石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
「ディアブロ IV」の誰でも遊べるオープンベータは今週末! 先行アクセスでわかった気になるあれこれ
2023年3月24日 11:00
今週末は誰でも遊べる「ディアブロ IV」のオープンベータ
6月6日発売予定の「ディアブロ IV」で、発売に先駆けてオープンベータが実施される。日本時間では3月25日1時から28日4時まで。
オープンベータのクライアントは、Battle.netクライアントから先行ダウンロードできる。ダウンロード容量は、先週末実施された先行アクセス時で約85GB(高解像度アセットを使わない場合は41GB)で、SSDへのインストールが必要とされている。詳細は公式ブログをご確認いただきたい。
筆者は先に実施された先行アクセスに参加した。プレイできる範囲や時間は限られていたが、過去の作品とどのあたりが変わったのか、またプレイ感はどうなのかを、ざっくりとお伝えしたい。
キャラクターメイキングが可能になった
先行アクセスで選べたクラスは「バーバリアン」、「ローグ」、「ソーサラー」の3つ。オープンベータでは「ドルイド」と「ネクロマンサー」も追加され、製品版でもこの5つのクラスから選択することになるようだ。
近接系、遠距離系、魔法系という3種の組み合わせは「ディアブロ」シリーズの伝統だ。今回は筆者としても初プレイなので、操作がわかりやすそうな近接系の「バーバリアン」を選んだ。
クラスを選ぶと、キャラクターの外見をカスタマイズできる。装備品で見た目が変わることはあっても、キャラクター自体の外見を調整できるのは「ディアブロ」のナンバリングタイトルでは初めてだ。顔を数パターンから選び、髪型や髪・目の色、肌の色や装飾などを選べる。
プレイ中はキャラクターの表示が小さく、装備品でも隠れるので、ほとんどカスタマイズの効果は感じない。ただイベントシーンではズームになることもあり、自分で作ったキャラクターが「ディアブロ」の世界に居るという感覚はしっかりある。
イベントシーンも含めて、映像はやはり格段に美しくなった。筆者の感覚では前作「ディアブロ III」も十分美しいのだが、緻密な描き込みや光の表現はやはり段違い。もちろんグロテスクな場面はよりグロテスクになり、子供には見せられない感じがより強まっている(本作のCEROレーティングは18歳以上のみ対象と最も厳しいCERO Z)。
操作感は変わらずだが、ポーションやスキルは独自仕様
操作方法も過去のシリーズにのっとっており、マウスの左クリックで移動や攻撃、右クリックと[1]から[4]までの数字キーでスキルを使用する。実際の操作感もそのままで、シリーズ経験者なら何も迷うことはない。
装備品は店でも購入できるが、基本的には敵を倒した時のドロップや宝箱から入手する。装備品にはそれぞれ異なる性能が設定されており、装備品のレア度が上がるごとに付与される特殊能力が増えていく。ドロップするアイテムの性能はランダムで、よりよい性能の装備品を探して敵を狩りまくる。このあたりの仕組みはシリーズを通してほぼ同様だ。
初見でわかりづらいのは、回復用のポーションの扱い。前作ではポーションを使用して一定時間が経過すると自動でチャージされて再使用できた。本作では最初から4つのポーションがチャージされており、使用するとその分減っていくが、自動ではチャージされない。チャージするには、敵を倒した時などに出現するポーションを拾う必要がある。
順調に敵を倒している限りはポーションが尽きることは少ないが、ボス戦になるとポーションを使い切ってしまい、回復手段がなくなることがある。危なくなってから逃げ回っていてもどうにもならないので、敵の攻撃を見極めて回避するのが重要だ。
またポーションはレベルが10など一定まで上がると、街にある店で効果を強化できる。一度強化すれば効果は永続するが、これをしないとレベルが上がってもポーションの回復量が低いままで、冒険に支障が出る。
もう1つややこしいのがスキルツリー。レベルが上がるとスキルポイントを獲得し、ポイントを消費して新たなスキルを獲得できる。「バーバリアン」では、基本、コア、防御といった形でスキルがカテゴリ分けされており、最初は基本スキルの中から選択。一定のポイントを使用すると次のカテゴリが開放される。
前作では全てのスキルがレベルアップで入手でき、その中から好きなものを選ぶという形だった。本作ではプレイヤーごとに好みのスキルを選ぶ形になる。どのスキルを選ぶかで、同じクラスでも戦い方が大きく変わる形だ。
ただし選んだスキルからスキルポイントの回収は可能。回収にはゴールドが必要で、レベルが上がるほど消費するゴールドが増える。またスキルは次のカテゴリが開放されても、ひたすら基本スキルだけのレベルを上げていっても構わない。
