やじうまの杜

Arm版Windows 10でも「Ubuntu」が利用可能! ~Build 2018で紹介されたWSLの新機能

「エクスプローラー」からLinuxシェルを起動、スクリプトでのセットアップなどにも対応

 “やじうまの杜”では、ニュース・レビューにこだわらない幅広い話題をお伝えします。

公式ブログ“Windows Command Line Tools For Developers”

 先日開催されたMicrosoftの開発者向けイベント“Build 2018”では、“Windows Subsystem for Linux(WSL)”に関しても多くの新機能や改善が発表されました。その内容が公式ブログ“Windows Command Line Tools For Developers”にまとめられているので、今回はそれを紹介したいと思います。

「Ubuntu 18.04」が“Microsoft Store”で利用可能に

「Ubuntu 18.04」が“Microsoft Store”で利用可能に

 Linuxディストリビューション「Ubuntu」の新しいLTS(長期サポート)版「Ubuntu 18.04 LTS」が、“Microsoft Store”から簡単にインストールできるようになりました。

 ストア版「Ubuntu」は、「Ubuntu」の開発元であるCanonical社自身の手でリリースされたホンモノ。Microsoftによると、3年間サポートされます。既存の「Ubuntu」とも共存可能です。

 なお、これまで“Microsoft Store”にあった「Ubuntu」(16.04 LTS)は、そのうち「Ubuntu 16.04」に改名されるそうです。こちらもリリース後3年間――「Ununtu」のバージョンナンバーは“(西暦下二桁).(月二桁)”なので、2019年4月まで――サポートされます。

ArmデバイスのWSL上で「Ubuntu 18.04」を実行できるように

 MicrosoftはArm CPUで動作するWindowsを開発しています。Arm CPUで動作するWindowsといえば「Windows RT」が記憶に新しいですが、新しいArm版Windows 10はx86命令(32bit)をArm v8命令(64bit)に変換して実行できるのが特徴です。基本的にUWPアプリしか利用できなかったWindows RTと異なり、32bitのデスクトップアプリを利用できるためアプリ不足に悩まされることはなさそう。長時間のバッテリー駆動とLTEによる常時接続(Always Connected PC)も魅力です。

 “Build 2018”では、そんなArm版Windows 10でも「Ubuntu 18.04」が利用できるようになることが明らかにされました。Arm版Windows 10が利用できるようになったあかつきには、“Microsoft Store”からArm向け「Ubuntu 18.04」をダウンロードして実行できるようになる予定です。この取り組みもCanonical社の協力の賜物なのだそう。

Linuxの改行コードをサポートする「メモ帳」

 また、すでにお伝えしましたが、「メモ帳」で改行コード“LF(0x0A)”がサポートされます。これまでLinuxで作成したテキストファイルをWindowsの「メモ帳」で開くと改行が飛んでしまっていましたが、「Windows 10 RS5」の「メモ帳」では正常に表示することができます。

 現状では閲覧・印刷を主な目的としているようで、編集においてはさまざまな互換性問題があるようですが、サードパーティ製テキストエディターを導入できない環境でもLFコードのテキストを閲覧できるようになったのはうれしいですね。

 あと、WSLにはあまり関係がないのですが、選択テキストを“Bing”検索する機能が追加されているのも便利。開いたドキュメントにわからない単語があっても、その場でサクッと調べられます。まぁ、“Google”だったらもっとうれしかったのですが……。

選択テキストを“Bing”検索

「エクスプローラー」からLinuxシェルを起動する

[Shift]キーを押しながらフォルダーの右クリックメニューを開くと[Linux シェルをここに開く]メニューが現れる

 Windowsでは[Shift]キーを押しながらフォルダーの右クリックメニューを開くと[PowerShell ウィンドウをここに開く]というコマンドにアクセスできます(以前は「コマンド プロンプト」でした。元の挙動に戻すことも可能)。

 これがLinuxシェルにも対応しました! ユーザーからの要望の多かった機能だったそうで、読者の中にもこれを心待ちにしていた人も少なくないのではないでしょうか。

 ちなみに、このコマンドで起動するディストリビューションはシステムデフォルトのものになります。デフォルトのディストリビューションは“wslconfig.exe”で切り替えが可能です。

コマンドラインからWSLディストリビューションをインストール

 筆者はWindowsをインストールしたあとの環境設定を「PowerShell」スクリプトで行っているのですが、ついでに「Ubuntu」や「Debian」もインストールできたら便利ですよね。「Windows 10 RS5」ではそれもサポートされるようです。

 たとえば「Ubuntu 16.04」の場合は以下の通り。実行には管理者権限が必要となるほか、途中でOSの再起動が必要になります。

# Windows Subsystems for Linux を有効化

Enable-WindowsOptionalFeature -Online -FeatureName Microsoft-Windows-Subsystem-Linux

# Ubuntu のインストール

Invoke-WebRequest -Uri https://aka.ms/wsl-ubuntu-1604 -OutFile ~/Ubuntu.appx -UseBasicParsing

Add-AppxPackage -Path ~/Ubuntu.appx

# Ubuntu の実行

Ubuntu.exe

 ディストリビューションの入手先を変更すれば「openSUSE」などもインストール可能です。

  • SUSE Linux Enterprise Server:https://aka.ms/wsl-sles-12
  • openSUSE:https://aka.ms/wsl-opensuse-42

 そのほかにも「Chocolatey」と「Boxstarter」を利用したセットアップスクリプトを記述することもできるのだそうです。これで初期設定が簡単になりますね!

お詫びと訂正:記事初出時、「Ubuntu」LTS版のサポート期間を3年と記述していましたが、正しくは5年でした。お詫びして訂正いたします。