石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』

「クッキークリッカー」の飽きを3日伸ばすためのマウス連打マクロ

「おーとくりっか~」やゲーミングマウスツールで自動クッキー焼き

 PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。

10年経ってもちょっと面白い「クッキークリッカー」

「クッキークリッカー」のプレイ画面

 クッキーをWebブラウザー上で連打して焼くゲーム「クッキークリッカー(Cookie Clicker)」。登場から10年ほどが経ちますが、たまにやりたくなる妙な魅力があると思いませんか。筆者は10年間のうちに3回ほど復活プレイをした記憶があります。

 ご存じない方に簡単に説明すると、本作はただクッキーを連打するだけのゲームというわけではありません。稼いだクッキーを消費して施設を作り、1クリックで焼けるクッキーの数を増やしたり、自動でクッキーを焼くようにしたりという成長要素もあるのがポイント。クッキーの数を指数関数的に増やしていくところに中毒性があります。

 とはいえ基本的にやることはクッキーを連打するか放置しておくかで、たまに施設を強化する以外にやることはそう多くないので、熱しやすく冷めやすいゲームであるのは確か。筆者も数日遊ぶと飽きる感じですが、もうちょっと遊びの幅を広げるために、ちょっとしたツールを使ってみます。

「おーとくりっか~」で自動クッキー焼き

「おーとくりっか~」の画面

 使用するツールは「おーとくりっか~」。あらかじめ指定した座標でマウスのボタンを自動でクリックします。

 クリック間隔はミリ秒単位で設定が可能。繰り返し回数の指定もでき、0回にしておくと右クリックで停止するまで左クリックを連打し続けます。

 これ以上は説明不要だと思いますので、早速試してみましょう。まず「クッキークリッカー」のクッキーを実機のマウスでクリックするとこんな感じ。適当にクリックして秒間5枚程度焼けます。

「クッキークリッカー」のクッキーを実機のマウスでクリック

 続いて「おーとくりっか~」を使用。クリック間隔は10ミリ秒で連打させてみます。計算上は秒間100クリック。

「おーとくりっか~」で自動クッキー焼き

 実際には秒間20枚強といったところ。クリック間隔をこれ以上短くしても変化は見られず、あまり高速に連打しても入力を認識してくれませんでした。数年前に筆者が別の環境で試した時にはもっと速かった記憶があるので、PCのスペックやWebブラウザーの設定にも左右されるところがありそうです。

 いずれにしても指でマウスを連打するよりは高速です。そして重要なのは、放っておけば24時間365日ずっと連打し続けるということ。寝ている間も自動でクッキーを焼き続けてくれるわけです。朝起きた時に確認すれば、大量のクッキー所持者になっていることでしょう。

 ちなみに細かいノウハウとしては、Webブラウザーのサイズを限界まで小さくし、クッキーの一部だけが表示されるくらいにして、いい感じの位置を連打させておくと、プレイ中に時々登場する特殊なクッキーも自動で拾えます。一時的にクッキー生成量が数倍から数千倍になる効果を得られることがあり、朝になったらそれはそれは大量のクッキーが生成されています。

 まあ3日もやったら飽きますが……。

がんばるとクッキー枚数の桁数がおかしくなる

ゲーミングマウスのマクロ機能でも可能

 「おーとくりっか~」のような汎用ツールを使わなくても、各社のゲーミングマウスに用意されているマクロ機能を使えば、自動連打機能は作れます。

 例えば、筆者が使用しているゲーミングマウス「Razer Viper Mini」では、「Razer Synapse」という同社専用ツールが用意されています。

 操作手順は、まず[マクロ]のタブで左クリックを記録し、押下してから離すまでの時間を0.01ミリ秒に修正。

[マクロ]タブで左クリックを記録し、間隔を調整

 続いて[マウス]のタブで、適当なボタンにマクロを割り当て(DPI切り替えボタンなど普段使わないものがおすすめ)。「再生オプション」の項目で「割り当てキーを使って、連続再生オン/オフの切り替え」を選択します。

[マウス]タブでボタンにマクロを割り当て、連続再生を使用する

 これで指定したボタンを押すと、左クリックを秒間100連打してくれます。ただしカーソルの位置は未指定なので、カーソルを適切な位置に持っていく必要があります。

 他社の製品ではインターフェイスは異なりますが、手順としては似たようなものだと思います。ゲーミングマウスと呼ばれるもので、こういった専用ツールが用意されていれば、マウス連打機能くらいはすぐに用意できるかと思います。高機能なものなら、クリックの位置の指定も可能です。

マウスマクロはオンラインゲームでは使用注意

 マウスのマクロ機能はゲーミングマウスにはほぼ確実に付いてくるものですが、活用しているという人は案外少ないかもしれません。マウスだけでなくキーボードの入力も組み込めますので、仕事で特定の操作の繰り返しが発生するような場合に、うまく使えば効率化・省力化を図れます。

 ゲームでの利用に関しては、「クッキークリッカー」は個人で遊ぶゲームなので、こういった使い方も個人の判断で好きにやればいいと思います。ただオンラインゲームでは、操作の自動化、特にプレイヤー不在での自動化は、ゲーム内の経済バランスの崩壊やプレイヤー間のトラブルに発展しやすく、チート行為として罰せられますので使用を控えましょう。

 最後に、「クッキークリッカー」を今更やるなんて……という声も聞こえてきそうですが、2019年にはAndroid版、2021年にはSteam版(なんと有料で520円)も出ており、今も立派に生きている作品です。

Android版は100万ダウンロードを超えているらしい

 またゲーム自体も度重なるアップデートが行われており、日本語対応のほか、多数のアイテムや実績の追加、ゲームをリセットして最初からやり直す代わりにクッキー生産倍率が上がる機能(いわゆる「つよくてニューゲーム」)などが実装されています。10年前よりやり込み度が圧倒的に増しており、連打機能を使っても全実績クリアは途方もなく遠いです。ぜひ今、改めてお試しを。

以前やりたくなった時のデータを発掘したところ、866日前だそう。やり直し機能による倍率は232%。まだまだ先は長い

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

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