スキルポイントの回収にそれほどお金がかからないうちに、いろんなスキルを試してみるといいだろう。筆者は途中で強力なボスに何度かやられ、スキルを大幅に入れ替えてボス戦向けにカスタムして倒したりもした。
他のプレイヤーが同じ世界に。無言でも協力プレイあり
本作が過去のシリーズと最も異なるのは、同じゲーム世界に他のプレイヤーが存在すること。前作までは作成したゲームに他のプレイヤーが参加するという形だったが、本作ではMMORPGのように、最初から他のプレイヤーと世界を共有した状態でプレイする。
ただし他のプレイヤーと共闘や対戦をする必要はない。筆者は今回、ずっとソロプレイを通していたし、他のプレイヤーと会話すらしなかった。それでもゲームの進行に大きな問題はなかった。強いて言えば、強力なボスを相手にする時には複数人いた方が楽なのでは、と感じはしたが、結局1人で倒してしまっている。
逆に他のプレイヤーがいてありがたいこともある。フィールドで他のプレイヤーが近くにいると、自然と共闘状態になり、一緒に敵と戦える。敵がドロップしたアイテムやゴールドも奪い合いにはならず、個別に入手できるようだ。この仕様は前作と同様で、レアアイテムが喧嘩の種になることはなさそう。
またフィールド上に突発的なクエストが発生する場所があり、達成すると報酬が得られる。ここでも他のプレイヤーと共闘が可能で、それぞれに敵と戦ってクエスト条件を達成すれば、全員が報酬を受け取れる。特に損をすることもなさそうなので、誰かが参加済みの突発クエストも見つけたら遠慮なく参加してよさそうだ。
なお、敵の強さは自分のキャラクターレベルに追従して上がる。ただし地域ごとに最低レベルが設定されているようで、自分のレベルが低すぎる場合は地域のレベルの方が高いということもあった。
他のプレイヤーが同じ地域にいる場合でも、敵の強さが変動する様子はなかった。プレイヤーごとに敵の強さが調整されているのかもしれない。いずれにしても他のプレイヤーに遠慮したり、迷惑をかけられたりといったことは、今回のプレイでは一切なかった。
街にいると他のプレイヤーともよく遭遇するが、キャラクター名は英語や漢字、ハングルなどさまざま。おそらくアジアサーバーに接続しているのだと思うが、このあたりは製品版でどうなるのか少々気になる。もっとも今回のプレイのように、会話を強いられることは一切ないので、気にしなければそれまでだが。
PC版も初期から日本語対応
本作ではインストール時に言語設定を求められる。筆者としては本シリーズは英語でプレイしたい(特にアイテム名は英語にしておきたい)のだが、PC版で最初から日本語が用意されているのは初めてなので、素直に日本語に設定。ただし追加言語として英語をインストールしておき、後から切り替えられるようにもできた。製品版では日本語音声も入るそうだ。
テキストが日本語になったおかげで、アイテムの名前は正直ダサくなってしまったが、ストーリーはよくわかる。前作に引き続き、何が善か悪かがよくわからないというか、強そうな奴は全部悪なのでは、という嫌気のさす展開が続く。それでこそ「ディアブロ」だという感じもするし、ストーリーを読まずに指示だけ見て進んでも楽しめるのも「ディアブロ」のよさではある。
日本語ローカライズもところどころ未実装だったり、翻訳が変で意図が変わっている(と英語音声を聞いていて思う)部分も散見される。このあたりは製品版までに多少のブラッシュアップはあるはずなので、製品版で改めて楽しもうと思う。
手ごたえは良好だが、やり込み要素はまだまだ不透明
ゲームとしては大きなバグは見当たらないし、初日にログインで1時間近く待たされたほかは特に動作に問題もない。発売まですでに3カ月を切っているのだから当然と言えば当然だが、ひとまずゲーム内容、サーバーともに安心できる状態ではあると思う。
ただ最終的に本作が面白いかどうかは、筆者としてはまだ認めきれない。過去のシリーズのいいとこどりをしている感じはあるが、今のところはメインストーリーのミッションを追うだけの、「ディアブロ」の皮をかぶったお使いゲームという印象もある。
最初の1回くらいはそれでいいが、その先どうなるのか。すでに数百時間程度は遊べそうな気はするので、買ってよかったという安心感はあるものの、果たして数千時間楽しめるようなやり込み要素はあるのかは、まだまだ見通せない。プレイヤーが協力して戦うワールドボスなるものもいるそうだが、それ以外にも何かしらあると期待はしたい。
ともあれ、まずは皆様もオープンベータで本作を体験してみていただきたい。序盤とはいえ、本作がどんなゲームなのかは十分わかる内容だと思う。あとはプレイヤーが殺到してログイン待機ゲームにならなければいいのだが、オープンベータはサーバーの負荷テストを兼ねているのが通例なので、たとえ待たされても心穏やかに過ごすための暇つぶしの用意をおすすめしておく。
著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/