石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
「ドラクエ8」をPCで遊ぶ夢が叶わぬまま、Windows 11の「Amazonアプリストア」が終了
2024年3月15日 06:55
PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。
「Amazonアプリストア」が即日提供終了のニュース
3月6日の朝、Amazonから「Windows 11でのAmazonアプリストアのサービス終了について」というメールが届いた。Windows 11のストアアプリ「Amazonアプリストア」の提供を3月6日に終了するという内容だ。
メールが届いたその日に提供を終了するとあり、慌ててMicrosoft Storeを開くと、まだ残っていたので急ぎダウンロードした。届いたメールの日付は米国時間を指しており、メール到着後に数時間の猶予があったものと解釈している。
筆者の環境では、現在は検索しても出てこないし、インストール済みにも関わらずライブラリのリストにも表示されない。スタートメニューなどには登録されており、そこからの起動は可能だ。
終了の理由は、MicrosoftがWindows Subsystem for Android(WSA)のサポートを2025年3月5日に終了するためだとしている。それならあと1年は面倒を見てくれてもいいじゃないかと言いたくなるが、1年後に終わるとわかっているサービスを継続する意義はないと判断したのだろうか。Amazonらしい考え方だ。
ともかく「Amazonアプリストア」はこれ以上更新されないし、WSAないしは「Amazonアプリストア」上のアプリ側の更新内容次第では、動作に問題が出る可能性があるということだ。
「Windows上のAndroid動作環境をMicrosoftが公式サポート!」ということで話題になったが、実際にやってきたのはGoogle Playではなく、Amazonに登録されたアプリだけだったということに意気消沈した人も多いだろう。
筆者はそれでも「Amazonアプリストア」にある望みを託していて、結局叶わずに終わってしまった。
「ドラクエ8」をPCで遊べるのでは?
確か1年ほど前、本連載の企画を担当編集と話していた時のこと。どんなPCゲームを紹介しようかという話をしていると、彼がこう言った。
『「ドラクエ8」が好きなんですよ』
スクウェア・エニックスの「ドラクエ8」こと「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」は、2004年にプレイステーション 2で発売。「ドラゴンクエスト」シリーズ8作目にして初めて、従来の2D見下ろし型から3Dの後方視点型に変更された作品だ。
「ドラゴンクエスト」シリーズは、さまざまなプラットフォームへ移植やリメイクされることが多い作品でもある。特に3作目までは過去に何度移植されたかわからないくらい多くある。
しかし「ドラクエ8」は、スマートフォン版とニンテンドー3DS版が出ているだけで、その後は8年以上にわたり移植されていない。特に据え置き機でプレイする環境は新たに登場していない。
もちろんPC版も未発売なので、本連載では本来はネタにならない。しかしそこに現れたのが「Amazonアプリストア」だ。「ドラクエ8」のスマートフォン版はiOSやAndroid(Google Play)だけでなく、AmazonのAndroidアプリストアでも配信されている。
ということは、「Amazonアプリストア」で「ドラクエ8」を購入すれば、実質的にPCでプレイできる環境が整うということではないか。これは担当編集が喜ぶに違いないと思い、早速試してみた。
しかし「Amazonアプリストア」で「ドラクエ8」を検索しても見つからなかった。「ドラゴンクエスト」シリーズは8作目までの全てがAmazonのAndroidアプリストアに存在するが、「Amazonアプリストア」では1つも見つからない。検索ワードを「Dragon Quest」にしてみてもやはりヒットしなかった。
つまり、Android向けのAmazonアプリストアでは販売されているが、Windows 11の「Amazonアプリストア」には未対応ということだ。理由はわからないが、ゲームパッドやキーボードなどPCデバイスへの対応や、WSA環境における動作確認の有無などがあるのかもしれない。
できないものは仕方ないので、本連載で扱う企画としては頓挫していたが、もしかしたらいずれは対応してくれて遊べる日が来るのかもしれない。ひとまず筆者の企画メモに書き残しつつ様子を見ることにした。
PCで「ドラクエ8」を遊ぶ夢を見た
そして「Amazonアプリストア」の突然の終了発表を聞いたというわけだ。対応は難しいだろうと思ってはいたが、こんなに早く、こういう終わり方になるとは思わなかった。
ちなみにPCで「ドラクエ8」を遊ぶ方法がないわけではない。手っ取り早いのはAndroidエミュレーターの導入で、Android版を購入すれば遊べるはずだ。ただエミュレーターは法的あるいはGoogleの規約的な部分で使いたくないという人もいるだろうし、それをもって本連載で「ドラクエ8がPCで遊べる!」と誇らしげに言う話でもない。
担当編集へは「PS2と3DSを大事にしてください」とメッセージを残しておき、スクウェア・エニックスが「ドラゴンクエスト」シリーズのPC版を出してくれるのを待ちたい。現時点でSteamにて配信されている「ドラゴンクエスト」のナンバリングタイトルは、「ドラゴンクエストX オフライン」と「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S」の2作品のみだ。
筆者としては、すれちがい通信で話題となった「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」をぜひまた遊べるようにして欲しいと願っている。ニンテンドーDS版は持っているが、セーブデータを1つしか持てないため、筆者のプレイデータは妻に上書きされ消滅した(許可はしたので悔いてはいないが)。
著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/