やじうまの杜

iPhone/iPadに保存したパスワードをWindowsの「Google Chrome」と同期してみた

「iCloud for Windows 12.0」+「iCloud Passwords」拡張機能を試す

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Macデバイスに保存したパスワードをWindows版の「Google Chrome」で利用

 「iCloud for Windows 12.0」にはiCloud キーチェーンに保存されたパスワードをWindows 10環境と同期する機能が追加されましたが、リリース当初はこれと連携する「Google Chrome」用の拡張機能「iCloud Passwords」がまだ利用できませんでした。先日、ようやくこれがダウンロードできるようになったので早速試してみました。

MacやiPhone/iPadに保存されているパスワードをWindowsでも!

 iCloud キーチェーンは、MacやiPhone/iPadなどのAppleデバイスで共有できるパスワード保管庫です。Appleデバイスをいつも使っているユーザーにとってはお馴染みだと思いますが、長くて複雑なパスワードを自分の代わりに覚えてくれて、指紋や顔で認証するだけでサクッとパスワード欄に自動入力してくれるアレのことです。とっても便利ですよね。

長くて複雑なパスワードを自分の代わりに覚えて、指紋や顔で認証するだけでサクッとパスワード欄に自動入力してくれるiCloud キーチェーン

 しかし、弱点もあります。なかでも最大の問題は、なんといってもWindowsとは同期してくれないことでしょう。泣く泣く有償の「1Password」なんかを契約しているという人も少なくないのではないでしょうか。「iCloud for Windows 12.0」の“パスワード”機能は、これを解決(?)してくれる優れものです。

「iCloud for Windows 12.0」+「iCloud Passwords」拡張機能のセットアップ

 iCloud キーチェーンに保存されたパスワードをWindows 10環境で利用するには、まず「iCloud for Windows 12.0」をインストールします。“Microsoft Store”から無償でダウンロード可能です。

 「iCloud」アプリは、クラウドストレージ「iCloud Drive」をWindows 10の「エクスプローラー」に統合します。PCに保存された写真をアップロードしたり、他のユーザーが共有してくれた写真を自動でダウンロードしたり、メールや連絡先を「Outlook」と同期したり、「Safari」のブックマークを「Internet Explorer」や「Google Chrome」、「Firefox」にインポートすることもできます。

「iCloud」アプリの管理画面。オレンジの枠が「iCloud for Windows 12.0」で新設された“パスワード”
クラウドストレージ「iCloud Drive」をWindows 10の「エクスプローラー」に統合。他にも便利な機能が満載

 最新の「iCloud for Windows 12.0」には“パスワード”という項目が新設されており、iCloud キーチェーンのパスワードを同期できるようになりました。まずはここにある[承認]ボタンを押して、「iCloud」アプリがiCloud キーチェーンのパスワードにアクセスできるようにしましょう。

[承認]ダイアログで“Apple アカウント”のIDとパスワードを入力
Appleデバイス(iPhone/iPadなど)にサインインの要求が飛ぶので、[許可]して6桁の確認コードを取得
「iCloud」アプリの[承認]ダイアログに確認コードを入力
“パスワード”欄のチェックボックスが利用可能に

 承認プロセスが完了すると、グレーアウトされていた“パスワード”のチェックボックスが利用できるようになります。ONにすると何も表示されないダイアログが現れますが、これは「iCloud Passwords」拡張機能のセットアップを促すもののようです。「iCloud」アプリはパスワードを同期するだけで、Webブラウザーでパスワードを利用するにはこの「iCloud Passwords」拡張機能が必要となります。[Enter]キーを押すと「Chrome」が起動し、「iCloud Passwords」拡張機能のダウンロードページを開いてくれるので、案内に従ってインストールを行いましょう。

チェックボックスをONに。ダイアログが表示されたら[Enter]キーを押す
「Chrome」で“Chrome Web ストア”が開くので、拡張機能をインストール

 なお、「Chrome」を複数のプロファイルで切り替えて使っている場合や、Beta版などのプレビューリリースを併用している場合は注意が必要かもしれません。「Chrome」が常用しているチャネル・プロファイルになっていることを確かめましょう。また、「iCloud Passwords」拡張機能を利用するには、プロファイルが“Google アカウント”と紐づけられている必要があるようです。このあたりの処理はまだこなれていないらしく、混乱を招く挙動が少なからず見受けられました。

 さて、「iCloud Passwords」拡張機能をインストールしたら次は有効化です。拡張機能のボタンをクリックすると、「iCloud」アプリに通知が送信され、6桁の数字からなる確認コードが表示されます。それを「iCloud Passwords」拡張機能に入力しましょう。

拡張機能のボタンをクリックすると、確認コードの入力を求められる
デスクトップ右下隅に「iCloud」アプリが確認コードを表示してくれている。スクリーンショットが撮れないようになっているようなので、カメラで撮影しました

 これで準備は完了! お好きなWebサイトでログインを試してみてください。iCloud キーチェーンに保存されたパスワードが利用できるようになっているはずです。

セットアップが完了。パスワード入力欄のあるWebページなら、それに関連付けられたパスワードが列挙される

 新規にアカウントを作成した際は、iCloud キーチェーンにパスワードを保存することも可能です。拡張機能が新規アカウントの作成を検知すると、デスクトップ右隅にダイアログが現れるので、[パスワードを保存]ボタンを押してください。

新規にアカウントを作成した際は、パスワードの保存も可能

まとめ

 今回はWindows 10版「iCloud」アプリと「iCloud Passwords」拡張機能の組み合わせで、Macデバイスに保存されたパスワード(iCloud キーチェーン)を利用する方法を紹介しました。公式にサポートされているWebブラウザーは「Chrome」のみですが、同じ「Chromium」ベースの「Microsoft Edge」などでも利用できるでしょう。

 しかし、Windows 10版「iCloud」アプリを必要とする関係で「Chrome OS」での動作は望めません。また、Androidにも対応していません。iCloud キーチェーンに保存されたパスワードをWindows 10アプリの認証画面で使うのも難しいでしょう。この辺りは改善が必要だと思われます。

 もしChrome OSやAndroidも使っているならば、Macデバイスで「Chrome」を既定のWebブラウザーに設定し、そのパスワード同期機能を利用した方がよいでしょう。また、まだベータ版の機能にはなりますが、Microsoftの認証アプリ「Microsoft Authenticator」のパスワード同期機能を利用する手もあります。Windows、Mac、Linuxの「Edge」とパスワードを共有できる上、iOSやAndroidのパスワード補完機能と連携させることも可能です。