柳谷智宣の「実は色々できるPDFの活用法」
【いざというときに助かる!】PDFの全ページに透かしやロゴ画像、ページ数を挿入する方法
元ファイルがなくても大丈夫!
2023年8月29日 10:54
PDFファイルを配布する際、第三者に拡散してほしくない資料もあるだろう。そんなときには「部外秘」や「極秘」「複製禁止」「confidential」「For Your Eyes Only」のような文字を透かし(ウォーターマーク)として表示することがある。
別にスパイ映画で出てくる機密情報でなくても、例えば、ライターに配られる新製品に関する資料などには透かしが入っていることもある。資料を受け取る人への注意喚起にもなるので、必要に応じて活用しよう。
WordやPowerPoint側で透かしを入れることもできるのだが、元ファイルが手元になければ、PDFに直接透かしを入れることができる。
AcrobatでPDFに「社外秘」の透かしを入れる方法
まずは「Acrobat」で透かしを入れてみよう。
「編集」ツールの[透かし]をクリックし、ポップアップメニューから[追加]を選択する。「透かしを追加」画面が開くので、「テキスト」にチェックを入れて「社外秘」と入力してみよう。プレビュー画面でどんな感じになるか確認できる。初期設定では、ページの中央に真っ黒な文字が表示されているはずだ。
続いて、いい感じの透かしになるように調整してみよう。
資料の本文と差別化するため、透かしは斜めに入れることも多い。そのため、「表示方法」には、45度傾ける設定が用意されているほか、「カスタム」では任意の角度に調整することもできる。
また、文字が濃すぎて資料が読みにくくなってしまう場合は「不透明度」を下げるとよい。30%前後にすると、より透かしっぽくなるのでおすすめだ。
文字のサイズは「サイズ」で設定できるものの、最大サイズでもそこまで大きくならない。「ページに合わせた相対倍率」にチェックし、割合で好みのサイズに調整する方がいいだろう。
透かしの位置を調整したい場合は「配置」で設定する。
まずは「基点」を選択し、そこからミリ単位で調整すればよい。例えば、基点を[上]と[左]に設定すれば、左上に透かしが表示されるようになる。右上に透かしを表示するなら、回転はマイナス45度にすればいいだろう。
基本的に透かしは黒色のままでよいと思うが、“もしどうしても赤色にしたい!”という場合には[カラーアイコン]をクリックすれば、パレットから変更できる。
設定が完了したら[OK]を押し、PDFの全ページに透かしを反映させる。一通りチェックし、資料が読めなくなっている部分がないか確認しておこう。
また、重要なPDFを共有する場合は、「PDFの保護」で編集操作にパスワードをかけておくといいだろう。なお、詳細な方法については下記の記事を参考にしてほしい。
PDF-XChange Editorで透かしを入れる方法
「PDF-XChange Editor」では、[整理]タブの[透かし]をクリックして[追加]を選ぶと、設定画面が開く。あとはAcrobat同様、テキスト欄に文字を入力し、フォントや配置などを設定すればよい。
最初から、45度回転し、透明度が25%に設定されているのは、わかりやすくて便利だ。もちろん、それぞれ手動で調整することも可能だ。
「企業ロゴ」をPDFの全ページに追加する方法
プレゼン資料などでは、ページの隅に企業ロゴなどが入っていることが多い。
本来は、WordやPowerPointの元ファイルを作成する際に追加しておけばいいのだが、もちろん、PDF編集ツールでも追加できる。ロゴ入りの背景画像を作成して置き換える手もあるが、簡単なのは透かし機能を利用することだ。
Acrobatの場合では、透かしを追加する画面で「ファイル」を選択し、位置を調整すればよい。不透明度は100%でOKだ。
企業ロゴが透明化されていないと、背景色とマッチせず、浮いた感じになってしまうことがある。そんなときは、本連載「【ハンコ出社をなくそう!】PDFに自分のハンコを画像にして押す方法」にて紹介した方法で、透過画像を作成すればよい。
もちろん、「PDF-XChange Editor」でも同様に、画像ファイルを透かしとして追加することができる。
Acrobatでヘッダーやフッターにページ番号や日付を挿入する
ヘッダーやフッターにはさまざまな情報を表示させることもできる。ページ数や日付、会社名、発表者名、コピーライト、さらには「複製禁止」などの文字を表示させてもよい。
Acrobatの場合は、「編集」メニューの[ヘッダーとフッター]で設定できる。初回は[追加]し、編集する場合は[更新]を選択する。
ページ上下の左右・中央で、計6カ所に任意の文字を追加できる。
動的な情報としては、ページ番号と日付を入れることもできる。こちらは[ページ番号を挿入]と[日付を挿入]というボタンが用意されている。例えば「1」だけでなく、「1/27ページ」のように表記を変更したいなら、[ページ番号と日付の書式]をクリックしよう。プルダウンメニューから表記方法を変更できる。
また、ヘッダーやフッターのフォントやサイズ、カラーも変更できる。ただし、6カ所まとめて同じ設定になるので注意しよう。画面下でプレビューできるので、背景色と合わせて見やすさを確認できる。あまりヘッダーとフッターが目立っても、資料の見栄えが悪いので注意しよう。
PDF-XChange Editorでヘッダーやフッターにページ番号や日付を挿入する
PDF-XChange Editorでは、[整理]タブの[ヘッダとフッタ]をクリックして[追加]を選択。ヘッダーとフッターの追加画面が開き、6カ所にテキストを設定できる。
[…]をクリックすると、追加できる変数のメニューが開くが、ページ数と日付だけでなく、ファイル名やコンピューター名、フォルダー名なども表示できるのがユニークだ。
以上が、PDFの全ページに透かしやロゴ画像、ページ数を挿入する方法となる。元ファイルがなくても、全ページに一括して要素を追加する方法を覚えておくと、いざというときに助かる。一度、試してみて操作に馴染んでおくことをお勧めする。
著者プロフィール:柳谷 智宣
IT・ビジネス関連のライター。キャリアは25年目で、デジタルガジェットからWebサービス、コンシューマー製品からエンタープライズ製品まで幅広く手掛けている。日々、大量の原稿を執筆しており、PDFファイルも日常的に利用している。メインのPDFツールは「Acrobat Pro」を活用。
・著者Webサイト:https://prof.yanagiya.biz/