やじうまの杜
機能縮小? 鳴り物入りで導入されたWindows 10のタイムライン機能の現状
プレビュー版Windows 10でアクティビティのクラウド同期オプションが削除
2021年4月16日 06:45
“やじうまの杜”では、ニュース・レビューにこだわらない幅広い話題をお伝えします。
昨日、「Windows 10 Insider Preview」Build 21359(CO_RELEASE)がリリースされましたが、そのなかに一つ、気になる変更が含まれていました。それは[タスク ビュー]のタイムライン機能からアクティビティをクラウドへアップロードするオプションが削除されたことです。
“タイムライン”(Timeline)は3年前にリリースされた「Windows 10 April 2018 Update」の目玉として導入された機能で、[Windows]+[Tab]キーを押すとアクセスできるタスク切り替え画面[タスク ビュー]を拡張したものです。Webページを閲覧したり、ドキュメントを編集したりといったアクティビティ(活動、作業)の履歴をカードスタイルで一覧表示し、クリックするだけでその作業へ戻ることができるというユニークな機能で、検索ボックスを使ったキーワードベースのアクティビティ検索に加え、画面左のスライドバーを操作して過去にさかのぼり、日付ベースでアクティビティを探す機能を備えます。
この機能がさらにすごいのは、“Microsoft アカウント”を介してアクティビティをクラウド同期できること。デスクトップPCで行っていた作業の続きを出先のノートPCで……というケースはもちろん、Androidのホーム画面アプリ「Microsoft Launcher」にも統合されているので、PCで閲覧していたコンテンツをスマートフォンで見るといったことも可能。なかにはiPhone/iPadへの対応を期待していた人もいたのではないでしょうか。
しかし、残念ながらこの機能はあまり使われていなかったようです。
よく考えれば、ドキュメントの編集アクティビティを他のPCやスマートフォンからアクセスできても、ドキュメントがクラウドに保存されているのでなければ、アプリを起動できてもドキュメントが開けるとは限りません。ローカルファイルでは“過去の作業を復元できる”というタイムラインのコンセプトが達成できないわけです。
実際、筆者のデスクトップPCのタイムラインも、ローカルテキストの編集やローカルメディアの再生、ローカルドキュメントの閲覧といった“ローカルアクティビティ”でいっぱいです。せっかくパワフルなデスクトップPCを使っているのだから、ファイルも高速なローカルストレージにおいてバリバリ編集したり、楽しみたいですよね。当然の帰結です。
一方、Webコンテンツの閲覧アクティビティならば、こうした問題は発生しません。同期先のノートPCやAndroidスマートフォンでも問題なく開けます。けれども、Webの閲覧履歴がいちいちカード表示になっていると、それだけでタイムラインが埋まってしまいます。また、タイムラインに対応しているのは「Microsoft Edge」だけで。「Google Chrome」向けの拡張機能も用意されていますが、わざわざ入れる人は少ないでしょう。
つまり、理想としては魅力的だが、実際にはあまり使えない機能だったわけです。アクティビティの履歴をMicrosoftへ送信するオプションは初期状態で無効化されていたので、オプションに気が付いていない人も少なからずいたでしょう。今回削除されたのはアクティビティをアップロードするオプションのみですが、これが製品版にも広く展開されることになれば、アクティビティのクラウド同期機能は事実上終了ということになりそうです。
もっとも、日付を遡って過去のアクティビティへアクセスできるというコンセプトは割と便利。クラウド同期オプションはなくなってちょっと退化してしまいますが、ローカルアクティビティに関しては今まで通り使えます。もしこの記事で[タスク ビュー]のタイムライン機能を知った方、存在を思い出した方がいらっしゃれば、もう一度使ってみてほしいと思います。