」価格:9,800円
  • 「デジタルデラックスエディション」価格:12,600円
  • 「アルティメットエディション」価格:14,000円
3つのエディションが用意されており、すでに購入できる状態

 基本パックとなりそうな「スタンダードエディション」でも約1万円と結構なお値段。10年前に発売された「Diablo III」はデジタル版が59.99ドルだったが、今作は米国価格で69.99ドルと10ドル上がり、円安の影響もあってこの価格になっているようだ。

 ではこの3つのエディション、何が違うのか。公式に比較表が用意されているので、そちらを見ながらチェックしていこう。

3エディションの比較表が用意されている

 まず「スタンダードエディション」に含まれるものとして、ゲーム本編と、オープンベータへの先行アクセス権、ゲーム内アイテムとなる乗騎「光の使者」が付属。さらに「Diablo III」、「World of Warcraft」、「ディアブロ イモータル」の各ゲームで使用できるアイテムが特典として付属する。

 差額2,800円となる「デジタルデラックスエディション」では、上記に加えて最大4日間の「ディアブロ IV」先行アクセス権と、乗騎「誘惑」、乗騎の鎧「地獄の甲皮」の各ゲーム内アイテム、そしてプレミアムシーズンバトルパス解放が付属する。

 プレミアムシーズンバトルパスというのが聞きなれないが、最近のオンラインゲームによくある有料の追加報酬制度となるようだ。具体的な内容は不明だが、他のプレイヤーより優位になるようなものではなく、見た目に関するものになるとしている。

 さらに差額1,400円の「アルティメットエディション」では、上記に加えて「創造主の翼」エモートと、シーズンバトルパスの解放を加速(プレミアムシーズンバトルパス解放、20ティアスキップ、コスメティック)が付属する。シーズンバトルパスが最初から進んだ状態でスタートできるということだろう。

 以上を踏まえて、どのエディションを購入すべきか考えると、

  • 「スタンダードエディション」は、装飾アイテム等に興味はなく、ただゲームを遊べればいい人向け
  • 「デジタルデラックスエディション」は、最大4日間の先行アクセス権が欲しい人、あるいはプレミアムシーズンバトルパスを購入予定の人向け
  • 「アルティメットエディション」は、全部欲しい人向け

 といった感じになる。特に悩ましいのが最大4日間の先行アクセス権だろう。先行アクセス権はオープンベータの前なのか後なのかもはっきりしないが、いずれにせよ最大4日間は上2つのエディションを購入した人しか参加できない期間があるということだ。発売が待ちきれないほど楽しみで、1日も早くプレイしたいという人は、「デジタルデラックスエディション」以上を選んでおくといいだろう。

 しかし、ゲーム1本で14,000円というのは、最近なかなかお目にかからないお値段だけに躊躇してしまう。発売まではまだ時間があるので、しばらく検討しつつ財布と相談していくのがいいだろう。

過去のシリーズをいいとこ取りしつつ、新要素もちらほら

 肝心のゲーム内容については、まだ不透明な部分が多い。説明を見ると「バーバリアン」、「ドルイド」、「ネクロマンサー」、「ローグ」、「ソーサレス」という5つのクラス、スキルツリー、パラゴン、シーズンといった用語があり、過去のシリーズに沿った内容であることはうかがえる。

 従来と異なるものもいくつかある。ロビー不要のPvPゾーンが用意され、他のプレイヤーと戦闘ができるという。突然のPK行為にならないよう切り分けた形だが、戦利品を奪うこともできるとされており、単なるeスポーツ的要素では済まないようだ。

 ほかには「共有世界の街でほかのプレイヤーとアイテムを取引し」という文言がある。「Diablo III」では、サービス初期にアイテムを売買できるオークションハウスを導入した結果、アイテムの価値が劇的に下がり、レアアイテムを求めて探索するハック&スラッシュの面白さを自ら破壊した過去がある(現在は閉鎖済み)。

 開発元のBlizzard Entertainmentもさすがに同じ失敗を繰り返すことはないだろうし、心配はしていない。むしろ気がかりなのは、MicrosoftによるActivision Blizzardの買収の方だ。今年1月に687億ドルという超高額で買収すると発表したが、MicrosoftがActivision Blizzardの人気作品を独占するのではないかとの懸念から、各所で不満の声が上がっている。

 買収の発表から1年近くが経った現在になってもごたごたは続いており、人気タイトルの「Call of Duty」シリーズをソニー・インタラクティブエンタテインメントと任天堂、Steamに対して今後10年間は提供するというニュースが流れた。それでも話は収まらず、先日は米連邦取引委員会(FTC)が競争を阻害するとして買収阻止に動き出した。

 「Diablo」シリーズが直接的に槍玉に挙げられたわけではないが、今回の「Diablo IV」の発売日発表も買収の件が影響してのPC・Xbox・PlayStationの同時発売なのでは……と勘ぐってしまう。ともかくゲームの開発に影響なく無事に発売され、楽しく遊べる内容であることを期待したい。

DIABLO IV|発売日公開トレーラー

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』 記事一覧